田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

吸われた/吸血鬼ハンター美少女彩音 麻屋与志夫

2008-07-24 18:24:19 | Weblog
29

 孝子は悲鳴をあげた。
 お酒を飲み過ぎている。
 こんなに、遅くなるつもりではなかった。
 久し振りで会った友だちとつい飲みすぎた。
 口のなかがねばい。
 カラオケパブからの帰りだった。
 白い腕がのびてきた。
 街灯のなかに男の姿がうかびあがった。
 夜が暗く重い。
 今夜も春の雪になるかもしれないと思った。
「孝子ちゃんはもう雪はみられないの。うふ、うふふふ」
 男が不気味に笑った。
 口元が赤く爛れているようにみえる。
 男から冷気がふきだしている。
 体が凍えてしまいそだ。
 そして、孝子は気づいた。
 これは寒さなんかてはない。
 わたしは恐怖で動けなくなっているのだ。
 冷や汗が背中をながれている。
 がくがくとふるえていた。
 ああ、もうだめだ。
 わたし恐怖で発狂しちゃう。
 ケタケタ笑っているのは孝子じしんの声だった。
 顎がガクガク鳴っている。

「どうして夜遊びするの。夜歩き回るこは、わるいこなんだよ」
 ゲーセンからとびたしたところで篠子はよびためられた。
 少年課の婦警? 
「ぶー、はずれ」
 毒々しい青。
 鮫肌。
 もりあがっている。
 鱗みたい。
 口元が赤い。
 まるでいまあそんでいた吸血鬼ゲームみたい。
 血を吸ったみたい。赤い。
「ピンポン。こんどはアッタリー。篠子ちゃん血も吸わせてぇ」
 篠子は逃げる。
 夜の街を恐怖におののきながら逃げる。
 こんなことなら、母のいいつけを守ってひとりで留守していればよかった。
 後悔先に立たず。
 だれもいない。だれもたすけてくれるひとはいな。
 無人の街。まるで、セガのゲームの世界。
THE HOUSE OF THE DEAD の世界に迷い込んだみたい。
 でも、これは現実だ。
 こんなに息ぎれがする。
 動悸が激しすぎる。
 どうしたら、アイツを消去できるの。
 消去、できるの? 
 わたしは、わるいこ。
 わるいこだった。
 おかあさん、助けてぇ。
 これからはいいこになります。
 でももうおそい。
 ズルッとわたしの血が吸われている。

     ブログランキングに参加しています。
     バナーのクリックお願いします。
        ↓
      にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
       応援ありがとうございます。









最新の画像もっと見る

コメントを投稿