1、基本的概念について
MIほど、今適当に使われている言葉はないだろう。セミナーで、どのDRもMIであると説明をし、その実、出た症例を見ると、これの何処がMIなのだろう?と感じるほうが多い。
MIはご存知の通り、ミニマムインターベンションとかミニマムインバッシブと言い最小限介入での治療を意味する筈で、その事に異議を挟む方はいないだろう。この最小限介入が曖昧で学問的にキッチリ定義されていない為、現在はまだ、DRが自分でMIと言えばMI、と言う感じではないだろうか。
出だしから、過激な言を繰り広げるが、私はMIをもっと正確に使用して欲しいと願っている。最小限介入と言って、歯肉を切り開き、骨をかなり露出させ手術するのは、何かおかしい時代に入った、と確信している。
歯科用CTデータで、例えば、サージガイド等で手術をしMIを目指すのは、異論はない。MIの根本に歯科用CTがあり、正確にシュミレーションし、切開剥離を少なくして、それがMIの概念で説明されるのも、異議はない。
しかし、従来の手術ドグマに捉われ、何の工夫もなく大きな切開剥離しての手術がMIとは、私には到底思えない。特に外科系のDRで、どんなインプラントオペでもフラップを大きく開き植立手術をして、手術が早く短い事を持ってMIと称するのは、概念が混乱するので止めて頂きたいと強く望んでいる。
何故なら 元々MIが唱えられだしたCR修復や顕微鏡下治療は、決して治療時間は短くない。色々な手順に従う真のMI修復は、必ず従来よりも時間が掛かる。MI根管治療等その際たる例で、歯質削合を極限まで減らすなら、かなりの時間が要る。
このように根本的に始まったMIの概念から考えれば、生体組織を如何に痛めず削らず修復し治すか、がその定義の筈で、そこに時間的概念はない。侵襲を最小限になのだから、大きな切開はMIとは言えない、と私は思う。特にインプラント1本植立で大きく切開し歯間乳頭まで切り開き手術する等、最早改めるべき時期、と提言する。そのような場合、少しの切開でインプラント植立程度は出来る筈で、それで周囲の骨と歯肉が問題を生じないなら、何ら問題無い筈である。
但し、これから解説する手術は、かなりアドバンスである。所謂フラップレス同様盲目的手技になるので、外科的素養が物凄く要求され、結果だけ見ると簡単に見える。しかし、全く簡単ではない。簡単そうと簡単は全く違う。人間国宝の棟梁が鉋掛けして見事な面を作るのは、簡単そうに見える。所が、実際やると、そうは問屋が卸さない。腕と言うのは単純な手技一つに集約され、かなりのレベルに到達しないと、それを正確に理解出来ない。
派手な大きな手術が腕が立つ、ではない場合も有るのだ。とかくビギナーは派手で目立つものに洗脳される。そうなったら、その洗脳から逃れる事は相当難しい。気の毒なのはそうなった若手である。時代が趨勢し、もう大きな外科ではない時に中堅以上に成り、又一から勉強し直しとなってしまう。
こう言う事実が過去にあって、セミナーオタクDRほど逆にヤバイ状況に陥るのだ。いつも言う事だが、セミナーをする場合、最新情報はまず出せない。自分達ですら試行錯誤し、上手く行く方法を確立しようとしている時は、恐くてとても出せないのだ。従って、安全圏で出すしかなく、時代の流れの中でやや難有りでも仕方がないのだ。ここを突破するには質問をし捲くる事、そして海外の学会に参加する事だ。それしかない。嫌がられる位の質問をして、新しい時代の方向性を知る事しかないだろう。
今は私の読みでは新しい創生の時で、生まれ変わる時代だろう。これはどう言う事かと言うと、従来の考えを基に全く新しいものが始まる時代、と見る。かつてインプラントが登場した時、又歯周病治療で論争が激しく、現在の再生療法が出て来た時がそうだった。 再び、MIと言う新概念が生まれ、そのキーワードの下従来の治療が見直され、改良されるのだ。
MIと言う概念が生まれてきた背景は説明するまでもないと思うが、若い先生方は意外に理解していないかも知れないので、一通り説明する。私は卒後23年。その当時の流行は、正に歯周補綴フルマウスリコンストラクション全盛で、今思うと過剰介入も見られた、歯周外科は切除療法、補綴はクロスアーチスプリント、顎位も再構築しセラモメタルでと言うのが理想だった。それがその当時の流れの中、間違っていたとは、決して言えない。その当時は誰もが憧れ、夢見た。
