米中の覇権・戦略競争と「サプライチェーン再編」のさなか、13カ月連続で赤字を記録した貿易収支を黒字に戻す新たな「経済外交」の方策も出すことはできなかった。

2023-04-07 08:47:15 | 尹大統領は、おかしいね!

尹大統領、

「韓米日協力」以外に北朝鮮問題・経済問題の新たな解決策を持たず

登録:2023-04-06 04:57 修正:2023-04-06 07:24
 
 
尹錫悦大統領が5日、青瓦台迎賓館で開かれた第2回国政課題点検会議の冒頭で発言している=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は5日、青瓦台迎賓館で開かれた第2回国政課題点検会議で、日増しに悪化する朝鮮半島情勢を安定的に管理し「平和な朝鮮半島」を切り開く方策を特に提示しなかった。米中の覇権・戦略競争と「サプライチェーン再編」のさなか、13カ月連続で赤字を記録した貿易収支を黒字に戻す新たな「経済外交」の方策も出すことはできなかった。

 尹大統領は、「外交の中心は経済」であり「これまで以上に韓米日3国の協力が重要だ」と述べ、北朝鮮の核・ミサイル・人権問題に対する強硬対応の基本方針を繰り返し確認した。さらに、この3つの課題を「普遍的な価値を共有する国家の連帯と協力」によって解決していくと強調した。就任以来明言し続けてきた対外戦略の基本方針と哲学だ。

 問題は、大韓民国が直面している困難な現実だ。南と北の激化する武力示威によって朝鮮半島の平和が崖っぷちに追い込まれ、6カ月連続の輸出減少と13カ月連続の貿易収支赤字のどん底から抜け出せずにいる。

 それなのに大統領の対応は変わっていない。尹大統領は「北朝鮮の不法な核とミサイルの開発と挑発のため、安全保障の状況はこれまで以上に厳しい」とし、「同盟の拡大抑止能力の強化」と「韓国型3軸体系」で対応すると明らかにした。「力による平和」の基本方針の再確認だが、反響はない。北朝鮮は尹大統領の断固たる対応の叫びをものともせず、核搭載が可能な戦略・戦術弾道ミサイルを先月だけで約10回も発射した。そのため、韓国の経済と金融市場の国際的な評判を落とす「コリアリスク」が高まった。しかも、北朝鮮の弾道ミサイル発射を禁止した国連安全保障理事会は機能不全だ。米中と米ロの対立によって合意が不可能なためだ。

 複数の元政府高官は「北朝鮮の核・ミサイル開発の抑止と朝鮮半島の平和は、韓米日の協力だけでは達成できない」とし、「中国とロシアの協力が必須」だと述べた。だが、尹錫悦政権発足後、韓中・韓ロ関係はますます緊張が高まり、異常な兆候が続出している。

 尹大統領は、この日も会議の冒頭発言で「韓米日協力」は繰り返し強調したが、中国とロシアについては一度も口にしなかった。中国とロシアは「価値連帯」の対象ではなく「権威主義国家」だとする普段の認識と関係なくはないようにみえる。だが、中国は北朝鮮に対する影響力が最も強い国であり、韓国の最大の貿易相手国だ。韓国の対中輸出は1992年の国交正常化以来、昨年初めて赤字(-4.4%)を記録したのに続き、先月には-33.4%(対2022年3月比)と大幅に下落した事実について、「尹錫悦政権の発足以降、対米偏重外交と揺らぐ韓中関係が反映されている可能性がある」とする指摘が出ているのもそのためだ。1990年の国交正常以降、韓国の南北関係改善と国防力、宇宙発射体開発の努力などの支援者だったロシアとは、昨年始まったウクライナ戦争のために距離を置いている局面にある。

 そのさなかに、尹大統領は北朝鮮の人権の実情を広く知らしめるべきだとして、統一部に「国民に対する対応心理戦」を準備するよう指示した。情勢を安定させる北朝鮮との対話と交渉ではなく、国民の「意識武装」を強調したのだ。

 尹大統領が絶対善のように強調する「自由連帯価値外交」も、米中競争時代を解決しようとする主要国の「バランス外交」の努力と対比されている。米国の「戦略的パートナー」であるサウジアラビアは、中国とロシアが主導する「上海協力機構」に「対話パートナー」として参加(3月28日)、米国の反対にもかかわらず原油減産を主導・決定(4月2日)、中国の仲裁で米国の敵国であるイランと国交正常化(3月10日)するなど、「新しい外交」を展開している。尹大統領が「兄弟国」と呼んだアラブ首長国連邦(UAE)も、中国に輸出した液化天然ガス(LNG)の代金を米ドルではなく中国元で初めて受け取った(3月28日)。

 多くの国は生存と発展の道を探り、米国だけに依存しない「綱渡りバランス外交」に忙しい。「価値外交」の主唱者である米国でさえ、インフレ抑制法(IRA)や半導体支援法(CHIPS法)などが示すように、「米国式保護貿易・産業政策」で韓国経済のけん引車である半導体と自動車産業に打撃を与えている。元政府高官は「尹錫悦政権の価値外交は、良く言えば純真で、悪く言えば時代錯誤的」だとしたうえで、「何が韓国経済の発展と朝鮮半島の平和に役立つのかを深く考えることが切実に求められる時」だと述べた。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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