オバマ新大統領に世界中が期待！・・・

　２０日、いや午前１時だからもう２１日だった。オバマ新大統領就任式の中継見たさに眠い目をこすりながら３時まで起きていた。そして、そのままコタツにもぐりこんで４時半ごろ、今度はホワイトハウスまでのパレードの様子をずっと見たのだが、いやはや、驚いた。アメリカ国民はすごい！　これほど熱くなれるとはうらやましい。
　２００万人と言われる大観衆、いかにオバマ氏への期待度が高いかである。そして、相変わらずオバマ氏の演説の上手さ、言葉の魔術で人心をひき寄せる芸当ができるオバマ氏のカリスマ性はすごい。優秀なスピーチ・ライターが草稿するそうだが、まるで自分の言葉でしゃべっているかのような滑らかさ、力強さ、下を向いて官僚が作った原稿を読むだけのわが国の宰相とは大違いである。
　それに、ミシェル夫人の堂々たる様子、頼もしいという印象さえ受けた。きっと良きファーストレディー、大統領の良きブレーンになりそうである。また、オバマ氏の２人の娘にも驚いた。あれだけたくさんの大人に囲まれながら、常に笑みを絶やさず、堂々と大人顔負けのレディー振りにはほとほと感心させられた。同年代の日本の子どもではとても考えられないことである。
　アメリカでは政治家のファミリーが公の場に出るのは当たり前なのだろう。昔ながらの男社会で閉塞的な日本の政界とは大違いだが、ああしていつもファミリーが周囲にいたら、人として父親として恥ずかしいことはできないと、おのれを戒める気持ちになりはしないだろうか。案外、足かせ手かせになっていいのかもしれない。　

　オバマ新大統領の支持率は８２％とか、麻生さんが総理大臣になったときは５０％にも満たなかったが、それも今では２０％を切っている。先日、スーパーニュースに出演した麻生さんに、木村キャスターが「支持率が低いのは、国民の信を問う選挙をしないからではないか」というと、麻生さんは「アメリカのように国民の直接選挙（厳密には違う）によって選ばれる大統領制とは違い、日本は代議士によって選ばれる政党内閣制だからそれは関係ないでしょう」と、そんなふうに言ったと記憶している。
　自民党が政権政党であるとはいっても、郵政民営化選挙で圧勝した小泉政権を引き継いだだけで、安倍・福田と２度にわたりわずか１年足らずで政権を投げ出していながら一度も選挙が行われていない。これを国民がどう思っているかである。今、国民に信を問えばおそらく自民党の議員数は大幅に減り、単独過半数は無理だろうともいわれている。だが、これは民主党とて同じこと、アンチ自民党＝民主党ではないことだけは確かで、責任政党として自民党、民主党のどちらがふさわしいか、だんだんわからなくなってきた。

　先日の「たかじんのそこまで言って委員会」で、「どうしたら麻生さんは解散するだろうか？」という質問に、ざこばが面白いことを言った。「奥さんが、あんた、もういいかげんにしなはれやと言ったら、すぐに言うことを聞くよ。どこでも奥さんの力は強いから…」で、みんな大笑い。ミシェル夫人なら案外そういうかもしれないなあ。
　大統領選挙に出馬する候補者の資格は、合衆国民であること、年齢は３５才以上で、１４年以上アメリカに住む市民であることという簡単な規定だ。志さえあれば誰でも利候補できるのだが、いずこの国も選挙に金は付きもの、やはり知名度と資金力がなくては長い予備選挙は闘えない。大統領は任期を終えると第一線から退き、あまり政治の表舞台に登場することはないようだが、日本では元総理経験者という看板を引っさげ、いつまでも政界に居座り、事あるごとに口出しをする。だから、優秀で能力があっても若い政治家が頭をもたげるのは難しいだろう。
　
　力強いリーダーの出現で活気づいたアメリカ、期待されればされるだけそれだけ失望の度合いも大きい。「アメリカが風邪をひけば日本はくしゃみする」といわれてきたが、今回はアメリカの風邪で日本はおろか世界中が重症の“肺炎”に罹り瀕死の状況にある。いまや、オバマ氏に期待しているのはアメリカ国民だけではない。成功を祈りたい。