2日付毎日新聞に【東日本大震災の被災地で、パチンコ店がいち早く復旧し、にぎわっているという。銀玉をはじく被災者の胸の内はいかなるものなのか。“自腹”の軍資金1万円を握りしめ、被災地のホールをのぞいた。】という文章で始まる記事があった。見出しは『東日本大震災の被災地でパチンコ店がはやるワケ』、詳細はサイトを読んでいただきたい。
記事の中ほどに【石巻市で地域に密着した被災者支援を続ける「NPO石巻復興サポートセンター」の遠藤司さんは「震災後、厳しい現実から逃れるためにパチンコ店を訪れ、深みにはまる人も多い。震災が言い訳になっている側面もあるでしょう。孤独を深めた一部の被災者がギャンブルやアルコールに依存していく悲劇が生まれています」と話す。】とある。
何かに夢中になって現実を忘れたいという心情は理解できなくはない。が、豊かではない生活資金をパチンコにつぎ込んで勝った負けたと一喜一憂する。そのうたかたの時が過ぎると、どんな気持ちになるかは聞かなくても分かる。ギャンブルやアルコールで一時的に憂さを晴らしても、残るのは虚しさと無力感、絶望感に孤独感…、より現実を直視させられるだけではないか。
大震災後、離婚する夫婦の数が急増したという話も耳にした。大震災で失ったものは家や物だけではなく、目には見えない大事なものを失くした人も少なくない。復興・復旧作業で形あるものは元に戻せるが、一度壊れた夫婦・親子の絆はもう取り戻すことはできない。この虚無感からギャンブルやアルコールに依存してゆくのだろうが、大震災を言い訳にする甘えは自分をダメにするだけではないだろうか。
記事の終わりの方に【午後7時。同じ店を再び訪れると店内は順番待ちする人まで出ていた。中学生ぐらいの女の子が、誰かを捜している。出玉の箱を5箱積み上げていた女性の所へ。短く言葉を交わすと女性が1000円札を手渡した。女の子の顔が一瞬、悲しそうにゆがんだ。
店を出た女の子に追いついて「お母さんなの?」と声をかけると、うなずいた。「1000円もらったよね?」「『隣でご飯を食べておいで』って。あそこのレストランに行くところ」「お母さんは毎日パチンコに来るの?」「『パートに行く』と出ていくのだけれど……」。最後は消え入りそうな声だった。】という話がある。
この少女のやるせない心情を思うと、かわいそうで切なくなってくる。気持ちのはけ口を見つけられる大人はいいが、親から見離された子どもは辛い寂しい気持ちをどこへ持ってゆけばいいのか。親のエゴで犠牲になるのはいつも子どもである。大人へのサポートも大事だが、何の力も持たない弱い子どもたちの心のケアにより一層の配慮を願いたい。
今の日本の現状では、これから自分たちはどうなるのだろうかと不安になるのも無理はない。「国民のための政治」を掲げながら、国民に安心感を与えるどころか、何もかもが不安材料ばかりで、期待できるものは一つもない。連日、国会では茶番のような迷走劇が繰り返されているが、「何も決められない政治」「前に進まぬ政治」に国民はあきれ果てていることを、政治家たちは知るべきである。
政権与党でありながら、小沢氏が野田政権との対決宣言をし、公然と反旗を翻した。内閣不信任案に同調することも否定しなかったという。これは菅元総理退陣時の状況に似ているように思えるが、政権与党の体たらくにはつくづく愛想が尽きる。
災害に合って、初めて人の本当の心が分かるのではないでしょうか。
大震災の被災者の中には生活保護受給者も少なくないと聞きます。
そうした人々もこうした深みにはまっている人もいるでしょうね。
昔から、世の中が不景気なときほどパチンコ店がはやるといいます。わずかな軍資金を増やそうとするのでしょうが、いつまで続くでしょうね。
コメントありがとうございます。
未来が見えない状況で生きてゆかねばならぬ苦悩は計り知れません。
でも、せめて子どもたちには明日への希望が持てるよう大人が守ってやらなければならないと思います。
昨今、またまた幼児虐待死のニュースが多くなりました。こういう大人は絶対に許せませんね。