6月1日 日曜日
吸血鬼/浜辺の少女 55 (小説)
隼人は高野の胸に魔倒丸を突き刺した。
心臓を刺しつらぬいた。
なんのためらいもなかった。
高野は鬼島が消滅したのに、まだ人間にもどっていなかった。
高野は人間の血を吸った。吸血鬼になっていた。
吸血鬼としてこれから生きるよりも、死んだほうがいい。
首を切り離した。
族の仲間はこの展開に仰天している。
ケントが高野にしがみついて泣いている。
ケントはなにもしらない。RFにもなっていない。
なにもわからないままキャップの死を嘆いている。
殺すも慈悲。という感情に隼人は目覚めた。
殺すも慈悲。おれは残酷な感情に支配されたわけではない。
殺すも慈悲。悪に対して冷酷になれただけだ。
敵は倒す。敵は排除する。敵は消去する。敵は殺す。
敵はなんの容赦もなく殺戮する。
敵であればちゅうちょなく斬る。
隼人の剣に、非情さが備わった。
「逃げましょう。さらにことを荒立てるとはありません」
夏子が悲しそうにいう。
「今日は、逃げてばかりいる」
隼人はまだ戦いたい。
不満をもらす。夏子が隼人の手をとって飛ぶ。
族の連中には夏子の飛翔に能力はわからない。
なにが起きたのかわからない。
高野がジュワッと消えていく。
泡立ちながら霧散した。
玲菜とケントがムンクの叫びの表情になる。
溶けていく高野の遺骸を見ている。
なにか、現実をはるかに超えたことが起きた。
彼らの理解を上回っていることが起きた。
しかしこれで妖霧を断てば、かれらは吸血鬼の呪縛からときはなたれる。
まだ人の血を吸っていないものは元にもどれる。
夏子を悲しませてしまった。
鬼島と高野。たとえRFでも吸血鬼にはかわりない。
夏子の目前で吸血鬼が消えたのだから……。
悲しかったろう。
21
隼人はルノーをスタートさせた。
背後で爆発音がした。
後からきたので仲間のバイクから離れて止めてあった高野のハーレーが火を吹いた。
夏子が神父からもらったダイナマイトを投げつけたのだ。
悲しみを断ち切るような行為だ。
爆発は連続して起きる。バイクがつぎつぎと爆炎をあげる。
燃え上がる。
玲菜もケントとその仲間は動けない。動かない。
高野の死を悼んでいる。
吸血鬼/浜辺の少女 55 (小説)
隼人は高野の胸に魔倒丸を突き刺した。
心臓を刺しつらぬいた。
なんのためらいもなかった。
高野は鬼島が消滅したのに、まだ人間にもどっていなかった。
高野は人間の血を吸った。吸血鬼になっていた。
吸血鬼としてこれから生きるよりも、死んだほうがいい。
首を切り離した。
族の仲間はこの展開に仰天している。
ケントが高野にしがみついて泣いている。
ケントはなにもしらない。RFにもなっていない。
なにもわからないままキャップの死を嘆いている。
殺すも慈悲。という感情に隼人は目覚めた。
殺すも慈悲。おれは残酷な感情に支配されたわけではない。
殺すも慈悲。悪に対して冷酷になれただけだ。
敵は倒す。敵は排除する。敵は消去する。敵は殺す。
敵はなんの容赦もなく殺戮する。
敵であればちゅうちょなく斬る。
隼人の剣に、非情さが備わった。
「逃げましょう。さらにことを荒立てるとはありません」
夏子が悲しそうにいう。
「今日は、逃げてばかりいる」
隼人はまだ戦いたい。
不満をもらす。夏子が隼人の手をとって飛ぶ。
族の連中には夏子の飛翔に能力はわからない。
なにが起きたのかわからない。
高野がジュワッと消えていく。
泡立ちながら霧散した。
玲菜とケントがムンクの叫びの表情になる。
溶けていく高野の遺骸を見ている。
なにか、現実をはるかに超えたことが起きた。
彼らの理解を上回っていることが起きた。
しかしこれで妖霧を断てば、かれらは吸血鬼の呪縛からときはなたれる。
まだ人の血を吸っていないものは元にもどれる。
夏子を悲しませてしまった。
鬼島と高野。たとえRFでも吸血鬼にはかわりない。
夏子の目前で吸血鬼が消えたのだから……。
悲しかったろう。
21
隼人はルノーをスタートさせた。
背後で爆発音がした。
後からきたので仲間のバイクから離れて止めてあった高野のハーレーが火を吹いた。
夏子が神父からもらったダイナマイトを投げつけたのだ。
悲しみを断ち切るような行為だ。
爆発は連続して起きる。バイクがつぎつぎと爆炎をあげる。
燃え上がる。
玲菜もケントとその仲間は動けない。動かない。
高野の死を悼んでいる。
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