高浜原発防潮堤かさ上げへ、なぜ? 想定する津波の高さに計算ミス
(2014年8月9日午前7時00分)福井新聞
再稼働に向けて安全審査が進む関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)をめぐり、関電は8日、同原発で想定する津波高さで見つかった計算ミスに関し原子力規制委員会の審査会合で再計算結果を提出した。従来の想定より水位が高くなり、建設中の防潮堤(海抜6メートル)では浸水を防げないとして、2メートルかさ上げする方針を示した。
規制委は今後、変更された防潮堤の設計が妥当かどうかを審査で確認する。
計算ミスをめぐっては、関電が子会社に津波規模の計算を委託し、いったん結果を規制委に報告。7月になって計算をチェックしたところ、海底活断層の地震とともに起きる地滑りの発生から終了までの時間を「951秒」(約16分)とすべきところを「120秒」(2分)と誤入力していたことが判明した。
その結果、従来は「海抜4・4メートル」としていた放水路奥の水位が「6・2メートル」となり6メートルの防潮堤を超えるなど、津波の影響が大きくなることが分かった。同様に大飯原発の津波想定も変更されるが、再計算は終了していない。
関電は、防潮堤の改造工事について「月単位で時間がかかる」としている。
高浜は焦点だった基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)が了承され、審査で2番手に付けている。ただ、審査書案を作る段階にはまだ複数回の審査会合が必要とみられ、その後の工事計画認可などの審査日程は読めない。基準地震動の引き上げに伴う設備の耐震評価解析も続けており、再稼働の時期が見通せない状態が続いている。