手術侵襲、患者さんへの体の負担を減らすことを目的として、最近ピエゾサージェリーが流行しています。
従来型のドリルで骨を削って手術するのに比べると、超音波で骨を削るピエゾは確かに侵襲が少なく出来るでしょう。
しかし、だからと言って骨の幅が狭い時に骨を2つに割って広げるリッジエクスパンジョン、と言う手術が侵襲の少ない手術として紹介されるのには、私は反対です。
実は、私もリッジエクスパンジョンを用いるインプラント手術を10年以上前に熱心に行って来ました。
その当時にはピエゾはありませんでしたから、非常に薄く作ってある円盤状の切削器具を用いて溝を入れて骨を広げていました。
確かにピエゾに比べたら侵襲の大きな手術で、患者さんの顔は腫れてしまい、血腫とかも出て辛い思いをさせる現実もありました。
それでも、その当時はGBR骨造成の手技としてリッジエクスパンジョンは非常に有益であり、何度も患者さんを救って来れました。
当時の水準から考えれば、通常のGBR骨造成の方法よりリッジエクスパンジョンの方が、予知性、術後トラブルが少ない、と言う利点があったからです。
しかし、2003年の秋、サンフランシスコの恩師DR.ラムの下で学び、帰国して、独自に改善改良をして、もっと低侵襲で最初から綺麗に歯が入る方法を編み出したのです。
この方法は、世界でもまだ誰も報告していないものです。
具体的にどうするのか?ですが、まず通常のやり方のように歯茎を切り開いてはいけません。
歯科用CTで精密に診断すれば、骨の状態は正確に分かります。
そうなると何処にどうインプラントを植立すれば良いのか、が3次元的に分かります。
そうしたら、3次元的にインプラントの植立したい位置に目安を付けて、歯茎に小さな切り込み4mm程度の切開を入れます。
そうして、骨へのインプラントホール形成をそこからします。
ここは非常にテクニックのいる所で、歯茎がザクザクの汚い状態にならないようにかなりの用心が要ります。
それこそここの手技の部分でピエゾの出番があるかも知れません。
そうすると骨の幅が狭い斜面の所にホール形成がされ、インプラントのネジの表面が露出してしまって困ったことになる、と皆さん思っているのです。
しかし、違うのです。
斜面上にホール形成すると、歯茎の切り込みから骨の表面へのアクセス周囲の骨面を少しだけ剥離するのがとてもし易くなるのです。
そこで、極小さい専用の器具でそこにカンガルーのお母さんのようなポケットを形成して骨と歯茎との間に隙間を作れば良いのです。
そして、インプラントを植立して、そのカンガルーのポケット状になった所に削って取れた自家骨と人工の骨材と再生療法のPRPを混ぜた充填物を詰めて行けば解決するんです。
インプラントの植立の初期固定トルクが35N以上を超える場合には、直ぐに綺麗に仮歯を作り、仮歯を装着することで、充填して膨らんだ歯茎が膨らんだ形を崩されないように支えて上げるように治すのです。
これで、解決します。
侵襲は物凄く少ないです。
腫れ痛みも全く出ません。
リッジエクスパンジョンによる腫れ痛みは、水平に広げた骨を完全に覆い尽くす為に歯茎を広げないといけなくて、その為に減張切開を入れる、と言う手技を必ず行わなければいけないから出るのです。
私のオリジナルの方法は、この問題を完全に解決しています。
直ぐに歯が入る即時荷重インプラント治療出来ますから、2か月もしないで歯が入ることも珍しくありません。
この方法が、私がどんな患者さんが来ても部分即時荷重を問題なく出来て来た方法の一つです。
今行われているピエゾのリッジエクスパンジョン手術では、大きな手術をするので、どうしても歯が入るのにもっと時間が掛かってしまうでしょう。
傷口が安定し、骨が落ち着くまでに4ヶ月は待たないといけないと思います。
私も散々して来たから良く分かるのです。
私には経験がないのですが、良く聞く話ではリッジエクスパンジョンして、骨を2つに割ったのは良いけれど、唇頬側の骨とかが壊死してしまってインプラントも駄目になって、リカバリーに大変な苦労を掛けた、と言う話があります。
何故こんなことが起きるのかと言うと、薄く割った骨には血液からの十分な栄養が行き届かないので、それで壊死してしまうのです。
その理由は、歯茎が薄いことに大きな問題があります。
しかも、日本人は人種的に歯茎が薄い、と言う問題を大きく抱えているのです。
他人種では歯茎の薄い方が20~30%程度とされるのに、日本人ではこの数字がそのまま歯茎の厚い方が20~30%程度と分かっています。
つまり、日本人の場合には殆どの場合、歯茎の薄い問題を解決しないといけないのです。
ではどうしたら良いかですが、リッジエクスパンジョン手術をする前に歯茎の厚みを増やす手術をしなければいけない、と言うことなのです。
それも、3か月以上は歯茎の落ち着くのを待たないといけないので、手術回数は又増えてしまいます。
日本人の薄い歯茎、痩せている骨へのアプローチで、私の創案した手術方法、これを削ぎ落としと命名しているのですが、この方法なら、以上のような問題点を全てクリアーに解決出来ます。
なぜ削ぎ落としと命名しているのか、と言うと斜面へのインプラントホール形成が削ぎ落す形態になるからです。
この方法を編み出して以来、私はリッジエクスパンジョンを殆どしなくなりました。
そして、患者さんから痛がられるとか、腫れて辛いとかの苦労話もお聞きしなくて済むようになりました。
決して非難するつもりはありませんが、リッジエクスパンジョンは、私にとっては、最早過去の古い手法です。
①歯科用CTによる精密な骨の断面の診断、何処に植立するのか、どう植立するのか、を見極めること、
②植立部位が決まったら、歯茎への処理の仕方をどうするのか、インプラント周囲にきちんとした角化歯肉が定着するように切開を入れる、
③そこから歯茎を傷付けないで骨に綺麗にインプラントホールを形成する、
④インプラントをしっかりと所定の位置まで植立したら、唇頬側のポケットに骨を造成する充填物を充填する、
⑤35N以上の初期固定が得られたら、綺麗な仮歯を装着して、膨らました歯茎を維持するようにする。
以上です。
腕に自信があるDRなら、多分私の書いたこの文章で、イメージがかなり湧くことでしょう。
患者さんの為に、早く楽に綺麗に治せる全く新しいインプラント手術始めて下さい。
その他にも、私は独自の工夫して創案した手術手技、手法を沢山持っています。
全ては患者さんの為、痛くなく楽に綺麗に早く治るインプラント治療をして差し上げる為に編み出しました。
それも全て昨日今日作ったようなものではなく、もう全て8年以上経過しているものです。
私は皆さんに謝らなければいけないです。
私自身が非常に用心深い性格なので、確立出来るまではで伏せて来たからです。
今は確実に築き上げられたので自信を持って教えられます。
どうぞ患者さんの幸せの為に、ご活用下さい。
最後に一つ、この手術方法は非常に細かな作業が続くので、絶対に裸眼ではしないで下さい。
望ましいのはライト付きの4倍以上の拡大鏡です。
これで、リッジエクスパンジョンの煩わしさから患者さんは開放されましす、先生方もその効果の素晴らしさに喜ばれることでしょう。
早く楽に綺麗に治せるインプラント治療の普及を願って、本日のブログを送ります。