「宿題代行業」なるものが大繁盛・・・

　長い夏休みが終わった。今年は１日、２日が土・日であったため、３日が始業式だった。お昼前、家のすぐ近くの小学校の横を通ったら、全校生徒が帰り支度をして校庭に集合していた。正面の台の上では、校長先生らしき人がマイクを持って話をしていた。
　ちょうど３年前の９月３日、市内の小学生・筒塩侑子ちゃん（当時９歳）が学校から帰った直後に自宅で殺害された事件があり、それが未解決のまま３年が過ぎた。あの事件以後、子どもたちの安全を守るために地域のボランティアの協力を得て、学校でも安全対策に積極的に取り組むようになった。校長先生は、その侑子ちゃんの話をして、子どもたちに注意を促していたのだろう。
　家にいても授業の始まりや昼食時間、下校時などにはチャイムの音や放送委員のアナウンスの声が聞こえる。夏休み中は静かだったが、またにぎやかな新学期が始まった。

　ところで、みんな宿題はちゃんとできただろうか。夏休みの宿題は親にとっても頭の痛いことらしい。私の姪も３人の男児の宿題では頭を悩ましていた。毎年お盆休みには、友人の家族と一緒に泊りがけでどこかへ行っていたが、今年はその予定はないという。自営業だが家と事務所が離れているので、親の目が届かないことをいいことに、子どもたちは宿題を放り投げ毎日遊んでばかりいる。そこで、お盆休みは監禁してきっちり宿題をさせるのだと意気込んでいた。かわいそうに、肝っ玉かあさんはこわいぞう
　親友のところのお孫さんも「あさがおの観察日記」ができてないので、先日の皆既月食の観察に変更すると言っていたそうだが、あいにくお天気が悪くお月さんは全く見えなかった。「観察日記」の宿題はどうしたのだろうか。
　そんな、子どもにとっても親にとっても悩みの種の宿題を、有料でやってくれる「宿題代行業」がインターネット上に現れたそうだ。２日夜のフジテレビ系番組「新報道プレミアＡ」でも報道されていたが、大繁盛で、それも親の方が依頼する例が増えているという。なかには小中学生の児童生徒本人からの依頼もあるようだが、一番多いのは「はじめからお金で何とかしようとする親」からの依頼だという。「家での学習の習慣をつけるというのが宿題の趣旨だ」と、文科省はこれを問題視しているというが、親が子どもを教育できなくなった「バカ親」が増えているということである。
　宿題代行サイトを主宰するのは大阪市内の２０代の男性で、このサイトには東大や京大、阪大、関関同立など全国の有名大学生らが多数登録しているという。代行料金は、夏休みの宿題の定番である工作が５万円、自由研究が２万円、原稿用紙３枚程度の読書感想文が２万円。算数の問題が１問５００円、算数ドリル１式が２万円という相場らしい。そのほか、大学生のリポート（２万円～）や卒業論文（３０万円程度）まで幅広く手がけているそうである。
　また、子どもたちが一番困っているのが読書感想文だそうで、その下書きというか、空白部分に必要事項を挿入すれば読書感想文が仕上がるという本がバカ売れだとか…。本屋の店頭に何種類も並べられているのをカメラが捉えていた。子どもたちが、こういう穴埋め式で出来上がった、画一的な感想文をそのまま提出するようになったらどうなるのだろう。
　そういえば、昔は、自由工作など親に協力してもらったり、なかには親がほとんどやってしまったりすることはよくあった。しかし、今は両親共働きで忙しく、時間も気持ちの余裕もなくなっている。また、子どもの方も親に頼るとうるさいので、ネットを利用するのかもしれない。親子関係の希薄さも問題だが、何でもお金で解決しようとする親の意識が、子どもに与える影響が心配である。