イエスの方舟・・・

　東京都東大和市で、11人の女性と一夫多妻制のような集団生活をしていた渋谷容疑者(57)が脅迫容疑で逮捕されたが、まさにハーレムそのものである。しかし、ハーレムの優雅さとは少し違い、女性たちを働かせ、この男が家事をしていたというから面白い。たこ入道のような頭、ちょっと松平健を思わせるような風貌のこの男に、11人もの女性が魅かれたものは何だったのだろうか。
　この事件から、1975年頃に起きた「千石イエスの方舟」事件を思い出した。26人の女性を引き連れ放浪の末、1980年に博多に根を下ろした「おっちゃん」こと千石剛賢の事件である。詳しいことは忘れたので、「イエスの方舟」漂流後二十年・・・を読んでもらいたい。この事件は犯罪性はないとされ、千石イエスの死後も、今尚共同生活を続けているという。

　世の中には私などの想像も及ばない奇妙てきれつなことが多い。誰が見ても「こんな男のどこが・・・」と思うような男に限って、案外女にもてるのである。男は顔ではないというが、やはりイケメンに越したことはないし、女とて「女は愛嬌」というがそれでも美形の方がいいに決まっている。この世に男と女しかいない限り、愛憎の末の犯罪も多い。しかし、この事件や千石イエスの事件のように、取立てて魅力もない男が多数の女たちに君臨し、慕われ、この世の春を謳歌している奇妙な男女関係もあることに驚く。。
　私など老齢の域に達し、おんなが終わりかんな（アイウエオのオが終わり、カキクケコのカの意）になると、色気より食い気で、とうてい私には、この男の気持ちも、女性たちの気持ちも全く理解できない。
　脅迫容疑さえなければ一夫多妻制は法律違反ではないが、この集団生活を維持していく男も、色んな意味でなかなか楽ではなかろうと思うがどうだろう。