田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

影がない/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-01-24 10:49:49 | Weblog
「キヨミ……」

かたわらにいるキヨミにだけきこえるように。

声をひくめた。

いや理沙子は恐れている。

「みて……アイツラには影がない」

さきほどまで影がぶれていた肥満男。

サターンの頭も。

影か消えてしまった。

「つうことは。こいつらアレ」

「理沙子。撤去だ」

タイミングよく舗道から、翔太の声がふってきた。

2

「そういわれても、すぐには信じられないよ」

駅の東。

宇都宮餃子会館にそろってはいった。

一段高くなった隅の席で理沙子がひそひそと。

一別以来の話をしながら。

キヨミの敵について解説している。

「理沙子は秀才だからさ。

操の生徒と宇女商のアタイではつりあわないと。

引いたんだよ」

「そんなのおかしいよ。

いままでだって、これからだってわたしたちチームだよ」

「うれしいよ。それでさぁ」

まだキヨミは旧交をあたためたかったらしい。


理沙子は吸血鬼のはなしにはいろうとした。

翔太が車から段ボールの箱をはこんできた。

「なんですかこれ。ボス」

「ボスじゃない。パートナーなの」

翔太がはこんできたのはVampire Hunter Kit だった。

さきほど理沙子が危ういところで投げたプチプチシートもある。

「ゲーム感覚だね」

「みなさんがあの連中と戦うとこ、みせてもらった。

半覚醒しているとみた。

またおそわれたときに必要となるから。

それにこれは覚醒者しかもたないシルバーリング。

使いかたは理沙子にきくといい。

ここの勘定はすませてあるから。

たべほうだいでいいよ」

「ねね。理沙子のあたらしい彼?」

3

餃子の匂いをたてて店をでた。

深夜だ。

ひさしぶりであったキヨミと理沙子は油断していた。

この時間こそ。

吸血鬼のいちばんあばれやすいことを――。






one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