今回から経営者保証に関するガイドラインに関して、中小企業が最初にすべきことについて解説します。
最初にしておくことは次の4つです。
1.自社の債務者区分を知る
2.目的を明確にする
3.いつやるかを決める
4.0にするのか、減額するのかを決める。
今回は、「自社の債務者区分を知る」です。
経営者による債務保証の見直しについて金融機関と交渉しようとする場合は、まず、自社が、どの債務者区分にあるのかを確認する必要があります。債務者区分に応じて金融機関との交渉方法が違ってくるからです。
債務者区分と交渉方法等を簡単にまとめると次のようになります。おおまかですが、今後の方向性を決定するひとつの目安になると思います。
ガイドラインでは、保証債務の見直しを平時と非常時に分けて記載しています。
平時とは、中小企業が通常通り事業を継続していけている状況のことで、この場合の取扱いは、「4.経営者保証に依存しない融資の一層の促進」「5.経営者保証の契約時の対象債権者の対応」「6.既存の保証契約の適切な見直し」に記載されています。
一方、非常時とは、中小企業が金融機関に対して債務免除(借金棒引き)をお願いするような状況のことで、この場合の取扱いは、「7.保証債務の整理」に記載されています。
このように債務者区分によって、金融機関との交渉方法が違ってくるため、まず、自社の債務者区分を知っておく必要があるのです。
金融機関は融資をしている中小企業をどれかの債務者区分に評価しています。金融機関が教えてくれれば分かりますが、多分教えてくれません。教えてくれない場合は、自社で推測するか、専門家に推測してもらうかのどちらかです。
この場合の専門家は、融資業務に詳しく会計全般・監査・内部統制の知識がある専門家が適しています。金融機関での融資経験又は金融機関の監査経験がある公認会計士にお願いするといいでしょう。
債務者区分の推測(判定)は、中小企業の決算書類等を基に行いますが、次の点に注意していください。
まず、決算書をそのまま使うのではなく、決算書を評価できる状況に修正して判定を行います。これは上記の公認会計士がしてくれるはずです。
次に、仮に取引金融機関が債務者区分を教えてくれた場合、公認会計士が判定した債務者区分が、それよりも低くなる可能性があるということです。金融機関は債務者区分を下げないように評価している場合が多いのです。このような場合は実質的な判定を行うべきで、公認会計士の判定を基に、見直しの方向性を考えた方が良いと思います。
最後に、社長が考えているよりも厳しい結論になることもありますので、心の準備をしておいてください。
次回は、経営者保証の見直しをする「目的を明確にする」ということについて、お話ししたいと思います。
いつになるか分かりませんが。
52歳のオッサン公認会計士でした。
では、また。