東北新社は菅義偉首相の長男・正剛氏が勤めている会社です。接待の見返りに衛星放送事業の継続などで便宜をはかっていれば、国家公務員倫理規程に違反するだけでなく、贈収賄にも該当します。

2021-05-26 14:13:29 | これが岸田・元安倍内閣の本質

東北新社接待報告

解明尽くすのは菅政権の責任

 総務省と業界の癒着の深さに改めて驚かされました。放送関連会社「東北新社」が総務省幹部への接待についての報告書を公表し、これまでの同省の発表よりも会食件数が多かったことを明らかにしました。東北新社は菅義偉首相の長男・正剛氏が勤めている会社です。接待の見返りに衛星放送事業の継続などで便宜をはかっていれば、国家公務員倫理規程に違反するだけでなく、贈収賄にも該当します。総務省は東北新社とNTTの接待についての調査結果を近く公表するとしていますが、全てを明らかにし、癒着の根を断つことが重要です。

総務省の調査より多い

 国家公務員倫理規程は利害関係者が飲食費を負担する接待を禁止しているほか、1人1万円超の飲食は割り勘であっても事前に届け出ることを義務付けています。総務省は2月の疑惑発覚後、東北新社から延べ39件の接待があったことを認め、11人の幹部を処分しました。接待が行政に及ぼした影響などについては、明らかにしていません。

 東北新社の報告書では2015年11月から20年12月までに会食は計54件で、総務省調査には含まれていない会食が20件ありました。東北新社側で接待したのは木田由紀夫前執行役員、三上義之前取締役などで、正剛氏が出席した会食は22件に上っています。

 報告書は会食について「関係構築」などが狙いで、「不当な働きかけ」を目的としたものとは認められないとする一方、「昼間の打ち合わせ等では得ることのできない情報等を取得することまでをも目的としていたとの疑念を持たれる可能性があった」と、問題があったことを認めました。

 東北新社は17年、同社のBS4K放送が放送法の外資規制違反だったことがわかり、違法状態を解消するため、子会社を設立してBS事業を継承させました。その際、同社の幹部が総務省の衛星・地域放送課長らを訪ね報告したことや、その後接待したこと、プロ野球のチケットを贈ったことなども報告書は明らかにしています。この問題で総務省側は「報告された記憶はない」と国会で答弁し、東北新社側と主張が食い違っています。報告書は、報告していたと認定する方が「合理的」としています。

 放送法では衛星放送事業者の外資比率が2割以上になると、総務省が認定を取り消さなければなりません。当時なぜ認定を取り消さず、子会社への事業継承を認めたのか。関係する総務省幹部が多くの接待を受けていることが報告書から浮かびます。当時情報流通行政局長だった山田真貴子前内閣広報官も、破格の接待を受けていました。異常な接待と事業承継との関係は追及が必要です。

総務省は「S社」と隠語

 東北新社の報告書は、総務省幹部を接待した際の同社の経理伝票は「S社」と隠語だったと記しました。接待が後ろめたいものだったことをうかがわせます。

 東北新社やNTTによる総務省幹部の接待は政官業癒着の象徴です。接待疑惑は農林水産省や文部科学省でも相次いでいます。総務省に任せるだけでなく、国会でも真相を徹底究明すべきです。総務相時代に人事権を握り、総務省に強い影響力を持つ菅首相の責任が問われます。

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中国では毎年、自動車が2千万台以上売れ、世界自動車販売シェアの20%以上を占めている。中国との関係悪化は避けなければならないのが、現代自動車をはじめ、完成車業界の共通した立場だ

2021-05-26 06:50:50 | アメリカの対応

米国と協力強化した韓国の電気自動車・バッテリー、

中国の壁を超えられるか

登録:2021-05-25 06:23 修正:2021-05-25 15:29

 

韓国の完成車・バッテリー業界、中国動向を注視 
THAAD配備めぐる経済報復の経験から懸念の声高まる
 
 
                          現代車蔚山工場近くの野積場=現代自動車グループ提供//ハンギョレ新聞社

 現代自動車グループは2017年から自動車販売実績を2つに分けて発表している。世界全体での完成車販売量と中国以外の地域販売実績を共に公開する。THAAD(高高度防衛ミサイル)の配備をめぐる関係悪化で、中国内需市場の販売が直撃を受けており、中国を除いた数字を別途発表しているのだ。

