つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

日本郵便の新サービス「貯金の引き下ろし代行」・・・

2012-09-20 | どう思いますか

 先ごろ、日本郵政グループの「郵便事業会社」と「郵便局会社」は、2012年10月1日合併し新会社「日本郵便」を発足すると発表した。それにともない、新サービスや事業計画を発表。そのなかで、顧客の利便性向上の目的で新たに「貯金の引き下ろし代行」サービスが設けられた。2007年の民営化以降、配達員が「引き下ろしの取次ぎ」サービスを行っていたのだが、これをもう一歩踏み込んだ形にしたサービスである。しかしネットユーザーからは不安の声があがっている。なかには「詐欺の温床になる」と指摘する人もいるという。
 
「貯金の引き下ろし代行」とは、顧客が配達員に貯金の引き下ろしを依頼すると、配達員は通帳を預かって局に持ち帰り、引き継いだ担当が通帳と現金を顧客に届けるというもので、顧客の利便性向上の目的で設けられたという。たしかに、一人暮らしや、足腰の弱いお年寄りには便利なサービスではあるが、私は見知らぬ他人に通帳を預けるということに抵抗がある。また、この記事では肝心の印鑑のことが何も書かれていないが、窓口と同じように「出金票」に引き下ろす金額・住所・氏名を記入、押印して通帳と一緒に渡すのだろうか? 
 
昨今、信頼していた介護ヘルパーが預貯金を勝手に引き出したとか、振り込め詐欺や高価な商品を売りつけたり、高齢者を食い物にする輩が多い。引き下ろしを依頼された配達員と、引き下ろした金と通帳を持ってゆくのは別人のようだが、それでも絶対に問題がおきないとは言い切れないだろう。「人を見たら泥棒と思え」と言われるくらい物騒な世の中だ。猜疑心の強いババはぜったいに利用したくない。

 昔、生命保険でも簡易保険でも、毎月の保険料を担当者が集金するというシステムだった古い時代のこと。集金した生命保険料を懐に入れていたことが会社にバレて首になった知人がいた。大手保険会社に何十年も勤めており、だれもが信頼していたのに、あちこちで被害にあったという噂が町内に広がり、その人の人生はそこでお終い。お酒が好きな人で、毎夜毎夜の酒代に困ったのか、どこでどう魔がさすかもしれぬのが人間なのである。     
 
今でこそ、公共料金や年金、国保を始め、民間保険など、ほとんどが口座振込みが当たり前になったが、安倍内閣下で起きた「消えた年金」騒動のように、コンピュータがぜったい安心ということはない。ましてや人間は弱い動物であり、金銭の誘惑に負ける例は少なくない。高齢者へのサービスは「貯金の引き下ろし代行」だけがではないと思われるが…。 

 ずいぶん古い話だが、2007年10月の郵政民営化以前、岡山県新見市のある過疎地の村には、「幸せの“赤いハンカチ”」と愛称された郵便局のサービスがあった。新見市菅生郵便局長発案のサービスで、一人暮らしや、足腰の弱いお年寄りたちに郵便局のマークのついた「赤いハンカチ」を配り、「何か頼みごとがある時は、このハンカチを家の前に下げてください。そうすれば配達員が寄ります」というものだった。     
 やがて、あちこちの家々にこの「赤いハンカチ」が下がるようになり、その家を配達員が訪ねると、「買い物を頼みたい」「子どもに野菜を送りたい」とか、年金や貯金の引き出しを頼まれることも度々あったという。また、配達がなくても立ち寄り、寂しいお年寄りの話し相手になるなど、安否確認の役割も果たしていたのである。
 
ところが、郵政民営化が進み、この地域の郵便事業は別の地域と併合され分社化された。そのため、「赤いハンカチ」は何の役にも立たなくなったのである。肥大化しすぎた郵政事業をスリム化させる目的で行なわれた郵政民営化であるが、結局、過疎地切り捨ての問題が現実化し、お年寄りとの“絆”も断ち切られることになった。

 2007年4月、ローカルニュースで2回にわたりドキュメンタリー番組「赤いハンカチが消えてゆく」と題して放送され、2007年度テレメンタリー優秀賞を受賞している。 
 
 
 
過疎地に住む高齢者の心の拠り所であった「赤いハンカチ」サービス。お年寄りと局員との間に信頼関係が生まれ、絆が生まれ、心温まる話がいくつもあったという。これも「親方日の丸」体制だったからできたサービスで、利益優先の民間企業では有り得ない話である。が、自分が年寄りになってみると、こういう郵便局の存在を懐かしく思う。       

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4 コメント

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オールドレディさま (suri-riba)
2012-09-21 21:51:18
郵政民営化で何が変わった?と言ったらサービスの向上。
こんなに顧客を大事に、言葉使いも急によくなり、“やれば出来るじゃん!”と呆れたものでした。

一方で不便を強いられたところもあったのですね。
でも性善説がこれからも普遍に続いて行くのか・・世の中随分すさんでいますしね。、
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Unknown (オールドレディー)
2012-09-22 09:12:13
★suri-ribaさま
郵政民営化で良くなったことをあげよといわれても私は何一つ上げることはできません。
むしろ、以前の簡易郵便局では窓口の局員と顔見知りになって親切でよかったと思うことがありましたね。
最近は小包でも大きさや重量がほんの少しでもオーバーしたらダメ。それも局員によっては見逃してくれることもあり、融通の利かない杓子定規な点は以前と同じです。
実施されてどの程度利用者があるか、トラブルは起きないか、定着するまで大変でしょうね。
返信する
合併 (渡海 ひろまさ)
2012-09-23 06:41:40
おはようございます

合併するから、今までゆうちょ間の振り込み手数料は無料が、10月からは有料になるのですね。

私も郵政民営化になって良かったこと?思い浮かびません(笑)
そのままで良かったと思っています。
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Unknown (オールドレディー)
2012-09-23 11:15:43
★渡海ひろまささま
合併してどこがどうなるのかさっぱりわかりません。
配達員もバイトで、手紙を配達せずに捨てたりする話も聞きます。
利用する私達のためになるよう頑張ってもらいたいですね。

衆院選も近いような遠いような、野田さんの腹の中は分かりません。
国重さんは衆院選に出られるのですか?
若い力で日本を変えてほしいですね。
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