29日、日本郵政はオリックスグループへの「かんぽの宿」の一括譲渡を断念した。70施設の一括譲渡額が簿価(123億円)にも満たない109億円だったこともあるが、どうも鳩山総務相はオリックスの宮内氏が気に入らないようである。しかし、日本郵政側にも言い分があるそうだ。郵政民営化に際し、「かんぽの宿」は5年以内の売却か廃止を義務づけられている上、従業員の雇用確保という「足かせ」も付けられているという。で、オリックスへの一括譲渡は渡りに船だったのであるが、100%株主の総務省の鳩山さんの一声でオジャンになったようである。
「かんぽの宿」は70施設の土地取得代と建設費が総額約2400億円にのぼるというが、年40億~50億円の赤字を計上しており、「持てば持つほど負担になる」状態だという。されど、今の経済情勢では施設の個別売却に応じる企業は少ないだろうし、黒字経営の施設だけが売却できても困るわけだ。
しかし、旧日本郵政公社は、民営化前の2006年から07年にかけて、自治体や民間などに「かんぽの宿」15か所を売却したが、その売却額は全体の建設費約311億円に対して、計約13億円だったという。このうち鳥取県岩美町、鹿児島県指宿市の「かんぽの宿」は、それぞれわずか1万円の価格が付けられていたそうである。15ヶ所が一括譲渡だったにせよ、民営化前の国有財産であった頃にこんないい加減な価格設定で売却された時には問題にせず、今回の一括譲渡を強硬に反対するというのはちょっとおかしい。
しかも、鳥取県岩美町の「かんぽの宿」を土地代含め1万円で購入した東京の不動産開発会社は、半年後に鳥取市の社会福祉法人に6000万円で転売していたという。民営化を控えた郵政公社が売り急いだ結果、買い手企業に短期で巨額の利益をもたらしたのである。その後、建物は1億円以上をかけて改修され、現在は温泉付き老人ホームになっている。
この鳥取県の「岩井温泉かんぽの宿」には6年くらい前に一度宿泊したことがあり、低料金の割には食事が豪華で満足した。昨年12月、鳥取へカニを食べに行こうということになり、ここのHPにアクセスしたら外観はそのままだが、名称が変り温泉付きの老人ホームになっていたのには驚いた。
30日の新聞記事だが、現在、特別養護老人ホームへの入所待機者が少なくとも全国で38万2000人、これだけ待機者がいれば入所するのはなかなか難しい。わが岡山県は岡山市だけでも38施設定数2315床に対し、待機者は6317人と定数の3倍弱だという。
国は介護保険制度の開始以来、在宅サービスを重視し、行政は施設増設に消極的だった。そのため、家族の介護負担は重く、親子や夫婦による老老介護、果ては虐待や殺人など悲惨な事例が相次いでいる。私のように独居老人にとっては終の棲家は老人福祉施設であり、すぐは入れないようでは不安である。
今、高齢者が一番に望んでいることは安心して過ごせる老後である。そこで、老人ならではのアイデアが浮かんだ。もし仮に、オリックスに譲渡されていたら、オリックスはこれら70の施設をどのようにするつもりだったのだろうか。まさか、そっくりそのまま「かんぽの宿」として経営するつもりはなかろう。そこで、一括譲渡が白紙になった今、総務省はあの不評高い定額給付金の2兆円を出資し、70の施設を改修して福祉施設を作り、各自治体や社会福祉法人に売却したらどうだろう。鳥取の例のように1億円ほどあれば改修できるのだから、70施設でも100億円あれば充分改修できるだろう。新たに土地を確保して建設するよりよほど安上がりだし、きっとすぐに買い手がつくのではないだろうか。
また、静岡県のJA静岡厚生連が運営する清水厚生病院は、医師不足で診療科が減って空きベッドが増えることから、363床ある一般病床の約6割を今年4月から2年かけて特別養護老人ホームに転換することを決めたという。病院が併設した特養は理想的で、こういう柔軟な発想の転換は大いに歓迎だ。
