グロッシー事務局長は昨年2月に福島第一原発を訪問したのに続き、先月23日にはオンラインで、汚染水について「日本政府の努力を評価する」と述べ、事実上、後援者の役割を演じた。

2021-04-16 06:12:48 | アメリカの対応

IAEAと米国はなぜ日本の汚染水放出決定を支持したのか

登録:2021-04-15 02:23 修正:2021-04-15 08:09
 
福島第一原発の敷地内のタンクに保管中の放射性物質に汚染された水/聯合ニュース

 日本政府が13日、福島第一原発の汚染水の海への放出を決定したことに対し、米国と国際原子力機関(IAEA)が相次いで支持声明を発表したことについて、その背景に関心が集まっている。韓国や中国、ロシアなどの隣国が強く反発する中、米国とIAEAはなぜはばかりもなく日本を支持するのだろうか。

 IAEAは、日本の発表があった当日、ラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長名義の声明を発表し、「日本の決定を歓迎する」と述べた。IAEAの支持はある程度予想できた。グロッシー事務局長は昨年2月に福島第一原発を訪問したのに続き、先月23日にはオンラインで、汚染水について「日本政府の努力を評価する」と述べ、事実上、後援者の役割を演じた。

 1957年に設立されたIAEAは、原発政策において「安全」を強調してはいるものの、基本的には原発の拡大に重点を置く組織だ。原発の危険性を満天下に知らしめた福島第一原発事故の円満な決着は日本政府とIAEAの共通の目標だ、と複数の環境団体は語る。福島第一原発の廃炉と汚染水処理は最重要課題であるだけに、両者は緊密な協力の下に動いているというのだ。

 また、原発大国の一つである日本のIAEAでの影響力は強い。韓国外交部の資料によると、IAEAの正規予算の分担率で日本は8.2%を占め、米国(25%)、中国(11.6%)に次いで3番目に多い。汚染水の海への放出を支持した米国と日本を合わせれば33.2%となり、圧倒的な分担率を占める。韓国は2.2%で11位だ。また、前事務局長は日本の天野之弥氏だ。天野前事務局長は、2009年から死去する2019年までの10年にわたって事務局長を務めた。

 この間、日本の汚染水放出に特に言及していなかった米国による即時の支持声明については、「意外」との反応が多い。気候変動などの環境問題に大きな関心を示してきたジョー・バイデン政権が、海洋生態系や水産物を食べる周辺国に大きな被害を及ぼす可能性のある汚染水の放出を支持したからだ。最近、中国を牽制するうえで、日本の協力がいつになく重要となってきていることで、外交的観点から協力したとみられる。

 日本政府が浄化施設によって除去できないトリチウム(三重水素)に焦点を当てていることも、米国とIAEAを日本側に立たせた要因だという分析もある。トリチウムは日本だけでなく、米国、中国、韓国など原発施設のある他の国々でも、各国が定めた基準値以下にして海に放出している。IAEAと米国が日本の決定について「国際基準に適合する」と言った理由はここにある。

 しかし、福島第一原発のタンクに保管されている汚染水は、事故で溶けた核燃料の冷却水に雨水や地下水が混ざっており、トリチウムだけでなく人体に致命的な放射性物質が含まれている。一度は浄化したものの、汚染水の約70%にはセシウム、ストロンチウム、ヨウ素などの放射性物質が依然として含まれている。日本政府は、再び浄化して放射性物質を基準値以下に下げると強調しているが、2次浄化の結果はまだ正確には公表されておらず、懸念の声があがっている。

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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 米軍の特権を定めた日米地位協定24条では、日本側の米軍駐留経費負担を定めています。しかし、具体的に明記されているのは土地の賃料などに限られています。

2021-04-15 10:07:39 | アメリカの対応

20年度 米軍経費 7976億円

日本の高額負担常態化

半分は支払う義務なし

 日本政府が2020年度に計上した在日米軍関係経費の総額が7976億円となりました。過去最高の18年度に次ぐもので、おおむね8000億円規模の負担が常態化しています(グラフ)。日本共産党の21年度衆院予算委員会要求資料(防衛省分)に基づき、本紙が計算したものです。


写真

(写真)工事が強行される辺野古・大浦湾=2020年8月30日、沖縄県名護市(小型無人機で撮影)

 日米両政府は4月以降、新たな在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)特別協定の締結交渉に入りますが、米側は「対中国」での同盟強化を掲げ、さらなる負担の増大を求めるとみられます。

 米軍の特権を定めた日米地位協定24条では、日本側の米軍駐留経費負担を定めています。しかし、具体的に明記されているのは土地の賃料などに限られています。米軍関係経費のうち約5割にあたる3930億円((1)思いやり予算1993億円(2)在日米軍再編経費1799億円(3)SACO〈沖縄に関する日米特別行動委員会〉経費138億円)は、地位協定上も支払う義務がありません。

