田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

吸血鬼の故郷

2008-10-25 07:10:59 | Weblog
店の裏側、外の闇とちがい店内は明るかった。
冷気はここまではとどいていない。
むしろ暖房が効き過ぎて暑い。
店の内部は閉店間際の11時近いというのに混雑していた。
売れ残った50%引きの魚介類をあわただしく買った。

店のなかを正面へむかって抜けた。
表側の駐輪場に自転車は一台もなかった。

魚の臭いがしても猫は出てこない。
みんな殺されてしまったのか。
不安になった。
と……ごろごろ喉をならす音がした。
植え込みから一匹出てきた。
孕み猫だった。
お腹をコンクリートにこすりつけるほどたれさがっていた。
そのために、男を攻める群れには参加しなかったのだ。
それで命拾いをしたのだろう。
わたしは臨月まぢかの猫を抱えあげた。
いまにもアイツが裏側の駐車場から、この表の街灯のこうこうと輝く広がりのなかにかけこんでくるかもしれない。         
猫は重かった。
だきかかえられてお腹がくるしいはずだ。
いやがらなかった。
車の後部座席にのせた。
本田の部屋からつれてきた黒猫がよってきて孕み猫と鼻面をあわせて挨拶をしている。 
駐車場にはまだかなりの車が止めてあった。
あの暗闇でおきていたことがウソみたいな明るさだった。
手をひかなければならないような子供づれの家族さえいた。
車をスタートさせるとすぐに二匹の猫がわたしのそばによってきた。
安心したのか、ハッポウスチロールの皿から刺身をたべだした。
雌猫のほうが飢えていた。
おなかの子猫のぶんも栄養をつけているような食べっぷりだった。

「おとうさん、みつからないのよ。街の入り口がわからない」

「いまそっちへむかっている。このまま祥代と合流して東京へもどろう」 
ところがこんどはわたしが街から出られない。
街からインターへ出る道がわからないのだ。
なるほどカーナビにも映らない。

街が地図から消えてしまった。



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