しかし、それが苦い夢だった事は、自分で経験し始め如実に分かった。まず歯髄を取る為、2次カリエスで抵抗力が弱くなり悩まされ、又根管治療での病巣が出来、そこに外科をしないといけなくなる。歯周病でも似たようなもので、弱っている歯を取り込んで歯周環境を安定させ補綴で繋いでも駄目に成って行く。果ては、歯牙が破折し、如何すれば良いか、悩み捲くった。それでセミナー等で質問すると、それはこちらが下手だからで済まされ、上手に成る事、と言う解決策と言えるのかどうか、と言う答えしか得られなかった。所がその実蓋を開ければ、日本の近代歯科の父の一人である森克栄先生が揶揄したように、指導のDRですら同じ悩みだった事が判明し、何の事はない、皆同じと言うものだった。そこに、再生療法やインプラントが登場し、今に到る。
要するにMIと言う概念は、かつての猛省から生まれ、介入を出来る限り避け、歯質、組織を温存しようと言う所で生まれたのだ。その裏には、実はCR修復だけ、歯周病治療も徹底した歯面清掃のみで10年以上どころか15年、20年と言う報告が有るのを見落としてはいけない。
お陰で、私は補綴が嫌いに成った。根管治療でキッチリ蓋をし管理するだけで、歯牙が温存出来るのに、何故削って被せるのか?いざと言う時に割れる事も考慮し、歯牙が歯冠部で破折すれば、その時始めて補綴すれば良く、その時は患者さんも高齢に成るから噛む力も弱まり、生涯歯を使えるだろうと言う考えで良いのではないか、と私は感じる。
これは私だけの感じなので、決して強要出来ない。ただ、介入する事がいつも正しいか、と言う考えは常に持った方が良いだろう。治す為に仕方がない、と言う考えで徹底的な介入をする事、そして、外科手術が一筆書きで順序立てて進み、時間短縮でMIとは根本的に勘違いであると、私はたった一人でも指摘したい。
我々は歯科医でインプラント屋、外科屋ではない、と言うのが私のスタンスだ。私の所に来た患者さんは、私がインプラントを勧めない事に、驚かれる。先生はインプラントを勧めませんね、と言われる事もしばしばである。インプラントを植立する事で介入が小さくなるなら、迷わず勧める。しかし、これは歯周治療してからだ、とか診断した場合は強いて勧めない。それでも、年中インプラント治療を希望して来る方が後を絶たない。それどころか、物凄い勢いで増えている。私が強くインプラントを勧め押し進めればインプラントばかりに成って簡単だな、と思う時でも歯牙保存から考える。
即時荷重に手を染めた理由も、咀嚼域を早く増やす事で、天然歯の咬合負担を減らす時期を出来る限り早め、温存出来る目的の為である。そこを勘違いしないで欲しい。決して腕自慢したい訳ではない。良く勘違いされるのは、私の人徳の至らない反省点である。
ご理解頂けたろうか。MIとは、介入を出来るだけせず治す事で、その為顕微鏡や歯科用CTを使いこなすのが、本道であろう。少なくとも私はそう信じる。
但し、最近富に出ている歯科用CTデータを基にサージガイド等で、大臼歯部の骨が充分にあるのに、無理に適用し開口を凄く大きくさせ、余計に時間が掛かる手術はMIと言う概念から外れるだろう。そんな時は無理せず、さっさと切開し、剥離を少しだけして植立すれば良い。ステントの装着に四苦八苦等愚の骨頂で、これらなど正に、発展途上で技術を上手に使えない時代の皮肉な現象だろう。言い換えると、時代の進み方が早過ぎて、完全にフォローし切れていない、と言う事なのだ。
即時荷重を出来る事を目的とし、データ上でステントから補綴物(仮の場合が殆ど)まで準備し、その通りに手術すれば、即時荷重出来ると言うのは、まだまだ未完成で術を行なうDRの力量に左右される事も忘れてはいけない。即ち、真のMIはDRの力量を完全に問うもので、そこに到るまでの基礎的トレーニング無しでは、まず不可能なのだ。某最大メーカーのライブオペで、超有名DRが、スタッグしてミスした話も漏れ聞く位だから、甘く見てはいけない。ゴッドハンドですら、時にミスるのだ。
