田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

野良猫のいなくなった街 麻屋与志夫

2023-07-08 05:31:53 | 
23 熟成そして腐乱

熟成してしまった言葉は
おう みごとに腐臭を放っている
街のひとたちは清潔な白マスク
詩人はせめてもの抵抗として
マスクを拒否して街を歩く

腐臭を放つ言葉は
あちこちの街角で
放射状に拡散する

寄生する生き物を求めて
そのまま立ちつくす街角
おう 腐臭を
猫の嗅覚ですくいあげろ

波立つ車の背を飛び越えて
街角に立ちつくす詩人の言葉に
耳をかたむけろ
あなたたちが死滅させた
これは猫族の恨みの腐臭なのだ

十数年前。まだヨーカ堂があったころ。駐車場の脇の広場には街ネコがたくさんいました。おなかにボーガンの矢。片足を切られた。尻尾の先がない。そうした猫虐待の被害にあった猫がたくさんいました。行政書士をしていた本田さんがこっそりひとめにふれないようにして餌をあたえていました。いまは旧市内では街ネコをほとんど見なくなりました。めずらしく、ブチネコがときおりわが家の裏のデッキに現れて餌をたべています。慣れれば、かってあげるのに。よほどいじめられたのでしょう、家内の姿を見ただけで逃げてしまいます。やはり街ねこを排除するのはいいことなのでしょうか。こうした野良猫をまれにみかけます。心が痛みます。



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