『死はわが隣人』ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1998/3月
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”Death is Now My Neighbour”
コリン・デクスター(著)、大庭忠男(翻訳)
内容(「BOOK」データベースより)
オックスフォード大学の学寮長の引退を目前に控え、後継者争いが激化するなか、大学にほど
近い閑静な住宅街で住人の女性が射殺される事件が起きた。さっそくモース主任警部は捜査を
開始するが、被害者が人から恨みを買っていたとはとうてい思えない。糖尿病に悩まされなが
らも地道な聞き込みを続けるモース。うさんくさい新聞記者、耳の不自由な老婦人、詮索好き
な主婦…一癖も二癖もある隣人たちの錯綜する証言から、モースは殺人事件と学寮長選挙との
意外な接点を発見する!シリーズ終了との噂に、英米ミステリ界が騒然となった超話題作。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
1988年刊行の「ウッドストック行き最終バス」”Last Bus to Woodstock”でデビューしたモース
主任警部シリーズの13冊目です。
後書きにもある様に、デクスターは本作でシリーズを完結させようとしていた様ですがファンの
熱望により2001年刊行の14作目「悔恨の日々」”The Remorseful Day”が最終作となっています。
内容は、
大学の街オックスフォードらしく ロンズデール・カレッジの学寮長選挙が物語の縦軸となって
います。
それに住宅地で起こった女性の殺人事件が絡み、この二つが意外な関係が明らかになっていくの
ですが、モースの推理は寄り道したり行き詰ったりしながら、時には妄想したりしながら進みます。
そんな中、何と言っても モースとルイスが 文法や綴りの誤りを指揮したり、ルイスが意外な博
識ぶりを披露してモースを驚かしたりしながら、お互いに寄り道しながらの掛け合いをしながら
推理を進めて行く過程と会話が何とも言えず楽しいのです。
しかし、モースは日頃の不摂生がたたり糖尿病で入院となってしまいます。
それにしてもあんなに飲んでばかりいたらそりゃ身体壊しますわ。 殆どアルコール依存症では
ないかと・・・。 そしてタバコも吸ってますもんね。 入院後は一時気を付けてはいたようで
すが。
何と言ってもこの作品での注目点は、ルイスとの関係です。
傲慢、横柄で尊大、不愛想なモース、感謝の言葉もかけられたことが無いルイスに妻はモースが
あまり大事に扱っていないのではないかと言った事に対するルイスの言葉は、「彼に大事に扱わ
れているのはわたしだけだ」。
ルイスの良い人振りが端々に伺えます。 これはドラマ版より顕著なのですが、設定がルイスの
方が年上だということにもよるのでしょうか。
2人が知り合ってから15年位経っていると言われる設定で、ようやくお互いの気持ちが噛み合って
来ている様な感じがあります。
そして、何と言っても今作の目玉(?)は、モースのファーストネームが明かされます。
(ルイスも知らなかったんですね)
コリン・デクスターは当初彼のファーストネームは何も考えていなかった様で、途中の作品で
”E” とだけは明かされ時はファンの間で色々な憶測が出ていた様です。
入院中に懇意になった看護師であるシスター・ジャネット・マックイーンを事件終了後ホテルに
お泊りご招待するモース(相変わらずのモースです)は子供の頃の両親の様子などを話します。
そして、ジャネットはルイスが彼のファーストネームを知るべきだと諭し、お礼の絵葉書を送る
様に強く指示するのですが、
その絵葉書を受け取ったルイスは 書かれている内容と最後に書かれた初めて聞くモースのファ
ーストネームを見て密かに涙を拭う(鼻をかむ振りをしながら)
なんて、感動的なエピローグになっています。
先にも書きましたが、この作品はこのシリーズのフィナーレの一作前の作品ではありますが
モースのキャラクター完成、ルイスとの関係等 ある意味完結している様にも思えます。
尚、少し話が逸れますが、今回改めて読んでみてモースのジャガーの色表記が少し気になりま
して、翻訳本では”えび茶”となっているのですが ドラマでお馴染みになっていたのが”赤”
と思い込んでいた為原作ではどの様な表記になっているのか色々調べてみました。
多分これだと思われたのが ”burgandy” (これは慣用色名では「暗い赤紫にも茶色にも見
える赤」と言った様な表現がされていました)
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そして、このジャガー(MK II)はシリーズ終了後オークションに掛けられたのですが、通常
このタイプの車であれば£6,000位が相場であるところ 何と£53,000で落札されたそうです。
もう1点気になったのが、ルイスの言葉。
あるスタイルの良い女性(足が長い)に対する表現が、「足が脇の下まである」(!?)
