河北新報
中間貯蔵施設の建設計画で、福島県の佐藤雄平知事が25日、大熊、双葉両町に地権者の生活再建支援策などとして150億円を拠出することを表明し、事実上、建設を容認する姿勢を示した。県が大きくかじを切ったことで、計画は一つの大きなヤマを越え、国が目指す来年1月の搬入開始に向けて、大きく動きだしたといえる。
国は福島側の要望を受け今月、施設使用開始から30年間で総額3010億円の交付金を拠出することや、用地の賃貸者も認める方針を打ち出した。最後の大きな課題で、5~6月に国が開いた住民説明会で最も多かった用地補償額への不満を、国に代わって県が補った形だ。
福島県内には除染廃棄物の仮置き場が約720カ所あるほか、自宅庭先などの「現場保管」が5万カ所以上に達し、除染や復興の妨げになっている。県は自ら財政措置を講じることで大熊、双葉両町にメッセージを送った。県幹部は「決着を長引かせることは、地元にもよくない」と語る。
中間貯蔵施設の候補地の面積は大熊町で町全体の14%、双葉町で10%を占める。人口でみると、両町の20%が30年間、古里の土を踏めなくなるだけに、両町は受け入れの判断は慎重に下す考えで、特に地権者の意向を尊重する姿勢を示す。
地権者の用地補償額への関心は高い。このため両町は議会などとの協議を経て、是非の最終判断に先立ち、国の地権者向け用地説明会を認める可能性もある。
ある町幹部は、9月3日に予定される内閣改造や10月9日告示の知事選などの政治日程に影響されていることに不満を示しながらも「中間貯蔵施設は必要な施設。ここでご破算にできる状況ではない」と指摘。「地権者の心情を考えると、中ぶらりんのままではいられない。カードが全て切られた以上、満額でなくても、ある程度の判断が必要な時期が迫っている」と話した。
◎「踏み込んだ判断」/2町長、受け入れ是非は示さず
福島県の佐藤雄平知事は25日、中間貯蔵施設の建設候補地の大熊、双葉両町に計150億円を拠出する方針を表明後、記者会見し、地権者の生活再建を重視する両町に最大限配慮したことを強調した。両町の町長は県の姿勢を評価した。
佐藤知事は記者会見で「国の提示案では課題が残った。地権者の生活再建策を確実に果たすことを、大熊、双葉町が重視していることは十分承知している」と語った。
ただ、150億円の具体的な使途については「地権者の生活再建支援と地域振興策だが、詳細はこれから協議する」と述べるにとどめた。
県の提案に対し、大熊町の渡辺利綱町長は「踏み込んだ判断でスタートラインに立った」と評価。双葉町の伊沢史朗町長も「県が前面に立ち、住民のために判断してくれた」と歓迎した。
一方で、両町長とも受け入れの判断に関しては「まだその状況ではない」(伊沢町長)などと述べ、町議会全員協議会と行政区長会議の反応を見てから行うとの姿勢を崩さなかった。
[関連記事]
中間貯蔵 県が容認、2町支援に150億円
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201408/20140826_61016.html
中間貯蔵 住民の評価と不満交錯
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201408/20140826_61006.html
2014年08月26日火曜日
中間貯蔵施設の建設計画で、福島県の佐藤雄平知事が25日、大熊、双葉両町に地権者の生活再建支援策などとして150億円を拠出することを表明し、事実上、建設を容認する姿勢を示した。県が大きくかじを切ったことで、計画は一つの大きなヤマを越え、国が目指す来年1月の搬入開始に向けて、大きく動きだしたといえる。
国は福島側の要望を受け今月、施設使用開始から30年間で総額3010億円の交付金を拠出することや、用地の賃貸者も認める方針を打ち出した。最後の大きな課題で、5~6月に国が開いた住民説明会で最も多かった用地補償額への不満を、国に代わって県が補った形だ。
福島県内には除染廃棄物の仮置き場が約720カ所あるほか、自宅庭先などの「現場保管」が5万カ所以上に達し、除染や復興の妨げになっている。県は自ら財政措置を講じることで大熊、双葉両町にメッセージを送った。県幹部は「決着を長引かせることは、地元にもよくない」と語る。
中間貯蔵施設の候補地の面積は大熊町で町全体の14%、双葉町で10%を占める。人口でみると、両町の20%が30年間、古里の土を踏めなくなるだけに、両町は受け入れの判断は慎重に下す考えで、特に地権者の意向を尊重する姿勢を示す。
地権者の用地補償額への関心は高い。このため両町は議会などとの協議を経て、是非の最終判断に先立ち、国の地権者向け用地説明会を認める可能性もある。
ある町幹部は、9月3日に予定される内閣改造や10月9日告示の知事選などの政治日程に影響されていることに不満を示しながらも「中間貯蔵施設は必要な施設。ここでご破算にできる状況ではない」と指摘。「地権者の心情を考えると、中ぶらりんのままではいられない。カードが全て切られた以上、満額でなくても、ある程度の判断が必要な時期が迫っている」と話した。
◎「踏み込んだ判断」/2町長、受け入れ是非は示さず
福島県の佐藤雄平知事は25日、中間貯蔵施設の建設候補地の大熊、双葉両町に計150億円を拠出する方針を表明後、記者会見し、地権者の生活再建を重視する両町に最大限配慮したことを強調した。両町の町長は県の姿勢を評価した。
佐藤知事は記者会見で「国の提示案では課題が残った。地権者の生活再建策を確実に果たすことを、大熊、双葉町が重視していることは十分承知している」と語った。
ただ、150億円の具体的な使途については「地権者の生活再建支援と地域振興策だが、詳細はこれから協議する」と述べるにとどめた。
県の提案に対し、大熊町の渡辺利綱町長は「踏み込んだ判断でスタートラインに立った」と評価。双葉町の伊沢史朗町長も「県が前面に立ち、住民のために判断してくれた」と歓迎した。
一方で、両町長とも受け入れの判断に関しては「まだその状況ではない」(伊沢町長)などと述べ、町議会全員協議会と行政区長会議の反応を見てから行うとの姿勢を崩さなかった。
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2014年08月26日火曜日