田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

かげぜん/陰膳 set a meal for an absent person... 麻屋与志夫

2021-05-17 07:58:35 | 超短編小説
超短編小説18
かげぜん/陰膳 set a meal for an absent person...

ほら、ほら……そんなにあわてないで。どこで、あそんでいた?????
虹の橋で、アソンデいたんだよ。
そんなにすりすりしないで。でんぐりかえって、おなかみせて、かわいいな、かわいいな。そんなとこ、甘噛みしないで。くすぐったいじゃないか。
パパもいっしょにいこうよ。
どれ、肉球みせてごらん。きれいにふいてあげるから。……ついでに……。
いやだわよ。そんなとこはずかしいわ。
ぼくだって、はずかしいよ。パパ、いっしょに、いこうよ。虹の橋のむこうには、黄金が埋めてあるという伝説が、あるんだよ。お金の心配なんか、もうしなくてすむよ。
パパ、ロイヤルカンナの袋、もう底をついてるんじゃないの。
このアイシアのゼリータイプもおいしいよ。
いつもありがとうね。
アリガトウ。パパ。ありがとう。
近所で老人が孤独死した。枕元にお皿が五つも並んでいた。

だれもその五枚の皿が、亡くなった猫たちのための陰膳だとは気づかなかった。


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