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木枯らし

2006年11月07日 | もやもや日記
昨日までは11月にしては暑い…と思っていたら、今日は一転して木枯らしが吹き荒れています。寒ーい。あ、鼻水が……やべえな。

昨日は、注文していた古本の『トラストDE』(エレンブルグ著)が届いたのですが、私が注文したのとは違う本が入っていてガックリ。同じ『トラストDE』には違いないけど、訳者が違うし、出版社も違う、しかも届いた方の本は、骨董品級の古さ。触るとバラバラになりそう……。これはこれで味があるけれど、これから長期保存するつもりの私の役には立たないようであります。
さっそく書店に問い合わせたところ、先方が間違って発送したとのことで、返品することに。正しいものと交換してもらおうと思ったら、注文していた方の本は(なぜか)品切れらしく、それも叶わないらしい。なんてこった。

仕方がないので、べつのところに注文し直しました。その際によく調べたら、この20世紀の名著『トラストDE』は、現在も《海苑社》という出版社から出ているようです。私は、その新しい版元から出されているものを買うことになりました。訳者は、私が欲しかった《河出書房》版と同じ小笠原豊樹さんと三木卓さんです。まだ傷んでいない単行本が手に入るなんて、最初の古書店が間違ってくれたおかげで、かえってラッキーでした。やったー、ついてるぜ。



ところで、今、どうしても覚えておく必要があると思われる、ある小説の一節はこれ。


”これが奴隷でなくてなんだ、最低の奴隷じゃないか? ネッチ、アルリ、兄弟たち、奴隷でなくなるにはどうしたらいいんだ、え? おれたちが自分で知り、自分で見るようになるにはいったいどうしたらいいんだ? 信じるだけでなしにさ。それともそんなことは無理だとでも言うのか、これからもずっと今みたいな状態が続くのか? 無理だって言うんなら、奴隷のまんまでいるために、生きたり闘ったりする価値があるのかい?  --ボグダーノフ『技師メンニ』より”


奴隷であるということは、自分の価値を他人によって決められている状態に甘んじているということではないだろうか。


それにしても、風の音が、すごい。
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『怪奇小説傑作集4 フランス編』

2006年11月06日 | 読書日記ーフランス
G・アポリネール他 青柳瑞穂・澁澤龍彦訳(東京創元社)

《収録作品》
ロドリゴあるいは呪縛の塔(マルキ・ド・サド)/ギスモンド城の幽霊(シャルル・ノディエ)
シャルル十一世の幻覚(プロスペル・メリメ)/緑色の怪物(ジェラール・ド・ネルヴァル)
解剖学者ドン・ベサリウス(ペトリュス・ボレル)/草叢のダイアモンド(グザヴィエ・フォルヌレ)
死女の恋(テオフィル・ゴーチェ)/罪のなかの幸福(バルベエ・ドルヴィリ)
フルートとハープ(アルフォンス・カル)/勇み肌の男(エルネスト・エロ)
恋愛の科学(シャルル・クロス)/手(ギー・ド・モーパッサン)
奇妙な死(アルフォンス・アレ)/仮面の孔(ジャン・ロラン)
フォントフレード館の秘密(アンリ・ド・レニエ)/列車〇八一(マルセル・シュオッブ)
幽霊船(クロード.ファレール)/オノレ・シュブラックの消滅(ギョーム・アポリネール)
ミスタア虞(ゆう)(ポール・モーラン)/自転車の怪(アンリ・トロワイヤ)
最初の舞踏会(レオノラ・カリントン)


《この一文》
”「ただ事実があるのだ。そしてその事実が、あなたと同様このわしを驚かすのだ。いつまでもつづく幸福という現象、ふくれあがるばかりで決して割れないシャボン玉! 幸福がつづくというだけでも、すでにそれは一つの驚異なのだ。いわんやこの幸福が罪の中の幸福であるというにいたっては、あいた口がふさがらない。」
 ---「罪のなかの幸福」(バルベエ・ドルヴィリ)より       ”



21編もの短編小説が収められているので、全部読むまでにはちょっと時間がかかってしまいました。しかし、どれもとても面白い物語ばかりでした。

サドの「ロドリゴあるいは呪縛の塔」は、予想と違って面白かったです。サドに関しては、かつて『悪徳の栄え』を途中まで読んで、なんとも言えない気持ちになり、それ以上は読まなくていいやと投げ出した経験があります。なので、期待はしていなかったのですが意外にもすごく面白かったです。

ノディエの「ギスモンド城の幽霊」は、登場人物のひとり神秘主義者で激しやすい性格のセルジイには共感しました。もうひとりのブートレも、「ともかくヴォルテールとピロンの言葉を思い出してみたまえ!」と言っては、ありとあらゆることにかたを付けるあたりの性格が素敵。
物語の展開も良い感じです。登場人物たちはギスモンド城で幽霊に遭遇するのですが、その場面がとても幻想的で、しかもちょっとおかしいような。ノディエってこんなんだったっけ?と、昔読んだ『ノディエ幻想短編集』(岩波文庫)の内容をきれいさっぱり忘れてしまっていることに気が付きました。ちらっと読み返すと、「ベアトリックス尼伝説」が猛烈に面白かったことを思い出しました。これって、この人の作品だったのか。なるほど。

