違憲論議にも…国会の同意なしに
「戦況分析チームのウクライナ派遣」進める尹政権
韓国大統領室が30日、ロシアに派兵された北朝鮮軍の活動をモニタリングすることは「政府の義務」だとし、戦況分析チームを現地に送る意向を明らかにした。これに先立ち、キム・ヨンヒョン国防部長官は24日、国防部の訓令を根拠に「個別レベルの派兵」は国会の同意なしに自分の政策決定だけで可能だと主張したが、法律専門家はこの訓令に違憲の素地があると指摘した。野党は「国会の同意なしに一人でもウクライナに送るなら、キム・ヨンヒョン国防部長官を弾劾する」と警告した。
大統領室高官は同日、記者団に「我々にはウクライナという友好国に(対して)、北朝鮮軍の活動の戦況を調べ、分析し、モニタリングする義務が与えられている」と述べた。さらに「北朝鮮がウクライナとの戦争を通じて現地で実戦経験を積み、現代的な戦術を習得することは、韓国に対する直接的な軍事的脅威になる。韓国も防衛的に正当に彼らの活動を分析する必要がある」とし、「今後(北朝鮮軍の)活動と戦況をモニタリングするチームをあらかじめ作って送る準備をする必要性を感じている」と説明した。
国情院も前日、国会情報委員会による国政監査で、ウクライナ参観団の派遣と北朝鮮軍捕虜の尋問への参加に肯定的な立場を示した。これらを踏まえると、戦況分析チーム(参観団)の任務には、北朝鮮軍の兵器体系と戦術、ウクライナ戦争の教訓の分析や、北朝鮮軍捕虜の尋問への参加などが含まれる見通しだ。この場合、軍の兵器体系の専門家や軍情報要員などが参加する可能性が高い。
国防部は、戦況分析チームは国会の同意なしに派遣できるとみている。キム長官は24日、国会国防委員会による国政監査で「規模、期間、任務を考慮し、個別的な派兵は国会の同意なしに長官の承認のもとで進めることができる」と答えた。
キム長官の主張は「国軍の海外派兵業務訓令」に基づいたものだ。同訓令は、海外派兵を「部隊単位」と「個人単位」に分け、個人単位の海外派兵は国会の同意なしに国防部長官の政策決定によって行われると明示している。この訓令は、李明博(イ・ミョンバク)政権時代の2009年8月に施行された。
法律専門家らはこの訓令が「派兵をする時、国会の同意を得るよう強制」した憲法第60条2項の趣旨を無視しており、違憲だと指摘する。西江大学法科大学院のイム・ジボン教授は「憲法条項に根拠のないことをするのも違憲だが、憲法で明示した内容に逆らうものであれば、より明白な違憲」だと語った。法務法人「ヘマル」のイム・ジェソン弁護士は「韓国憲法が国軍の海外派遣を国会の同意事項にしたのは、軍事領域に対する行政府の権限を立法府が適切に牽制する憲法的決断であり、三権分立を象徴する代表的な規定」だとしたうえで、「この国会同意手続きは法律でも制限できないのに、これを長官が定める行政規則に過ぎない訓令で(国会の同意を)避けられるという主張は違憲そのもの」だと批判した。
共に民主党のキム・ビョンジュ最高委員はこの日午前、最高委員会議で「参観団という名前で国会同意を避けるために派兵する姑息な手」だとし、「国軍を一人でも送れば派兵であり、国会の同意事項だ」と述べた。また「民主党はもし尹錫悦政権が国会同意なしにウクライナに参観団を送るならば、国防部長官の弾劾など様々な法的手段を講じる」と語った。市民団体では、憲法裁判所にこの訓令の権限争議審判を請求し、効力停止仮処分申し立てなども準備している。
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