The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

『メグレと若い女の死〔新訳版〕』ジョルジュ・シムノン

2023-10-21 | ブックレヴュー&情報
"Maigret et la Jeune Morte"

ハヤカワ・ミステリ文庫:2023年2月21日
ジョルジュ・シムノン(著)、平岡敦(翻訳)

【内容概略】
≪パリ、ヴァンティミユ広場で女の死体が発見された。場違いなサテンのイブニングドレスをま
とった被害者を見たメグレは、事件が複雑なものになると直感する。ルイーズと名乗る女性はな
ぜ殺されたのか。
メグレはルイーズの人生をなぞるように捜査を行う。犯人を追うことよりも、孤独と苦悩の中に
あった彼女の人生を理解することが事件を解き明かす鍵だとわかっていたからだ。シリーズの代
表作がついに新訳。

メグレ警視シリーズ新訳版 後期の傑作と言われている≫

メグレのシリーズは本当に大昔読んだ(はず)なのですが、全く記憶に残っておらず(又得意の
フレーズ)、すっかり記憶喪失でした。 ”メグレ”と云えば、映画、ドラマを思い浮かべましたね。
そんなメグレですが、シリーズの新訳が出版されたとの事で、何となく懐かしく読み始めました。

小糠雨降るパリの広場で若い女性の撲殺された死体が発見されるが、この女性は場違いなサテン
のイブニングドレス姿。しかも古びたドレスを何故着ていたのか、何処へ訪れていたのか。
捜査の指揮をとる事になったメグレ警視は、犯人を目指す前に、この女性の人生を振り返る事か
ら始める。 名前も不明だった彼女の身元を探るうちに、彼女の生き方、孤独、哀れな運命が浮
かび上がってくる。 被害者となった彼女の過去が悲しく、その心理を掴む事によって次第に明
らかになって来る真実。

一般的なのミステリでは ひたすら犯人とその事件の動機などを追うのが通常のパターンなので
すが、この作品の場合死者である若い女性の過去を追い、彼女の心理に感情移入する事が事件の
解決につながる・・・というジワジワと引き込まれていく様な 味のあるミステリだと感じました。

又、メグレと共に捜査にあたるロニョン警部のキャラクターも大変興味深く、メグレとは全く異
なる捜査法で身を粉にして歩き回る一匹狼の〈不愛想な刑事・ロニョン〉の佇まい、人間描写が
印象に残り 気の毒な様な、苛立たしい様な・・・非常に興味深いキャラクターですね。

それに加え、時折描写されるメグレ夫人は、メグレとのやり取りは心安らぐ情景が目に浮かぶ様
でホッとさせられる大きな存在感を感じます。
出すぎず、それとなくメグレを気遣うメグレ夫人がとても良いですね。

兎に角、殆んど初めてと言っていいほどの”メグレ”でしたが、目新しい感じさえ受けて大変味わ
い深い作品だと感じました。
新訳で文章もスムーズで読みやすいのもプラスになっていたと思います。

新訳版2作目は、
『メグレとマジェスティック・ホテルの地階』


ハヤカワミステリ版で2023年10月4日に発売されています。

又、先日『マルロー警部』についての記事内でご紹介しましたが、この作品は2022年映画化され
ています。
名優ジェラール・ドパルデューがメグレ警視を演じています



まだ映画版は見る機会が無いのですが、原作とは少し異なる描き方になっているようです。
機会があれば観比べたいと・・・・。






(source : ハヤカワ & etc.)