図
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 とりわけ、沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設をはじめとした在日米軍再編の拡大が日本側の負担を大きく引き上げています。米議会調査局の日米関係に関する最新の報告書(6日付)は、米軍再編計画に伴う(1)辺野古新基地(2)在沖縄海兵隊のグアム移転(3)岩国基地(山口県)への空母艦載機移転―を「戦後最大級の基地建設」と指摘しています。

 また日本政府は、基地従業員の給与や米兵の住宅・娯楽施設、水光熱費などを盛り込んだ「思いやり予算」について、年間2000億円規模を維持。うち1500億円以上を占める特別協定分について、米側は増額を求めています。

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黒川弘務東京高検検事長(当時)の定年延長を強行。それを正当化するため、検察庁法改定案に検察官の定年延長などの特例を盛り込みました。

2021-04-14 10:40:31 | これが岸田・元安倍内閣の本質

2021年4月14日(水)

検察官の定年延長特例

法相“国民の批判重く受け止め削除”

山添氏に答弁

写真

(写真)質問する山添拓議員=13日、参院法務委

 政府が13日に国会提出した国家公務員法改正案で、検察官の定年延長に関する特例を削除したことについて、上川陽子法相は同日、「昨年の改正案が国民の理解を十分に得ることができなかったことを重く受け止めた」と述べ、昨年の誤りを事実上認めました。参院法務委員会で、日本共産党の山添拓議員に答弁しました。

 検察官の定年延長をめぐっては、安倍晋三前政権が昨年1月、国家公務員法の定年延長の規定を検察官にも適用できると解釈変更し、黒川弘務東京高検検事長(当時)の定年延長を強行。それを正当化するため、検察庁法改定案に検察官の定年延長などの特例を盛り込みました。

 山添氏は、「#検察庁法改正案に抗議します」の声が広がり、検事総長OBなどの反対意見もあり、昨年の改定案は廃案に追い込まれたと指摘。「政治による検察の私物化を許すなという国民の声を受け止めたのだな」とただしました。

 上川法相は、「極めて重く受け止めている。国民の信頼なくして検察官の勤務もあり得ない」と答弁。川原隆司刑事局長は、今改正案では検察官について定年延長の「適用除外規定を明確に設ける」と述べ、解釈変更の撤回も事実上、認めました。

 山添氏は「司法の独立を脅かす政治を断じて行うことのないよう重ねて求める」と強調しました

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裁判所が行政機関にベトナム戦争民間人虐殺事件のすべての資料を要請したのは今回が初めて。

2021-04-14 08:07:11 | 歴史に照らして整合性を!

韓国裁判所、

「ベトナム戦争民間人虐殺」資料を国情院と国防部に初めて要請

登録:2021-04-13 03:55 修正:2021-04-13 07:29
 
代理人団「行政機関に対する民間人虐殺事件の 
すべての関連資料の事実照会要請は初」
 
民主社会のための弁護士会(民弁)のベトナムTF関係者が昨年4月21日、ソウル中央地裁前でベトナム戦争韓国軍民間人虐殺国家賠償請求の訴状提出に際し、記者会見を行っている/聯合ニュース

 韓国の裁判所が、国家情報院(国情院)と国防部に対し、ベトナム戦争当時の韓国軍による民間人虐殺に関する資料を送付するよう要請した。裁判所が行政機関にベトナム戦争民間人虐殺事件のすべての資料を要請したのは今回が初めて。

 ソウル中央地裁民事68単独のパク・チンス部長判事は12日、「フォンニィ・フォンニャット事件」の民間人虐殺の被害者グエン・ティ・タンさんが韓国政府を相手取って起こした初の国家賠償訴訟の第2回口頭弁論で、「グエン・ティ・タン側の代理人団が大韓民国、国情院、国防部に対して事実照会を申請した事案があるが、まだ返事が来ていない」とし「実際に資料を提出するかどうかは結果を見守る」と明らかにした。裁判所が被害者側の事実照会申立てを受け入れたのだ。

 グエン・ティ・タンさん側の代理人団は口頭弁論後、記者団に対し「裁判所が行政機関に(ベトナム戦争当時の韓国軍による民間人虐殺事件に関する)事実照会を要請したのは初めて」とし「裁判所も、2つの資料が出てこないと事件の争点についての具体的な審理は不可能だと判断したとみられる」と説明した。

