『赤い館の秘密』(新訳版)創元推理文庫ー2019/3/20
”The Red House Mystery”
A.A.ミルン(著)、山田順子(翻訳)
『内容』≪BOOK≫データベースより)
田舎の名士の屋敷、赤い館で銃声が轟いた。死んだのは、15年ぶりに館の主マークを訪ねてき
た兄。発見したのはマークの従弟と、館に滞在中の友人に会いにきた青年ギリンガムだった。
発見時の状況からマークに殺人の疑いがかかるが、肝心のマークは行方不明。興味を惹かれた
ギリンガムは、友人をワトスン役に事件を調べ始める。英国の劇作家ミルンが書いた長編探偵
小説、新訳決定版。
「クマのプーさん」でお馴染みのA.A.ミルンが1921年に発表した 最初で最後、唯一の推理小説
です。
「クマのプーさん」はミルンの息子クリストファーの為に、そして、この「赤い館の秘密」は推理
小説好きであった父に捧げた作品であると言われています。
ざっとしたあらすじは上記データベースにある通りなので詳細には触れません。
この作品でミルンは、探偵小説(推理小説)に関する見解を述べていて、ホームズに代表される
超人的な推理をする探偵に苦言を呈して居り、探偵は素人であるべき、そして探偵が見た物、感
じた事は全て読者に提示されなければならない。
又、ロマンスの要素は必要ない、ワトソン役は従来良くみられる”間抜け”な役回りであっては
ならない・・・等と述べています。
この作品における探偵は、アントニー・ギリンガム
経済的に余裕があり、世界を観るという目的の為色々な職業に就き人間観察を続けている、
そして見た物をすべて記憶する瞬間記憶という特殊能力を持っています。
ワトソン役は、そのギリンガムの友人でたまたま”赤い館”に滞在していたビル・ベヴァリー。
偶然ベヴァリーを訪ねて来た途端に殺人現場に遭遇したギリンガムは”探偵”となり、この事件を
捜査し始めるのですが、舞台は「赤い館」と呼ばれる屋敷とその周辺のみ。
当時屋敷に滞在していた招待客(退役軍人、上流母娘、女優等)が容疑者となるものの、彼等に
は鉄壁のアリバイが・・・・。
と言う訳で、犯人は絞られて来るものの、それでもその犯人の動機、犯行手段等を推理、捜査し
ながら意見を交わすギリンガムとヴェヴァリーのユーモアと温かみ溢れる会話に癒されます。
殺人事件があるにも拘らず、特に残忍さや陰惨さをあまり感じないのは 全体を通して英国の
カントリーサイドの長閑な情景描写や登場人物に対する優しさに満ちた視点等がこの小説を
特別なものにしているのだと感じます。
100年前の本作は、江戸川乱歩の「探偵小説黄金時代ベストテン」にも含まれていて、又素人
探偵ギリンガムは横溝正史の金田一耕助のモデルになっているとか・・・。(どの辺が?と思う
のは私だけかしら?)
魅力的なバディーとなったギリンガムとベヴァリーの活躍をもっと読みたかったと思わせられ
るのにこの一作だけと言うのは誠に残念です。
この所のずっと続く先の見えない辛いストレスフルな時期だからこそ、この作品の様に癒される
ミステリ(と言うより”探偵小説”、”推理小説”という表現があたるかも)を読んでみるのも新鮮
で良いのではないかと思います。
”The Red House Mystery”
A.A.ミルン(著)、山田順子(翻訳)
『内容』≪BOOK≫データベースより)
田舎の名士の屋敷、赤い館で銃声が轟いた。死んだのは、15年ぶりに館の主マークを訪ねてき
た兄。発見したのはマークの従弟と、館に滞在中の友人に会いにきた青年ギリンガムだった。
発見時の状況からマークに殺人の疑いがかかるが、肝心のマークは行方不明。興味を惹かれた
ギリンガムは、友人をワトスン役に事件を調べ始める。英国の劇作家ミルンが書いた長編探偵
小説、新訳決定版。
「クマのプーさん」でお馴染みのA.A.ミルンが1921年に発表した 最初で最後、唯一の推理小説
です。
「クマのプーさん」はミルンの息子クリストファーの為に、そして、この「赤い館の秘密」は推理
小説好きであった父に捧げた作品であると言われています。
ざっとしたあらすじは上記データベースにある通りなので詳細には触れません。
この作品でミルンは、探偵小説(推理小説)に関する見解を述べていて、ホームズに代表される
超人的な推理をする探偵に苦言を呈して居り、探偵は素人であるべき、そして探偵が見た物、感
じた事は全て読者に提示されなければならない。
又、ロマンスの要素は必要ない、ワトソン役は従来良くみられる”間抜け”な役回りであっては
ならない・・・等と述べています。
この作品における探偵は、アントニー・ギリンガム
経済的に余裕があり、世界を観るという目的の為色々な職業に就き人間観察を続けている、
そして見た物をすべて記憶する瞬間記憶という特殊能力を持っています。
ワトソン役は、そのギリンガムの友人でたまたま”赤い館”に滞在していたビル・ベヴァリー。
偶然ベヴァリーを訪ねて来た途端に殺人現場に遭遇したギリンガムは”探偵”となり、この事件を
捜査し始めるのですが、舞台は「赤い館」と呼ばれる屋敷とその周辺のみ。
当時屋敷に滞在していた招待客(退役軍人、上流母娘、女優等)が容疑者となるものの、彼等に
は鉄壁のアリバイが・・・・。
と言う訳で、犯人は絞られて来るものの、それでもその犯人の動機、犯行手段等を推理、捜査し
ながら意見を交わすギリンガムとヴェヴァリーのユーモアと温かみ溢れる会話に癒されます。
殺人事件があるにも拘らず、特に残忍さや陰惨さをあまり感じないのは 全体を通して英国の
カントリーサイドの長閑な情景描写や登場人物に対する優しさに満ちた視点等がこの小説を
特別なものにしているのだと感じます。
100年前の本作は、江戸川乱歩の「探偵小説黄金時代ベストテン」にも含まれていて、又素人
探偵ギリンガムは横溝正史の金田一耕助のモデルになっているとか・・・。(どの辺が?と思う
のは私だけかしら?)
魅力的なバディーとなったギリンガムとベヴァリーの活躍をもっと読みたかったと思わせられ
るのにこの一作だけと言うのは誠に残念です。
この所のずっと続く先の見えない辛いストレスフルな時期だからこそ、この作品の様に癒される
ミステリ(と言うより”探偵小説”、”推理小説”という表現があたるかも)を読んでみるのも新鮮
で良いのではないかと思います。