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『デトロイト・メタル・シティ』

2008年09月02日 | 読書日記ー漫画
若杉公徳(白泉社)



《あらすじ》
大分から上京した純朴な青年 根岸は、ポップ・ミュージシャンになることを夢見ているが、デスメタルバンド【デトロイト・メタル・シティ】のボーカル「ヨハネ・クラウザーII世」としてデビューしてしまう。しかも売れてしまう。根岸の苦悩は深まる。


《この一言》

“音楽で 人を殺れる ”




このあいだ、漫喫で読んできました。やっべー、面白い!

下ネタがちょっと、いや、かなり激しいかもしれません。お子様にはおすすめできませんね。私は大人で良かった。あまりの下劣さが許しがたいという評価を下す人もいるようですが、まあ、このくらいなら許せないほどの下劣さではないですね。どちらかと言うと、ほのぼの…。愛と友情の物語。……と、言えなくもない。

まあ、いずれにせよ、クラウザーさまにはハマってしまうわーっ。


主人公の根岸は、大学卒業後ミュージシャンを目指してがんばっていましたが、自分がやりたいと夢見ているオシャレでポップな方向へは進むことができず、なぜかメタルバンドでボーカルをやることに。鎧を着用し、白く塗った額には「殺」の一文字。メイクを施すことで、性格まで一変させてしまう根岸。その熱いライブにファン(信者)も熱狂するのでした。
根岸は、大学時代の同級生の女の子 相川さんに想いを寄せるも、オシャレ系雑誌の編集者であり、またポップミュージシャンとしての根岸を応援してくれている彼女に、【デトロイト・メタル・シティ】の「ヨハネ・クラウザーII世」であるという正体を告白することもできません。
夢と現実とのギャップに、彼の苦悩はますます深まっていくのでした。


この、根岸という主人公が面白いです。二重人格過ぎ。普段はクネクネした甘ったるい曲を歌うのですが、これが最高に気持ち悪い。イメージ的にはオザケンやカジヒデキ風らしい(←失礼な;)ですが、かなり残念な感じが出ていて笑えます。一方、クラウザーさんに変身した根岸は、どこへ行っても人気者です。実家の大分に帰省したときのエピソードがまた泣ける。本人(根岸 崇一)としてよりも、諸事情で変身することになったクラウザーさん(もちろん家族にもその正体は極秘)としての方が、家族の受けもいい。あー、面白い。

それから個人的には、「資本主義の豚(=梨元さん)」に参りました。切ないけど、いい役だなー。彼のために下劣さがいっそう募りますが、とにもかくにも強烈なキャラです。加虐心をそそられます。彼こそMのなかのM。


基本的にはギャグ漫画なので、とにかく笑えます。ものすごく勢いがあって、爽快です。そして、下劣なギャグにどっぷりと浸かっている中にも、音楽に対する熱い魂が込められていて、そのあたりが実にすがすがしい。やっぱり青春ものなんですね、これは。多分。

映画化もされていますね。主演の松山君も良さげですが、バンドが所属する事務所の社長を松雪泰子さんが演じられるとのことで興味津々です。それは、合う! ナイス・キャスティング!!
うーむ。ちょっと……観たいな。


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