こんな表現は初めて聞いたし、しかも一度ならずこの表現を口にしてモースからも指摘されて
いましたっけ。
あのルイスがねぇ。と思わずニヤりとします。
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又、ドラマではこの作品はS8のE3になっていまして、フィナーレの”The Remorseful Day”「悔恨
の日」の2つ前のエピソードになっています。
そう言えば、先日ご案内した様に「主任警部モース」が再放送されていたのですが、なかなか
時間が取れずこのエピソードは観る事が出来なかったんです。
何度再放送を観ても何故か観逃しているエピソードやうろ覚えのエピソードがある中、何故か最
終回だけは何度も観る事になってしまいます(意図した訳ではないのですが)。 そして、観る
度胸が痛くなり 涙が溢れそうになるんです。
兎に角、原作シリーズの中では1番好きと言っても過言ではない程の作品です。
もし、モースがお好きであれば是非一度お読みいただきたいと思うところです。
※ 1作目「ウッドストック行き最終バス」はこちらに書きました
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”Death is Now My Neighbour”
コリン・デクスター(著)、大庭忠男(翻訳)
内容(「BOOK」データベースより)
オックスフォード大学の学寮長の引退を目前に控え、後継者争いが激化するなか、大学にほど
近い閑静な住宅街で住人の女性が射殺される事件が起きた。さっそくモース主任警部は捜査を
開始するが、被害者が人から恨みを買っていたとはとうてい思えない。糖尿病に悩まされなが
らも地道な聞き込みを続けるモース。うさんくさい新聞記者、耳の不自由な老婦人、詮索好き
な主婦…一癖も二癖もある隣人たちの錯綜する証言から、モースは殺人事件と学寮長選挙との
意外な接点を発見する!シリーズ終了との噂に、英米ミステリ界が騒然となった超話題作。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
1988年刊行の「ウッドストック行き最終バス」”Last Bus to Woodstock”でデビューしたモース
主任警部シリーズの13冊目です。
後書きにもある様に、デクスターは本作でシリーズを完結させようとしていた様ですがファンの
熱望により2001年刊行の14作目「悔恨の日々」”The Remorseful Day”が最終作となっています。
内容は、
大学の街オックスフォードらしく ロンズデール・カレッジの学寮長選挙が物語の縦軸となって
います。
それに住宅地で起こった女性の殺人事件が絡み、この二つが意外な関係が明らかになっていくの
ですが、モースの推理は寄り道したり行き詰ったりしながら、時には妄想したりしながら進みます。
そんな中、何と言っても モースとルイスが 文法や綴りの誤りを指揮したり、ルイスが意外な博
識ぶりを披露してモースを驚かしたりしながら、お互いに寄り道しながらの掛け合いをしながら
推理を進めて行く過程と会話が何とも言えず楽しいのです。
しかし、モースは日頃の不摂生がたたり糖尿病で入院となってしまいます。
それにしてもあんなに飲んでばかりいたらそりゃ身体壊しますわ。 殆どアルコール依存症では
ないかと・・・。 そしてタバコも吸ってますもんね。 入院後は一時気を付けてはいたようで
すが。
何と言ってもこの作品での注目点は、ルイスとの関係です。
傲慢、横柄で尊大、不愛想なモース、感謝の言葉もかけられたことが無いルイスに妻はモースが
あまり大事に扱っていないのではないかと言った事に対するルイスの言葉は、「彼に大事に扱わ
れているのはわたしだけだ」。
ルイスの良い人振りが端々に伺えます。 これはドラマ版より顕著なのですが、設定がルイスの
方が年上だということにもよるのでしょうか。
2人が知り合ってから15年位経っていると言われる設定で、ようやくお互いの気持ちが噛み合って
来ている様な感じがあります。
そして、何と言っても今作の目玉(?)は、モースのファーストネームが明かされます。
(ルイスも知らなかったんですね)