ゴーチェの「死女の恋」は超傑作。何度読んでも面白いです。私はこの本のほかにも岩波文庫と教養文庫から出ていた同じ物語が収められた短編集を持っています。とにかく華麗でドラマティック。死女であるクラリモンドがむちゃくちゃ魅力的なのです。

バルベエ・ドリヴィリという人は、ここではじめて知りましたが、この「罪のなかの幸福」という物語はとても面白かったです。幸福を求めて罪をおかした男女のロマンスが主題なのですが、それを当事者ではなく、かれらの家庭に出入りしていた町医者によって語られるところがいいです。男女の恋はとてつもなく盛り上がっているらしいのですが、それがちょっとひねくれた医者の老人によって観察・分析されるという、その距離感がいいです。

「奇妙な死」のアルフォンス・アレは、この感じはすごく好きだなー、しかも他の作品をどこかで読んだような気がするなーと思ったら、『フランス短篇傑作選』(岩波文庫)収録の「親切な恋人」でした。あー! そうだ! 私の大好きな話だ! いずれも、ロマンチックでとぼけたようなオチが魅力的です。いいなあ。

シュオッブの「列車〇八一」は、いままで読んだこの人の作品とはちょっと違った趣でしたが、この人は創作範囲が非常に広いらしいので、こういうのもあるのかーといった感じです。不気味ではらはらしました。(そういえば、この本は「怪奇小説」なんだっけ)

クロード・ファレールの「幽霊船」は、まったく同じ話をつい最近に読んだはずと思い、調べてみると『詩人のナプキン』(ちくま文庫)収録の「颶風」と同じでした。あー、そうだった。このちくま文庫に収録された同じ人の「萎れた手」というのが最高に素敵だったんだよなー、思い出しました。「幽霊船」は、個人的には、まあまあというところでしょうか。

他の作品も、なかなか味わいがあって良いものばかりでした。やはりフランス小説は良い。おすすめの一冊です。
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もやもや

2006年11月05日 | もやもや日記
漫画喫茶で久しぶりにJOJOの4部と5部を読んでいたら、4部で3冊ほど飛び飛びで抜けているものがありました。それが全て「山岸由花子」さんが登場する巻ばかり。待っていても棚に返却されることがずっとないままだったので、誰か熱烈な山岸ファンの人が持ってっちゃったんでしょうか……気になるぜ。もやもや。

他にももやもやすること多し。色々なことが、ままならないです。いやしかし、こういう時こそ自分が試されるというものです。落ち着け、私。慌てないでいられるはずだ。

とりあえず、エレンブルグの古本を大量購入したら、届いた本がとても湿っていたので天日干しにしました。『フリオ・フレニトの遍歴』がやばかったです。黴びる一歩手前。表面を布で拭いたら、真っ黒に。ひっ、ひどい! でも干したらさっぱりしました。良かったー。あとは『トラストDE』が届くのを待つのみです。うふふ。

私は、本を買って後悔したことだけは、一度もありません。ほとんどハズレ知らずです。他のものを買って後悔したことは山のようにありますが……。「あの金があれば、あの本があんなにも買えたのに…」と、しょっちゅう本の冊数に換算しては落ち込んでいます(これがかなりこたえる)。しょうもないなあ。それなら何かもう本だけ買ってればそれでいいんじゃないだろうかと思うのですが、どうしてかそういうわけにもいかないのですねえ。うーむ。
そして私は、本を読んでいるあいだが一番もやもやから解放されている時間であるような気がします。でも、それは決して《逃避》ではない。と、思います……多分。私の読書傾向からすると、そう、それはむしろ、《活性剤》なのです。ほら、やる気が出てきたぜ! 単純な魂よ、喜びのうちに走れ!
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スノードーム風 時計

2006年11月02日 | 自作アニメーション
引き続き、ActionScript による時計を作ってみました。
もうすぐ雪の季節ということもありまして、スノードーム風にしてみましたが、いまひとつ、そんな感じがしません。
真中あたりでちょこちょこと動いているのは、新キャラのヒヨコ兄弟「ノルとディック」です。小さい方がノルです。

鳩時計のように、1時間ごとにヒヨコが飛び上がったりするようにしたかったのですが、ちょっと難しそうなのでまた今度にします。全体的にサイズが小さいので、時計の針も、ヒヨコが動いているところもよく見えないという根本的な問題を抱えています。が、とりあえずは、時計を作る練習はこれで終わりです。うーむ、どうにか応用したい。


実際に動く時計はこちらからご覧いただけます。

 →→ 『不透明記録


 *追加で「曇りバージョン」も作ってみました。
  暗いけど、こっちのほうが冬っぽいですね。私が雪国育ちだからでしょうか。
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