The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

シグマフォースシリーズ『イヴの迷宮』ジェームズ・ロリンズ著

2017-12-03 | ブックレヴュー&情報

シグマフォースシリーズ10『イヴの迷宮』上下(竹書房文庫) 2017年7月3日
ジェームズ・ロリンズ著、桑田 健翻訳
上下巻各810円

内容紹介
〈聖なる母の遺骨〉が示す、
人類の叡智の根源とその未来──
なぜ人類の知能は急速に発達したのか?
全世界で日本でベストセラー! シリーズ最新作!

知能とは進化における偶然の産物であって、
必ずしも優位とは限らない。
――アイザック・アシモフ

現生人類が最初に登場したのは約二十万年前
認知の発達におけるその時を迎えたのは約五万年前──
芸術や技術革新において説明のつかない大きな進歩
人類の意識におけるビッグバンは起こった
それはなぜ起きたのか……今もって解明されていない

★巻頭に『イヴの迷宮』前日譚にあたる短編を特別収録!
 
内容(「BOOK」データベースより)
遺伝学者レナ・クランドールとローランド・ノヴァク神父は、クロアチアの洞窟でネアンデルタール
人の遺骨らしきものと壮麗な壁画を発見するが、謎の一団の襲撃を受けて洞窟内に閉じ込めら
れる。シグマフォースのグレイ・ピアースとセイチャンによって救出されたものの、遺骨は奪われて
しまう。遺骨の謎を探るため、グレイたちはアタナシウス・キルヒャーという十七世紀の神父が残
した手がかりを追う。一方、アメリカにいるレナの双子の妹マリアは、調査に訪れたジョー・コワル
スキと飼育しているゴリラのバーコとともに、中国人の一団に拉致されてしまう。ネアンデルター
ル人の遺骨と北京で行なわれている謎の実験の関連は何なのか?物語の前日譚に当たる短編
『ミッドナイト・ウォッチ』も収録。

(あらすじ)
遺伝学者レナ・グランドールとロら―ンド・ノヴァク神父は、クロアチアの洞窟でネアンデルタール人
の遺骨らしきものと壮麗な壁画を発見するが、謎の一段の襲撃をうけて洞窟内に閉じ込められる。シグ
マフォースのグレイ・ピアースとセイチャンによって救出されたものの、遺骨は奪われてしまう。遺骨
の謎を探るため、グレイたちはアナシウス・キルヒャーという十七世紀の神父が残した手掛かりを追う。
一方、アメリカにいるレナの双子の妹マリアは、調査に訪れたジョー・コワルスキと飼育しているゴリ
ラのバーコとともに、中国人の一団に拉致されてしまう。ネアンデルタール人の遺骨と北京で行われて
いる謎の実験の関連は何なのか?
(Amazon案内より)



シグマフォースシリーズの新刊です(と言っても7月発売ですが)2ヵ月ほど前に手に取りました。
これまでの『シグマフォース』シリーズにもみられる様に、今作も一段とスケールが大きくなってい
ます。
舞台もアメリカ、クロアチア、中国、エクアドルと世界各地に飛びながら、一見無関係とも思われる
複数の要素を巧みに関連付けながら、そこに何時もの魅力的なキャラクターを配しながらアクション
とスピード感にも満ち、又歴史的事実に独特の解釈とオリジナルの解釈を取り混ぜながらサスペンス
感も十分に感じられる一気読みの要素に満ちた作品でした。

ゲノム操作をされ手話を使うニシローランドゴリラのバーゴ、そして手話が出来るという特技を買
われたコワルスキの大活躍。 過去のトラウマでサル恐怖症であったコワルスキとバーゴの触れ
合い、次第に心を通わせる過程が微笑ましい。
このバーゴ誕生のいきさつは、人類(ホモ・サピエンス)の知能が約五万年前に急激に進化,向上
した原因を突き止めようとした科学者姉妹の研究がきっかけで誕生したもので、その事が同時に
遺伝子編集技術に関しての倫理の問題や、この研究技術を狙う中国との攻防が1つのテーマ。

それと同時に、「イエズス会のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と評されたアナシウス・キルヒャー神父
の生涯を追いながらクロアチアの洞窟で発見されたネアンデルタール人らしきの遺骨や壮麗な壁画、
それに引き続きエクアドルの地下には所謂オーパーツと評される説明の出来ない過去の遺物。
そしてアトランティス伝説へと導かれていきます。
その上、月の成り立ち、地球との関係、皆既日照の不思議まで・・・
子供の頃からこの様なテーマが大好物なモンで、ついのめり込みます。 そう言えば、中米にも
オーパーツと云われる遺物が多いんですよね。
こう書くと、いかにも荒唐無稽な内容に感じられるかも知れませんが、過去の作品同様ロリンズは
きちんと歴史的事実と文献をベースにしているので、確かにそんな事もあるのかも知れない・・・
と思わせられる興味深い内容になっていたと思います。 
最後にロリンズが挙げていた参考文献も読んでみたくなりましたね。

シグマ・フォースのメンバーもそうれぞれ各国に別れて活躍します。
グレイとセイチャンは、クロアチラからエクアドルへ、モンクはキンバリーと共に中国へ潜入、
クロウ司令官は中央で指揮、何時もの魅力的なキャラクターが配されています。
ただ、今回は何と言ってもコワルスキでしょう。
武骨で不器用なコワルスキとバーゴが次第に心を通わせ 遂には”パパ”、”息子”と呼び合い
(手話で)、そしてバーゴがママと慕うマリアと”3人は家族”とまで云わせるほどの関係を築い
ていく過程はホノボノとしながら胸が熱くなります。 いや~、ダメなんですよ、動物ものは。
弱いんです。 これだけでもやられちゃうんですよ。

ただ、ほろ苦くも心が温かくなる様なエンディングの後のエピローグはビックリ!
10年後の話が書かれていて、え?、これって・・・?と妄想が膨らみます。

歴史と科学、アクションとサスペンス、謎解き、人間ドラマ・・・盛り沢山で読みごたえがあり
とても楽しめる作品でした。
やはりこのシリーズは好きです。

次回作は『モーセの災い』(仮題)で2018年夏頃に刊行予定だそうです。楽しみ!

参考までにシグマ・フォース シリーズを :

0:「ウバールの悪魔」”Sandstorm ”
1:「マギの聖骨」”Map of Bones ”
2:「ナチの亡霊」”Black Order”
3:「ユダの覚醒」”The Judas Strain ”
4:「ロマの血脈」”The Last Oracle ”
5:「ケルトの封印」”The Doomsday Key ”
6:「ジェファーソンの密約」”The Devil Colony ”
7:「ギルドの系譜」”Bloodline ”
8:「チンギスの陵墓」 ”The Eye of God ”
9:「ダーウィンの警告」”The Sixth Extinction ”
10:「イヴの迷宮」” The Bone Labyrinth”

11:"The Seventh Plague”「モーセの災い」(仮題)2018年夏発売予定





コメントを投稿