コリン・デクスターは当初彼のファーストネームは何も考えていなかった様で、途中の作品で
”E” とだけは明かされ時はファンの間で色々な憶測が出ていた様です。
入院中に懇意になった看護師であるシスター・ジャネット・マックイーンを事件終了後ホテルに
お泊りご招待するモース(相変わらずのモースです)は子供の頃の両親の様子などを話します。
そして、ジャネットはルイスが彼のファーストネームを知るべきだと諭し、お礼の絵葉書を送る
様に強く指示するのですが、
その絵葉書を受け取ったルイスは 書かれている内容と最後に書かれた初めて聞くモースのファ
ーストネームを見て密かに涙を拭う(鼻をかむ振りをしながら)
なんて、感動的なエピローグになっています。
先にも書きましたが、この作品はこのシリーズのフィナーレの一作前の作品ではありますが
モースのキャラクター完成、ルイスとの関係等 ある意味完結している様にも思えます。
尚、少し話が逸れますが、今回改めて読んでみてモースのジャガーの色表記が少し気になりま
して、翻訳本では”えび茶”となっているのですが ドラマでお馴染みになっていたのが”赤”
と思い込んでいた為原作ではどの様な表記になっているのか色々調べてみました。
多分これだと思われたのが ”burgandy” (これは慣用色名では「暗い赤紫にも茶色にも見
える赤」と言った様な表現がされていました)
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そして、このジャガー(MK II)はシリーズ終了後オークションに掛けられたのですが、通常
このタイプの車であれば£6,000位が相場であるところ 何と£53,000で落札されたそうです。
もう1点気になったのが、ルイスの言葉。
あるスタイルの良い女性(足が長い)に対する表現が、「足が脇の下まである」(!?)
こんな表現は初めて聞いたし、しかも一度ならずこの表現を口にしてモースからも指摘されて
いましたっけ。
あのルイスがねぇ。と思わずニヤりとします。
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又、ドラマではこの作品はS8のE3になっていまして、フィナーレの”The Remorseful Day”「悔恨
の日」の2つ前のエピソードになっています。
そう言えば、先日ご案内した様に「主任警部モース」が再放送されていたのですが、なかなか
時間が取れずこのエピソードは観る事が出来なかったんです。
何度再放送を観ても何故か観逃しているエピソードやうろ覚えのエピソードがある中、何故か最
終回だけは何度も観る事になってしまいます(意図した訳ではないのですが)。 そして、観る
度胸が痛くなり 涙が溢れそうになるんです。
兎に角、原作シリーズの中では1番好きと言っても過言ではない程の作品です。
もし、モースがお好きであれば是非一度お読みいただきたいと思うところです。
※ 1作目「ウッドストック行き最終バス」はこちらに書きました
オックスフォードの何だか選挙とかの話題はよく出ますよね?古色蒼然たる行列とか、、、裏の駆け引きとか、いまいち理解しないままなんです。あっ!間違い理解しないではなく出来ないです。ここのとこ、風邪引いたり、義理の姉が来たりでそのエピソード見ようと思ってまだなんです。
怪しくなって来て? それは同じくです。(競い合ってどうする、って事ですが)
モースさんとルイスさんがごっちゃになって・・・というのは悩ましいところですわね。 時代設定が違うだけ
で登場人物は被っているし、場所や設定は同じだし、何と言ってもオリジナル→スピンオフだからどうして
も同じ雰囲気になっているんでしょうし。 そしてどの作品も難解だしね。
私もこのエピソードは見逃がしています。 そのうち又再放送してくれるかも と期待しています。
お風邪ですか? あっという間に今年も残り少なくなって何となく忙しなくなってきて 寒い日が続きますか
らどうぞお身体お大事になさって下さいね。
追記に、
え? ご覧になったんですか? そうそう「主任警部モース」でのホブソンさんは若くて可愛いですね。
ところで、ロジャー・アラムが出ていたなんて全く気付いていませんでした。ので、今キャスト確認したら確
かに出てますね。 益々観なくちゃ!