田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

ものは考えようだ。 麻屋与志夫

2021-07-09 22:51:55 | ブログ
7月9日 金曜日
●雨の中、傘をさして妻と買い物にでかけた。このところ、雨が降りつづいているので、スーパーに新鮮な野菜がすくない。それを気にして買い置きしないで毎日野菜を買っている。
「傘をさして、歩いている人は、いないわね」
 妻の声が恥ずかしそうだ。
 車が水しぶきをあげてわたしたちの側をとおりすぎる。
 ボンビーだから、車もなく、大きなリックを背負って買い物か! とおもわれている。妻がそう感じているのがわかる。

●側溝は水嵩をまして流れている。鉄格子の蓋の上は滑るので、妻に注意をうながす。それでなくても妻はバラの世話で、中腰で仕事をしていたので、腰をいたわって歩いている。これでケガでもしたら、おおごとだ。

●傘をさしているので、さすがに二人で並んで歩けない。妻が珍しくあとからついてくる。マツキヨの前からは庇が出ているので、傘を閉じてサイドバイサイドとなった。

●「あの川のそばの老婆。川音がうるさい、と言っていたろう」
「ああ、おぼえているわ」
「ものは……考えようだ。おれは、川音をききながら生活できるなんて風流で優雅なものだ……とおもうよ」

●「ものは、考えようね」
サスガに六十年以上も共棲している妻だ。こちらの意図をすばやく理解した。顔に明るさが蘇った。

●帰路。雨はやんでいた。


麻屋与志夫の小説は下記のカクヨムのサイトで読むことができます。どうぞご訪問ください。

カクヨムサイトはこちら

 

  今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
 お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
 皆さんの応援でがんばっています。