7月9日 金曜日
●雨の中、傘をさして妻と買い物にでかけた。このところ、雨が降りつづいているので、スーパーに新鮮な野菜がすくない。それを気にして買い置きしないで毎日野菜を買っている。
「傘をさして、歩いている人は、いないわね」
妻の声が恥ずかしそうだ。
車が水しぶきをあげてわたしたちの側をとおりすぎる。
ボンビーだから、車もなく、大きなリックを背負って買い物か! とおもわれている。妻がそう感じているのがわかる。
●側溝は水嵩をまして流れている。鉄格子の蓋の上は滑るので、妻に注意をうながす。それでなくても妻はバラの世話で、中腰で仕事をしていたので、腰をいたわって歩いている。これでケガでもしたら、おおごとだ。
●傘をさしているので、さすがに二人で並んで歩けない。妻が珍しくあとからついてくる。マツキヨの前からは庇が出ているので、傘を閉じてサイドバイサイドとなった。
●「あの川のそばの老婆。川音がうるさい、と言っていたろう」
「ああ、おぼえているわ」
「ものは……考えようだ。おれは、川音をききながら生活できるなんて風流で優雅なものだ……とおもうよ」
●「ものは、考えようね」
サスガに六十年以上も共棲している妻だ。こちらの意図をすばやく理解した。顔に明るさが蘇った。
●帰路。雨はやんでいた。
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●側溝は水嵩をまして流れている。鉄格子の蓋の上は滑るので、妻に注意をうながす。それでなくても妻はバラの世話で、中腰で仕事をしていたので、腰をいたわって歩いている。これでケガでもしたら、おおごとだ。
●傘をさしているので、さすがに二人で並んで歩けない。妻が珍しくあとからついてくる。マツキヨの前からは庇が出ているので、傘を閉じてサイドバイサイドとなった。
●「あの川のそばの老婆。川音がうるさい、と言っていたろう」
「ああ、おぼえているわ」
「ものは……考えようだ。おれは、川音をききながら生活できるなんて風流で優雅なものだ……とおもうよ」
●「ものは、考えようね」
サスガに六十年以上も共棲している妻だ。こちらの意図をすばやく理解した。顔に明るさが蘇った。
●帰路。雨はやんでいた。
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