 「フォンニィ・フォンニャット事件」は、1968年2月に韓国軍青龍部隊がベトナムのクアンナム省ディエンバン市社ディエンアン坊フォンニィ・フォンニャット村の70人あまりの住民を殺害した事件。当時8歳だったグエン・ティ・タンさんは、家の周りで青龍部隊第1大隊第1中隊の兵士に銃で左のわき腹を撃たれて重傷を負い、手術で命拾いしたものの、今でも後遺症に苦しんでいる。当時、グエンさんの家族5人が命を失い、14歳の兄は大怪我をした。韓国軍は1964年9月から1972年まで31万2000人あまりをベトナムに派兵しており、この期間における韓国軍による民間人虐殺事件は80件あまり、被害者数は9000人あまりに達すると推定される。

 グエン・ティ・タンさんの代理人団は昨年4月、韓国政府を相手取って初の国家賠償訴訟を起こした。代理人団は裁判所に対し、国情院が青龍部隊第1中隊の3人の小隊長ら、同中隊幹部を調査した際の尋問調書や報告書などについての事実照会を申立てていた。国情院は今月5日、同文書のリストを公開するよう命じた最高裁の確定判決を受け、「チェ・ヨンオン釜山(プサン)、イ・サンウ江原、イ・ギドン・ソウル」と記された文書のリストを公開した。

 また代理人団は、グエン・ティ・タンさんを含む民間人虐殺の103人の被害者が、2019年4月に真相調査と公式謝罪を求めて韓国政府に提出した請願書について国防部が検討した資料も、同時に要請している。当時、国防部は「国防部の保有資料では、韓国軍による民間人虐殺に関する内容が確認できず、韓国側の単独調査ではなくベトナム当局との共同調査が先行すべきだが、韓国、ベトナム両政府の共同調査環境はまだ整っていない」と述べ、60の市民社会団体が反発している。

 口頭弁論に先立ち韓国政府は、消滅時効の完成や相互保証原則などの法理についての準備書面を裁判所に提出した。民事訴訟である国家賠償訴訟は、不法行為が発生した日から5年以内に起こさなければならないが、消滅時効が完成しているうえ、韓国人がベトナムの裁判所で国家賠償訴訟を起こせる場合に限り、ベトナム人も韓国の裁判所で国家賠償訴訟を起こせるとする「相互保証原則」にも反するとの趣旨だ。これに対し、グエンさんの代理人団は「不法行為による国家賠償訴訟で消滅時効を主張するのは権利の濫用」とし「相互保証原則を厳格に適用するのも適切でない」とする内容の反論書面を提出している。

チョ・ユニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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日本側に対し、透明な情報公開および周辺国との協議を通じた決定を強調してきた」とし「日本側が十分な協議なしに福島第一原発の汚染水の海洋放出を決定することになれば、これは受け入れがたい」と付け加えた。

2021-04-13 16:27:40 | 今の大本営=首相官邸

韓国政府「福島第一原発の汚染水の放出決定は受け入れがたい」

登録:2021-04-13 03:57 修正:2021-04-13 06:50
 
日本の13日の関係閣僚会議を前に警告
 
韓国外交部//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は、日本政府による福島第一原発の汚染水の海洋放出方針発表を前に、「深刻な憂慮」を表明した。

 韓国政府は12日、外交部報道官名義の論評を発表し、その中で「13日に日本政府が福島第一原発の汚染水に関する関係長官会議を通じ、福島第一原発の汚染水を海洋放出するとの基本方針を決定する予定とされていることについて、政府は今回の決定が今後の韓国国民の安全と周辺環境に直接・間接的な影響を及ぼし得るという点から、深刻な憂慮を表する」と述べた。続いて「政府はこの間、日本側に対し、透明な情報公開および周辺国との協議を通じた決定を強調してきた」とし「日本側が十分な協議なしに福島第一原発の汚染水の海洋放出を決定することになれば、これは受け入れがたい」と付け加えた。

 そして「政府は韓国国民の健康と周辺環境の保護を最優先の原則として、放射能測定を大幅に拡大し、モニタリングも強化していく予定」と述べた。論評はまた、韓国政府は日本側の放出決定と関連手続きの進行過程を注視し続ける一方、国際原子力機関(IAEA)など国際社会との協力を強化して、対応し続けていく予定であると述べた。このような対応の一環として政府は、IAEAの専門家団に韓国の専門家を派遣し、福島第一原発の汚染水処理の検証過程に直接参加する方策を推進している。

 日本のメディアは先日、日本政府が13日に関係閣僚会議を開き、福島第一原発敷地内のタンクに保管中の放射性物質に汚染された水を海洋放出することを決定する予定だと報じた。野党などの反発にもかかわらず、夏の東京五輪と秋までに行われる衆議院選挙を考慮すれば、汚染水処理問題を決定する時期は今しかないという解釈もある。日本政府は昨年末に汚染水放出方針の発表を準備していたものの、新型コロナウイルス感染症の急激な拡散や菅義偉首相の支持率下落などにより、先送りしていた。

キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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