MI審美即時荷重インプラント治療・顕微鏡歯科の神=DRシャネリックの昨年のAOプレゼン時、中切歯の抜歯即時植立審美即時荷重インプラント治療は度肝を抜く美しさで、予後も素晴らしく、世界最高峰MI審美インプラント治療と言って差し支えないものだった。しかし、プレゼン後のQ&Aで、すかさず質問が出て、その内容は、掛かった時間は?だった。それにシャネリックは堂々と胸を張り、ファイブアウアーズと答えた。施術に要した時間は“5時間”だったのだ。
世界最高峰で、一番見え施術し易い部位たった1本に、抜歯して病巣等掻把しインプラント植立し、直ぐに物凄く綺麗な仮歯を入れ終了までで、それ位掛かるのだ。因みに、私はこのプレゼン後、顕微鏡歯科治療と外科をほぼ断念した。私なら5時間で、例えば上顎全顎抜歯し病巣を取り切り、インプラント植立し綺麗な仮歯を入れ、平行してGBR骨造成・歯肉再生術まで出来る。どちらを取るかと聞かれたら、私は自分の方法で行く。
そう言いながら、私は拡大鏡は使用し、常用のはカールツァイス3.6~4.5倍で、これで外科処置には充分対応出来る、と判断している。これは物凄くレンズが良く、明るく拡大率も他社とは一線を画すと考えており、実際は他社の数段上の倍率と同等性能だろうと思う。やはりMIを目指す場合、裸眼では難しい。拡大鏡下歯科治療で全くレベルが変わるので、是非使用をお願いする。顕微鏡は見える範囲が限られ、汎用性では拡大鏡に譲ると、私は考える。又、シャネリックの例で挙げたように、物凄い時間を要する事になるので、現実的に私には出来ないし、保険診療上は、到底採算ベースに乗らないだろうから、自費専門の1日4,5人の医院でないと無理ではなかろうか。
如何であろう、私見のみで危ない発言が満載なのではと思う。しかし、本音で踏み込んで提言しないと次代の有志DR達の為にならないと考え、悪役を買って出てもと思い書いた。異論がある方は、是非言って頂きたい。議論で建設的発展が望めれば、嘘偽りなく心から本望だ。
今回、以前連載に発表している原稿を再録した。
基本的考えに、全く相違も生じていない。
低侵襲=MIが正しく広まる事を願って止まない。
MIほど、今適当に使われている言葉はないだろう。セミナーで、どのDRもMIであると説明をし、その実、出た症例を見ると、これの何処がMIなのだろう?と感じるほうが多い。
MIはご存知の通り、ミニマムインターベンションとかミニマムインバッシブと言い最小限介入での治療を意味する筈で、その事に異議を挟む方はいないだろう。この最小限介入が曖昧で学問的にキッチリ定義されていない為、現在はまだ、DRが自分でMIと言えばMI、と言う感じではないだろうか。
出だしから、過激な言を繰り広げるが、私はMIをもっと正確に使用して欲しいと願っている。最小限介入と言って、歯肉を切り開き、骨をかなり露出させ手術するのは、何かおかしい時代に入った、と確信している。
歯科用CTデータで、例えば、サージガイド等で手術をしMIを目指すのは、異論はない。MIの根本に歯科用CTがあり、正確にシュミレーションし、切開剥離を少なくして、それがMIの概念で説明されるのも、異議はない。
しかし、従来の手術ドグマに捉われ、何の工夫もなく大きな切開剥離しての手術がMIとは、私には到底思えない。特に外科系のDRで、どんなインプラントオペでもフラップを大きく開き植立手術をして、手術が早く短い事を持ってMIと称するのは、概念が混乱するので止めて頂きたいと強く望んでいる。
何故なら 元々MIが唱えられだしたCR修復や顕微鏡下治療は、決して治療時間は短くない。色々な手順に従う真のMI修復は、必ず従来よりも時間が掛かる。MI根管治療等その際たる例で、歯質削合を極限まで減らすなら、かなりの時間が要る。
このように根本的に始まったMIの概念から考えれば、生体組織を如何に痛めず削らず修復し治すか、がその定義の筈で、そこに時間的概念はない。侵襲を最小限になのだから、大きな切開はMIとは言えない、と私は思う。特にインプラント1本植立で大きく切開し歯間乳頭まで切り開き手術する等、最早改めるべき時期、と提言する。そのような場合、少しの切開でインプラント植立程度は出来る筈で、それで周囲の骨と歯肉が問題を生じないなら、何ら問題無い筈である。
