ここ数年、母のお気に入りで、
入院中もベッドの傍らに
離さず置いていた革バッグを
母の棺に入れてあげようと思い立ち、
中身を出してみた。
昔、のり屋がプレゼントした
リンゴ型の革ポーチには眉墨と口紅。
入院時に兄がプレゼントした、
トランジスタラジオ。
手鏡、懐中電灯、折りたたみ虫メガネ、
入れ歯安定剤、スウォッチの腕時計…
それらの間にクッション材のごとく、
ふりかけふりかけふりかけふりかけ…
これでもかと、
ふりかけが出てきた
病食のお粥が、
ふりかけなしには食べられなかった母、
口に合うふりかけを求めて、
兄とのり屋に、やたらとふりかけを
リクエストしていたから。
バラになった小袋をまとめたら、
ジップロックにいっぱい。
さらに未開封のセットが1袋。
ふりかけがわらわら、
泣きながら笑笑
当分、ふりかけは買わなくていいぞ、と。