企業の経済活動の成果として、お金と利益があることを、No6とNo7で説明しました。
成果を測る指標として、どっちが優れているのでしょうか。
または、なぜ二つの指標が必要なのでしょうか。
検討する上で、次のような事例で説明してみようと思います。
この設定で、X0期からX2期までのお金計算書を作成すると次のようになると思います。
X0期では、お金が150,000増えていますが、売上、費用は変わらないのに、X1期1,000、X2期は500、お金が減っています。
期間の企業の活動の成果として、売上、費用は変わらないのに、成果としてのお金は、増えたり減ったりしています。
「期間の企業の活動の成果として、これでいいのでしょうか?」という疑問が当然出て来ます。
利益計算書はどうでしょうか。
利益計算書は貸借対照表と一緒に考える必要がありますので、貸借対照表も示してみます。
次のようになると思います。
利益計算書において、期間の活動の成果である利益は、通常の営業活動から得られる成果(売上から人件費・物件費を差し引いたもの)をより反映していることが分かります。
ここで、私が一番言いたいことは、借入をすれば、価値のある資産であるお金が増加します。
しかし、価値を外部に支払う義務(負債=マイナスの価値、マイナスの資産と考えていいと思います)も同額だけ増えてしまうのです。
一方、通常の営業活動から得られる成果(売上から人件費・物件費を差し引いたもの)によるお金の増加は、価値を外部に支払う義務はありません。
営業活動によって獲得したものだからです。
この点から考えると、借入金によるお金の増加を、活動の成果に含めない利益計算書は優れていると考えられます。
ただ、お金計算書においても、通常の営業活動によって得たお金と借入金のような財務活動によって増減したお金を区分して記載するようになっています。
ただし、翌期になると分からなくなってしまいます。
企業にとって、ある期間のお金が増えたといっても、何によって増加したのかが重要なのです。
家計(個人)においても、お金が増えて、高級品を買うことができた、贅沢な暮らしができたといっても、それが借入金によるものである場合は、注意が必要ということです。
政府や地方自治体も同じです。
当たり前のことです。
会計に関連した私の考えについて、書こうと思います。
できるだけ分かり易く書きたいのですが、難しくなるときもあるかもしれません。
会計は分からないけど興味がある方、会計を勉強したいと思っている方、会計に携わっている方、何かのご縁で私のブログを読んでいただいた皆様のお役に立てれば幸いです。
皆様に、神さま仏さまのご加護がありますように。
61歳のオッサン公認会計士でした。
では、また。