宮城指定廃棄物:石原環境相、打開策示さず
毎日新聞 2014年07月25日 21時40分(最終更新 07月26日 00時21分)
宮城県指定廃棄物処理促進市町村長会議であいさつする石原伸晃環境相(左)。右は村井嘉浩宮城県知事=仙台市宮城野区で2014年7月25日、佐々木順一撮影
宮城県指定廃棄物処理促進市町村長会議であいさつする石原伸晃環境相(左)。右は村井嘉浩宮城県知事=仙台市宮城野区で2014年7月25日、佐々木順一撮影
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東京電力福島第1原発事故で飛散した放射性物質を含む「指定廃棄物」の宮城県内での最終処分場建設問題で、石原伸晃環境相は25日、仙台市で村井嘉浩知事や建設候補地の3市町長らと会談し、候補地を絞り込むための地盤などの調査受け入れを求めた。しかし、意見をまとめることができず、受け入れ可否の判断を知事に委ねた。初めて現地入りした石原環境相に打開策を期待していた候補地の首長からは驚きと批判の声が上がった。
◇最終処分場「知事が調査判断を」
指定廃棄物は、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレルを超える焼却灰や稲わらなどで、環境省は発生した各都県内で処理する方針。既存の処分場で処理しきれない5県では、新たに最終処分場を造る計画だ。
宮城県については、環境省は今年1月、栗原市、加美町(かみまち)、大和町(たいわちょう)を候補地として提示。ボーリングなどの詳細調査を実施して候補地を1カ所に絞る案を示した。しかし、3市町長は選定理由の説明が十分でないことなどから納得せず、その場で反対を表明。その後も議論が進まず、行き詰まっていた。
仙台市内のホテルで開かれた市町村長会議に出席した石原環境相は、調査の受け入れを改めて要請。しかし、候補地の首長はいずれも、処分場に適していないと主張。猪股洋文・加美町長は、調査自体に反対する姿勢を強調した。
会議の終盤、石原環境相は村井知事に「35市町村と知事の意見を一つにまとめてもらいたい」と要請。知事は「ボールを私の方に投げて県として集約した上で返事をしろと言うことですか?」と驚いて聞き返した。
それでも、知事は「大臣の言葉を重く受け止める」と答え、1週間後をめどに、何らかの判断をする意向を示した。
会議後、候補地の首長は「何も進まず、全く意味がなかった」(佐藤勇・栗原市長)▽「丸投げは理解できない。何と言われても調査は受け入れられない」(猪股・加美町長)▽「国が責任を持ってやっていくべきだ」(浅野元・大和町長)と国を批判した。
これに対し、石原環境相は記者団に「私たちが乗り込んでいって、勝手に調査をするものではない」と釈明した。【渡辺諒、百武信幸、金森崇之】
毎日新聞 2014年07月25日 21時40分(最終更新 07月26日 00時21分)
宮城県指定廃棄物処理促進市町村長会議であいさつする石原伸晃環境相(左)。右は村井嘉浩宮城県知事=仙台市宮城野区で2014年7月25日、佐々木順一撮影
宮城県指定廃棄物処理促進市町村長会議であいさつする石原伸晃環境相(左)。右は村井嘉浩宮城県知事=仙台市宮城野区で2014年7月25日、佐々木順一撮影
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東京電力福島第1原発事故で飛散した放射性物質を含む「指定廃棄物」の宮城県内での最終処分場建設問題で、石原伸晃環境相は25日、仙台市で村井嘉浩知事や建設候補地の3市町長らと会談し、候補地を絞り込むための地盤などの調査受け入れを求めた。しかし、意見をまとめることができず、受け入れ可否の判断を知事に委ねた。初めて現地入りした石原環境相に打開策を期待していた候補地の首長からは驚きと批判の声が上がった。
◇最終処分場「知事が調査判断を」
指定廃棄物は、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレルを超える焼却灰や稲わらなどで、環境省は発生した各都県内で処理する方針。既存の処分場で処理しきれない5県では、新たに最終処分場を造る計画だ。
宮城県については、環境省は今年1月、栗原市、加美町(かみまち)、大和町(たいわちょう)を候補地として提示。ボーリングなどの詳細調査を実施して候補地を1カ所に絞る案を示した。しかし、3市町長は選定理由の説明が十分でないことなどから納得せず、その場で反対を表明。その後も議論が進まず、行き詰まっていた。
仙台市内のホテルで開かれた市町村長会議に出席した石原環境相は、調査の受け入れを改めて要請。しかし、候補地の首長はいずれも、処分場に適していないと主張。猪股洋文・加美町長は、調査自体に反対する姿勢を強調した。
会議の終盤、石原環境相は村井知事に「35市町村と知事の意見を一つにまとめてもらいたい」と要請。知事は「ボールを私の方に投げて県として集約した上で返事をしろと言うことですか?」と驚いて聞き返した。
それでも、知事は「大臣の言葉を重く受け止める」と答え、1週間後をめどに、何らかの判断をする意向を示した。
会議後、候補地の首長は「何も進まず、全く意味がなかった」(佐藤勇・栗原市長)▽「丸投げは理解できない。何と言われても調査は受け入れられない」(猪股・加美町長)▽「国が責任を持ってやっていくべきだ」(浅野元・大和町長)と国を批判した。
これに対し、石原環境相は記者団に「私たちが乗り込んでいって、勝手に調査をするものではない」と釈明した。【渡辺諒、百武信幸、金森崇之】