「かんぽの宿」は70施設の土地取得代と建設費が総額約2400億円にのぼるというが、年40億~50億円の赤字を計上しており、「持てば持つほど負担になる」状態だという。されど、今の経済情勢では施設の個別売却に応じる企業は少ないだろうし、黒字経営の施設だけが売却できても困るわけだ。
しかし、旧日本郵政公社は、民営化前の2006年から07年にかけて、自治体や民間などに「かんぽの宿」15か所を売却したが、その売却額は全体の建設費約311億円に対して、計約13億円だったという。このうち鳥取県岩美町、鹿児島県指宿市の「かんぽの宿」は、それぞれわずか1万円の価格が付けられていたそうである。15ヶ所が一括譲渡だったにせよ、民営化前の国有財産であった頃にこんないい加減な価格設定で売却された時には問題にせず、今回の一括譲渡を強硬に反対するというのはちょっとおかしい。
しかも、鳥取県岩美町の「かんぽの宿」を土地代含め1万円で購入した東京の不動産開発会社は、半年後に鳥取市の社会福祉法人に6000万円で転売していたという。民営化を控えた郵政公社が売り急いだ結果、買い手企業に短期で巨額の利益をもたらしたのである。その後、建物は1億円以上をかけて改修され、現在は温泉付き老人ホームになっている。
この鳥取県の「岩井温泉かんぽの宿」には6年くらい前に一度宿泊したことがあり、低料金の割には食事が豪華で満足した。昨年12月、鳥取へカニを食べに行こうということになり、ここのHPにアクセスしたら外観はそのままだが、名称が変り温泉付きの老人ホームになっていたのには驚いた。
30日の新聞記事だが、現在、特別養護老人ホームへの入所待機者が少なくとも全国で38万2000人、これだけ待機者がいれば入所するのはなかなか難しい。わが岡山県は岡山市だけでも38施設定数2315床に対し、待機者は6317人と定数の3倍弱だという。
国は介護保険制度の開始以来、在宅サービスを重視し、行政は施設増設に消極的だった。そのため、家族の介護負担は重く、親子や夫婦による老老介護、果ては虐待や殺人など悲惨な事例が相次いでいる。私のように独居老人にとっては終の棲家は老人福祉施設であり、すぐは入れないようでは不安である。
今、高齢者が一番に望んでいることは安心して過ごせる老後である。そこで、老人ならではのアイデアが浮かんだ。もし仮に、オリックスに譲渡されていたら、オリックスはこれら70の施設をどのようにするつもりだったのだろうか。まさか、そっくりそのまま「かんぽの宿」として経営するつもりはなかろう。そこで、一括譲渡が白紙になった今、総務省はあの不評高い定額給付金の2兆円を出資し、70の施設を改修して福祉施設を作り、各自治体や社会福祉法人に売却したらどうだろう。鳥取の例のように1億円ほどあれば改修できるのだから、70施設でも100億円あれば充分改修できるだろう。新たに土地を確保して建設するよりよほど安上がりだし、きっとすぐに買い手がつくのではないだろうか。
また、静岡県のJA静岡厚生連が運営する清水厚生病院は、医師不足で診療科が減って空きベッドが増えることから、363床ある一般病床の約6割を今年4月から2年かけて特別養護老人ホームに転換することを決めたという。病院が併設した特養は理想的で、こういう柔軟な発想の転換は大いに歓迎だ。
買い取った企業がホテルを継続しても採算が合うという保証もないのでそういうところは税金で老人ホームに改装してから払い下げればそれなりの価格で落札されるでしょうね。
最近何かと「埋蔵金から」と言っていますが埋蔵金だって無尽蔵じゃないはず。
目先の12000円を貰うよりも福祉に回すべきですよ。
私もいい考えだと思うのですが、こういう国民の意見を取り上げてくれるような窓口はないものでしょうか。
官がもてあましている物を、民からいろんなアイデアを募って解決してゆくというのも悪いことではないですよね。
とにかくお役所というところは柔軟な発想が足りません。
またこれを野党が取り上げて政争にしようとしています。もういい加減に選挙で決着をつけるべきでしょう。