本当に珍しい、稀なことを残念ですが経験してしまいました。
植立手術して10年以上経過していたものが、患者さんが揺れている、と言うことで来られて拝見したら、脱落していました。
3DXも撮らせていただきましたが、骨には異常が見られず、咬合力、力によるものだ、と思います。
同じような経験は以前にも3回ほど経験しています。
インプラント治療手掛けて20年以上、開業して16年目で力による脱落経験は数える程しかないですが、それでも極々稀ですが起きてしまうこともあるのです。
噛む力の強さ、本当に怖いな、と思います。
力による脱落は、一瞬の力によるものではなく、慢性的に掛かり続ける力、日常の食生活で歯応えの強いもの、例えば軟骨とかアワビとかスルメとかを凄く好まれて沢山召し上がるとか、起きている時の噛み締めと寝ている時の食いしばり、歯軋りが原因と考えられます。
要するに、歯に力が加わり続けている環境であると疲労が蓄積するように骨がやられて、インプラントが揺れる、と言う事態を招くのです。
これを防ぐには、歯を普段からぶつけない、接触させないようにするしかありません。
オッセオインテグレーションしていたインプラントが力で骨から外れてしまう、と言う現象が本当に稀にですが起きる時には起きてしまうのです。
こういうような情報を書くと、だからインプラントはと言う反応が出てしまうでしょうから、それに対しても私見を書きますが、もしこの患者さんインプラントされていなかったら、天然歯はもっと破壊されていたことでしょう。
ですから、1本のインプラントの犠牲で他の歯を守っていた、という意義は高かった、と私は考えています。
そのように患者さんにも説明しました。
今回は撤去した部位にはコラーゲン製剤を充填して、骨と歯茎の治癒を待ちます。
それから、再治療で再インプラントになると思います。
今度は、本数増やして、咬合力に負けないように設計し直しで、再治療しようと思います。
噛む力の怖さ、歯を接触させないようにすること、とても大事なことなので覚えておいて欲しいと思います。