田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

リリとブラッキの脱出  麻屋与志夫

2015-10-17 10:40:49 | ブログ
10月17日 土曜日







●またしてもカミサンの絹を裂くような悲鳴。
このカミサンの甲高い悲鳴をどのように修飾したらよいのか。
いまだに迷っている。
適当な表現ができない。
猛禽類の鳴き声と表現して叱られたことがある。

●「庭にでたスキに、ブラッキが網戸をあけて、リリもふたりで脱走されたの」
二階から問いかけたわたしに、カミサンが声をはりあげて応える。

●一年ほど前、リリが迷い込んで来た。
わが家の一員となったときには、あれほど嫌っていたのに――。
それはそうだろう。
ブラッキもやはりよちよちと迷いこんで来た。
裏庭に放置してあったミユの餌の空き缶をなめていた。
哀れなので、家に入れて、蝶よ花よと育てて早十七年経っている。
ちゃほゃ(蝶や花や)育ててきた。
あるとき不意に子猫のリリが身近に存在することになったので、
おどろいたのだろう。
「ひりと娘だからブラッキはわがままなのよ」
「性格だ。インコやウサギ、犬となかよく住んでいる猫もいる」
「人見知りするたちなのね」
人でも動物でも個の存在のときは、あまり性格が目立たない。
ひかくするものができると際だって来る。

●そのブラッキがうれしいことに、ようやくリリになれてきた。
鼻をつきあわせて挨拶する。
水を同じ器からのむ。
ふたりで並んで二階のわたしの書斎から外を眺めていたりする。

●網戸などブラッキが率先して開ける。
リリがその後をおう。
そこで冒頭のカミサンの悲鳴とあいなるわけだ。

●これからGG作家の苦吟がはじまる。
すべて世は事もなし。
いつものルーテン。


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