長い時間を掛けないと、正しいことちゃんとしたことが、分からないことが多い。
インプラントなどその最たる例で、短期でのデータなんて全く当てにはならない。
じゃあ10年、とかが一区切りに成る訳だけれど、個人的には10年は中期だよね、とこの頃は特に感じる。
自分自身が、開業して20年になるからなのか、勤務医時代からインプラントに携わって来て、勤務医時代からとか、開業直後からの患者さんをちょくちょく拝見するようになって、20年ですらあっと言う間だな、と感じさせられることが凄く増えているからだ。
患者さん達は知らないことだろうけど、インプラントの長期予後の変化は5年でも起きないことが多い。
5年も経てば、患者さんは治療当時の大変さも記憶が薄れ、変化し始めて来ても仕方がないか、と受け容れて下さるんだろう。
でも、実際には10年20年経っても殆ど変化がない、と言うのと、7,8年過ぎた辺りから変わって来ているのが出る、と言うのがあるのだ。
去年は、PRD始めとして今までの振り返り的な内容が多く、海外の著名DRも10年以上経過の色々な治療した症例を誇らしげに出していた。
でも、その裏で実は、と言うのもデータで見せてくれてたりして、私の予想通りと言うか、思いの外と言うか、変化している症例の方が多く存在することが明らかに成っていた。
で、そのデータから、どう言う症例が変化がないのか、あったとしても極僅かなのか、が検証され、次に生かそうと言う感じになっていた。
今日も、もう10年過ぎてしまいましたね、と言う患者さんとお話をして、あっと言う間でしたね、あの時に決断してやって良かったです、と感謝の言葉をいただき、とても嬉しくなりました。
その方なんかも、全然変化がない。
ご本人が真面目な方で、定期健診とかチャンと来る方である、と言う要因が一番大きいのであることは論を待たないだろうが、やはりその時にさせていただいている治療がバイオロジーで正しい治療だった、と言うのが大きいであろう。
バイオロジー、生体のルール、と言うモノを我々はもっと知るべきなんだろうな、と強く感じ入った。
分かったつもりでも分かってない、ドグマに捉われていたり、バイアスが掛かっていたり、真実を見極める眼を持つことは、容易くはない。
しかも、その真っ最中である時に、色々な説が流布していると、そこからの選択眼は、更に難易度を極める。
時間が経てば、何故あんなことを正しいと信じていたんだろう、になるんだろうけど、当の本人達すら、過去のことはすっかり忘れていたりするから、実におかしい。
おかしいと書ける心理状態に成れている分だけ、今は私も多少成長したんだろうけど、その真っ最中時には、激しく馬鹿にし、反発し、意地を張ったモノだ。
他人の過去を論って、自分自身の正しさ、先進性先見性を主張して来た張本人だから、過去を捨て去った方々が許せない気持ちが長く胸の中にあった、のは確かな事実。
でも、同時代をその真っ最中でお互いに一所懸命だったんだよな、と思える気持ちには少し成って来た。
幸い、私は運が良いとしか言えないのだが、当たりくじを引き続けて来た。
それは純粋に、運、幸運だとしか言いようがない。
同じように勉強し、苦労してても遠回りしてるなー、と言う方も見て来てしまってるので。
下手すると、途上で挫折してたりして、なんてのも。
そう言うの見てしまうと、道は違ってても同じ時代生きて来たんだよね、頑張ってたんだよね、と優しい気持ちを持つことも少しは出来るようになれてる。
結局、遠回りしても、運が良くて直ぐに到達しても、正しい所には皆来る、と言うことなんだよな、と思うことが本当に増えた。
そうは言っても、我々の仕事は患者さんへの責任があるし、最終的な大変さとか苦労とかは、患者さんが背負うモノなので、迷惑掛けないようにしないとな、とも強く強く思う。
私なんて変人で、不器用で、劣等生スタートだから、師に恵まれ道間違えなかったから、今まで何とかやって来られたんですよね、本当に。
私に出来たんだから、誰にだってやる気さえあれば出来る、と本当に私は信じている。
多少なりとも、今の私を知っている、仕事を理解出来ている方は、私が不器用だとか、劣等生スタートだとか信じられない、と言う方が多い。
有り難いことだけど、本当のことは本当のことで、事実だから変えられない。
器用さとか、頭の良さ、では自分以上の方を私は沢山沢山見て来た。
でも、仕事の上では私に失礼で生意気ながら勝ててない。
人生と言うか、何と言うか、不思議だな、と感じるしかない。
私は、負けず嫌いでもない、それどころか、我関せずで自分の独特の道を探すタイプ、でしかない。
偶々、その道に皆さんが後から後から参入されて来たので、私が先頭にいる、と言う事態になっただけ、でしかない。
なので、申し訳ないなー、譲りたいなー、と本気で思っている。
時間が経って、正しいことが分かる、と言うことは、ある意味、変わった道を行った人が、ある日突然君先頭ランナーだよ、って言われる、神様だか天だか知らないけど、そう言うことだったりするんだなー、と皆さんにお知らせして置きたい。
本当に生きた時代が良かった、丁度ジャストタイミングだった、やはり凄く幸運だった、としか言えないので、マツゲン先生は違いますよ、と言われると面映ゆい。
今は本当に簡単に海外にも行けるし、学会とかに参加すれば、情報に接することも出来る。
そこで、自分の納得する、これで良い、で進んで、検証をし続けるしかない。
永遠なる未達、発展途上人で、死にたいな、と願う私です。
超長文失礼しました。