但し、これから解説する手術は、かなりアドバンスである。所謂フラップレス同様盲目的手技になるので、外科的素養が物凄く要求され、結果だけ見ると簡単に見える。しかし、全く簡単ではない。簡単そうと簡単は全く違う。人間国宝の棟梁が鉋掛けして見事な面を作るのは、簡単そうに見える。所が、実際やると、そうは問屋が卸さない。腕と言うのは単純な手技一つに集約され、かなりのレベルに到達しないと、それを正確に理解出来ない。
派手な大きな手術が腕が立つ、ではない場合も有るのだ。とかくビギナーは派手で目立つものに洗脳される。そうなったら、その洗脳から逃れる事は相当難しい。気の毒なのはそうなった若手である。時代が趨勢し、もう大きな外科ではない時に中堅以上に成り、又一から勉強し直しとなってしまう。
こう言う事実が過去にあって、セミナーオタクDRほど逆にヤバイ状況に陥るのだ。いつも言う事だが、セミナーをする場合、最新情報はまず出せない。自分達ですら試行錯誤し、上手く行く方法を確立しようとしている時は、恐くてとても出せないのだ。従って、安全圏で出すしかなく、時代の流れの中でやや難有りでも仕方がないのだ。ここを突破するには質問をし捲くる事、そして海外の学会に参加する事だ。それしかない。嫌がられる位の質問をして、新しい時代の方向性を知る事しかないだろう。
今は私の読みでは新しい創生の時で、生まれ変わる時代だろう。これはどう言う事かと言うと、従来の考えを基に全く新しいものが始まる時代、と見る。かつてインプラントが登場した時、又歯周病治療で論争が激しく、現在の再生療法が出て来た時がそうだった。 再び、MIと言う新概念が生まれ、そのキーワードの下従来の治療が見直され、改良されるのだ。
MIと言う概念が生まれてきた背景は説明するまでもないと思うが、若い先生方は意外に理解していないかも知れないので、一通り説明する。私は卒後23年。その当時の流行は、正に歯周補綴フルマウスリコンストラクション全盛で、今思うと過剰介入も見られた、歯周外科は切除療法、補綴はクロスアーチスプリント、顎位も再構築しセラモメタルでと言うのが理想だった。それがその当時の流れの中、間違っていたとは、決して言えない。その当時は誰もが憧れ、夢見た。
しかし、それが苦い夢だった事は、自分で経験し始め如実に分かった。まず歯髄を取る為、2次カリエスで抵抗力が弱くなり悩まされ、又根管治療での病巣が出来、そこに外科をしないといけなくなる。歯周病でも似たようなもので、弱っている歯を取り込んで歯周環境を安定させ補綴で繋いでも駄目に成って行く。果ては、歯牙が破折し、如何すれば良いか、悩み捲くった。それでセミナー等で質問すると、それはこちらが下手だからで済まされ、上手に成る事、と言う解決策と言えるのかどうか、と言う答えしか得られなかった。所がその実蓋を開ければ、日本の近代歯科の父の一人である森克栄先生が揶揄したように、指導のDRですら同じ悩みだった事が判明し、何の事はない、皆同じと言うものだった。そこに、再生療法やインプラントが登場し、今に到る。
要するにMIと言う概念は、かつての猛省から生まれ、介入を出来る限り避け、歯質、組織を温存しようと言う所で生まれたのだ。その裏には、実はCR修復だけ、歯周病治療も徹底した歯面清掃のみで10年以上どころか15年、20年と言う報告が有るのを見落としてはいけない。
お陰で、私は補綴が嫌いに成った。根管治療でキッチリ蓋をし管理するだけで、歯牙が温存出来るのに、何故削って被せるのか?いざと言う時に割れる事も考慮し、歯牙が歯冠部で破折すれば、その時始めて補綴すれば良く、その時は患者さんも高齢に成るから噛む力も弱まり、生涯歯を使えるだろうと言う考えで良いのではないか、と私は感じる。
これは私だけの感じなので、決して強要出来ない。ただ、介入する事がいつも正しいか、と言う考えは常に持った方が良いだろう。治す為に仕方がない、と言う考えで徹底的な介入をする事、そして、外科手術が一筆書きで順序立てて進み、時間短縮でMIとは根本的に勘違いであると、私はたった一人でも指摘したい。
