報復されることを恐れて警察に通報することはできなかった。北朝鮮離脱住民は居住地を移すことが容易ではないからだ。

2023-04-22 08:50:31 | 尹大統領は、おかしいね!

[独自]ストーキングされた北朝鮮離脱女性、

転居難しく報復の恐怖に耐える

登録:2023-04-21 02:14 修正:2023-04-21 08:18

 

女性家族部「暴力被害にあった北朝鮮離脱女性」に関する報告書
 
 
                                        ゲッティイメージバンク//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮離脱女性のAさんは、3年間にわたってストーキングされていた。加害者は毎日夜中にAさんの家にやって来てドアをたたいた。精神的ショックを受けたAさんは、昼に宅配業者が押した呼び鈴にもびくびくしていた。しかし、報復されることを恐れて警察に通報することはできなかった。北朝鮮離脱住民は居住地を移すことが容易ではないからだ。

 「通報して引っ越せたらいいんですけど。私がどこに行ったのか分からなければ訪ねて来られないわけでしょう。でも私は(政府が補助する)賃貸マンションに住まなければならず、警察に通報しても罰金を少し払って釈放されるでしょうし、(そうなると)もっとひどく(報復)される恐れもありますから」(北朝鮮離脱女性Aさん)

 北朝鮮離脱女性はストーキングなどのジェンダー暴力の被害にあっても住居移転が容易ではないため、Aさんのように通報をためらうことが多い。このような政府報告書が発表された。ハンギョレが20日に、共に民主党のヤン・イ・ウォニョン議員室から入手した女性家族部の委託報告書「暴力被害にあった北朝鮮離脱女性の支援事業の内実化方策の研究」には、韓国への定着後に暴力被害にあった北朝鮮離脱女性たちについて記されている。報告書では、20~50代の北朝鮮離脱女性109人に対してアンケート調査を実施し、さらに20~60代の北朝鮮離脱女性25人と彼女たちを支援する13人の関係者にインタビューを行っている。

 北朝鮮離脱女性のうち、セクハラ・性暴力被害の経験が「ある」と答えた人の割合は22.9%(25人)。被害にあった女性のうち、警察に通報したり、女性に対する暴力の被害者の支援機関に助けを求めたりした人の割合は、わずか16%(重複回答)。大半は対応方法が分からず我慢するか、報復やうわさを恐れて我慢したと述べた。

 報告書は、北朝鮮離脱女性たちがジェンダー暴力の被害にあいながらも警察への通報をしたがらない理由の一つとして、居住地移転制限をあげた。北朝鮮離脱住民は、ハナ院(北朝鮮離脱住民定着支援事務所。統一部の所属機関)を退所した後は定められた地域と居住地で生活しなければならないからだ。北朝鮮離脱住民に最初に提供される賃貸住宅は、2年間は転居できないという特約がある。2年以内に転居するためには、公共賃貸住宅に入居あるいは他の公共賃貸住宅に移転することになった時▽住居を確保してある人と婚姻した時▽疾病の治療のため6カ月以上医療機関に入院した時▽他地域に所在する大学および大学院に在学中の場合など、10件の条件のうちの一つに該当しなければならない。

 統一部の関係者は「北朝鮮離脱住民の保護および定着支援に関する法律第20条6項に則り、保護対象者の居住地がもれて命や身体に重大な危害を受けた、または負う恐れが明白な場合には、住居移転に必要な支援をすることができる」と説明した。だが「命や身体に重大な危害」なのかを問わなければならず、「住居移転に必要な支援」とは直ちに別の賃貸住宅を援助するという意味ではないため、被害者が転居を考慮するのは難しい。

 性暴力の被害を受けた北朝鮮離脱女性の法律相談を行っているチョン・スミ弁護士(グッドロイヤーズ公益情報センター)は「ハナ院退所後に北朝鮮離脱住民が住むことになる賃貸住宅は安いため、(賃貸期間の2年が過ぎても)他の居住地に転居するのは容易ではない」とし「北朝鮮離脱女性は自宅で性暴力の被害にあっても、トラウマを抱えたまま被害を受けた場所に住み続けるケースが多い」と話した。チョン弁護士はまた「『ジェンダー暴力により居住地移転を要請している場合』を含めるなど、北朝鮮離脱女性の安全を保障するために居住地移転を支援する指針を示すべきだ」と付け加えた。

 ヤン・イ・ウォニョン議員は「北朝鮮離脱女性はジェンダー暴力にさらされる確率が高いのが現実」だとし、「彼女たちの特性を考慮した定着支援制度を作るためには、国会の関心と努力が必要だ」と述べた。

イ・ジュビン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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