 最近、韓米首脳会談を機に、両国が安全保障を越えて経済領域でも密接になり、SKやLG、現代自動車など国内企業が恩恵を受けられると予想される中、一方では懸念の声も上がっている。中国は巨大な消費市場であると同時に、主要原料の生産地でもあるからだ。特に、グローバルバリューチェーン(GVC)の構造を念頭に置くと、半導体より完成車と電気車用バッテリー部門において懸念材料が多い。米国との経済的・政治的同盟の強化が中国の反発を招く恐れがあり、関連企業も中国の動向を注視している。

 24日、業界によると、現代自動車と起亜の今年1~3月の中国での自動車販売台数は12万台で、昨年同期と比べて28%増えた。2016年、THAADをめぐる関係悪化によって反韓ムードが広がり、急減した現地完成車の販売量が好転したのだ。

 現代自動車グループの中国での自動車販売台数は、2016年は180万台に迫ったが、2017年は110万台に減少し、昨年は66万台に止まった。THAADをめぐる関係悪化から5年が経ったが、本格的な販売実績の回復までは道のりが遠い。

 問題は、中国が諦めるにはあまりにも大きい市場であることだ。現代自動車の関係者は「中国は単一国家としては世界最大規模の自動車消費市場を持っている」とし、「韓国にとって、中国は代表的な悩みの種であり、諦め切れない市場だ」と述べた。

 実際、中国では毎年、自動車が2千万台以上売れ、世界自動車販売シェアの20%以上を占めている。中国との関係悪化は避けなければならないのが、現代自動車をはじめ、完成車業界の共通した立場だ。昨年末、現代自動車が中国市場での販売向上対策を打ち出したのもそのためだ。

 今年4月に中国の上海で開催した高級車ブランド「ジェネシス」の現地市場進出イベントで、チャン・ジェフン社長(ジェネシス事業本部長)は「ジェネシスの大胆な旅路が新たに始まる日」だと語った。その後に開かれた上海モーターショーで、ジェネシスG80の電気自動車モデルを世界で初めて公開したのも、このような流れからだった。意欲的に中国市場の攻略に乗り出した現代自動車としては、韓米同盟の強化が中国の反発と報復につながるのは、どうしても避けたい流れだ。

 
現代自動車・起亜における中国での販売割合の推移//ハンギョレ新聞社

 電気自動車バッテリー業界も、中国の動向を注視している。THAADをめぐる経済報復の影響で、現代自動車同様、困難を余儀なくされた経験があるためだ。

 現在、中国ではLGエネルギーソリューションの賓鋼・新鋼工場など韓国のバッテリー製造3社の現地電気自動車バッテリー生産施設6施設が稼働中だ。3社は中国政府がTHAAD事態以後、韓国産バッテリーが入った電気自動車に補助金の支給を事実上中止し、現地バッテリーの生産と供給にも大きな支障を来したことがある。

 中国は電気自動車の最大の消費国であるだけでなく、韓国産バッテリーの原材料を相当部分供給する主な供給先でもある。中国がバッテリーのサプライチェーンの一軸を占めているのだ。中国の動き次第で、韓国の企業は苦境に立たされかねないという懸念の声が上がっているのもそのためだ。バッテリー業界関係者は「中国は政府レベルで自国企業を後押しするなど現地事業拡大は容易ではないが、市場規模が大きすぎて絶対に諦められない市場」だとし、「現地の動向を常に関心を持って見ている」と語った。

 蔚山科学技術院エネルギー化学工学科のチョ・ジェピル教授は「国内企業が作る電気自動車バッテリーの主要原料である前駆体は50%以上を中国から輸入している」とし「中国以外の国の生産品は価格が高くて原価競争力がないため、韓国のバッテリーメーカーは中国を抱え込むしか代案がない」と指摘した。

パク・ジョンオ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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