我々は歯科医でインプラント屋、外科屋ではない、と言うのが私のスタンスだ。私の所に来た患者さんは、私がインプラントを勧めない事に、驚かれる。先生はインプラントを勧めませんね、と言われる事もしばしばである。インプラントを植立する事で介入が小さくなるなら、迷わず勧める。しかし、これは歯周治療してからだ、とか診断した場合は強いて勧めない。それでも、年中インプラント治療を希望して来る方が後を絶たない。それどころか、物凄い勢いで増えている。私が強くインプラントを勧め押し進めればインプラントばかりに成って簡単だな、と思う時でも歯牙保存から考える。
即時荷重に手を染めた理由も、咀嚼域を早く増やす事で、天然歯の咬合負担を減らす時期を出来る限り早め、温存出来る目的の為である。そこを勘違いしないで欲しい。決して腕自慢したい訳ではない。良く勘違いされるのは、私の人徳の至らない反省点である。
ご理解頂けたろうか。MIとは、介入を出来るだけせず治す事で、その為顕微鏡や歯科用CTを使いこなすのが、本道であろう。少なくとも私はそう信じる。
但し、最近富に出ている歯科用CTデータを基にサージガイド等で、大臼歯部の骨が充分にあるのに、無理に適用し開口を凄く大きくさせ、余計に時間が掛かる手術はMIと言う概念から外れるだろう。そんな時は無理せず、さっさと切開し、剥離を少しだけして植立すれば良い。ステントの装着に四苦八苦等愚の骨頂で、これらなど正に、発展途上で技術を上手に使えない時代の皮肉な現象だろう。言い換えると、時代の進み方が早過ぎて、完全にフォローし切れていない、と言う事なのだ。
即時荷重を出来る事を目的とし、データ上でステントから補綴物(仮の場合が殆ど)まで準備し、その通りに手術すれば、即時荷重出来ると言うのは、まだまだ未完成で術を行なうDRの力量に左右される事も忘れてはいけない。即ち、真のMIはDRの力量を完全に問うもので、そこに到るまでの基礎的トレーニング無しでは、まず不可能なのだ。某最大メーカーのライブオペで、超有名DRが、スタッグしてミスした話も漏れ聞く位だから、甘く見てはいけない。ゴッドハンドですら、時にミスるのだ。
MI審美即時荷重インプラント治療・顕微鏡歯科の神=DRシャネリックの昨年のAOプレゼン時、中切歯の抜歯即時植立審美即時荷重インプラント治療は度肝を抜く美しさで、予後も素晴らしく、世界最高峰MI審美インプラント治療と言って差し支えないものだった。しかし、プレゼン後のQ&Aで、すかさず質問が出て、その内容は、掛かった時間は?だった。それにシャネリックは堂々と胸を張り、ファイブアウアーズと答えた。施術に要した時間は“5時間”だったのだ。
世界最高峰で、一番見え施術し易い部位たった1本に、抜歯して病巣等掻把しインプラント植立し、直ぐに物凄く綺麗な仮歯を入れ終了までで、それ位掛かるのだ。因みに、私はこのプレゼン後、顕微鏡歯科治療と外科をほぼ断念した。私なら5時間で、例えば上顎全顎抜歯し病巣を取り切り、インプラント植立し綺麗な仮歯を入れ、平行してGBR骨造成・歯肉再生術まで出来る。どちらを取るかと聞かれたら、私は自分の方法で行く。
そう言いながら、私は拡大鏡は使用し、常用のはカールツァイス3.6~4.5倍で、これで外科処置には充分対応出来る、と判断している。これは物凄くレンズが良く、明るく拡大率も他社とは一線を画すと考えており、実際は他社の数段上の倍率と同等性能だろうと思う。やはりMIを目指す場合、裸眼では難しい。拡大鏡下歯科治療で全くレベルが変わるので、是非使用をお願いする。顕微鏡は見える範囲が限られ、汎用性では拡大鏡に譲ると、私は考える。又、シャネリックの例で挙げたように、物凄い時間を要する事になるので、現実的に私には出来ないし、保険診療上は、到底採算ベースに乗らないだろうから、自費専門の1日4,5人の医院でないと無理ではなかろうか。
如何であろう、私見のみで危ない発言が満載なのではと思う。しかし、本音で踏み込んで提言しないと次代の有志DR達の為にならないと考え、悪役を買って出てもと思い書いた。異論がある方は、是非言って頂きたい。議論で建設的発展が望めれば、嘘偽りなく心から本望だ。
今回、以前連載に発表している原稿を再録した。
基本的考えに、全く相違も生じていない。
低侵襲=MIが正しく広まる事を願って止まない。