田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

「空から火事が降ってくるんだから、どうしょうも、なかんべな」麻屋与志夫

2021-07-12 06:56:40 | ブログ
7月12日 月曜日
「空から火事が降ってくるんだから、どうしょうも、なかんべな」
大東亜戦争も日本の敗戦で終わろうとしていたこの日、昭和20年7月12日。
わたしの故郷、鹿沼が空襲にあいました。
B29の爆音が夜空に不気味にひびいている。
と思う間に、空に花火が上がりました。
夜空が真っ赤になりました。
花火など上がるわけがありません。
小学6年生のわたしはそのときはじめて、焼夷弾の落ちてくるのを目撃しました。
家族が一本のロープを握り、迷子にならないようにしていました。
ひとびとの中をかきわけるようにして千手山の森に避難しました。
森の暗闇でかがみこみ、ふあんにおののいていました。

このとき、わたしは森の奥に、白い馬がたたずんでいるのを見ました。
馬なぞ森にいるはずがありません。
白い着物を着た人でもいたのでしょう。
でもわたしには白い馬にみえました。

「空から火事が降ってくるんだから、どうしょうも、なかんべな」

わたしたちのかたわらで老人がつぶやきました。

法蔵寺に疎開してきていた、牛込区の津久戸小学校のみんなは無事に非難したろうか。
わたしはそんなことを考えていました。
柳家金五郎さんの子供さんがその中にはいました。
のちに、ロカビリー歌手として活躍した山下敬二郎くんです。
いろいろなことを思いだす今日ですが、共に語り合える友達はもう一人もいません。

ここまで書いて念のために検索しました。
敬二郎さんは年譜では1939年となっています。
わたしは1933年生まれです。
これでは年齢は合いません。
わたしが耄碌して、記憶があいまいになっているのでしょうかね。

でも、子どもがお世話になっているからと金五郎師匠が慰問にきてくれました。
初めて聞いた「平林かヒラリンカ、イチハチジュウのモックモック」
の落語はいまでも覚えています。



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