金属の扉をあける。
そこは黄色の壁、黄色の床、黄色の天井。
黄色い部屋だった。
(なんだここは)
家具は1ドアの冷蔵庫らしきもの。
その上に電子レンジがのっている。
白い部屋から黄色い部屋におそるおそるすすむ。
ドアは向こうの壁のど真ん中に1個。
手を出してドアノブを回す。
ガチャ
施錠された手応えが返ってくる。
(また鍵を探せってのか)
窓は無い。
周囲を見回す。
大きな、平たく丸い照明が一つ天井で光っている。
手がかりは無い。
仕方なく冷蔵庫をあける。
そこにはラップがかかったカレーライスがぽつねんとあった。
黄色いメモが張り付けてある。
メモをはがして見ると、そこには「温める、食べるしかない。」と書かれてある。
(たしかに空腹だ。しかしこれを食べるのか。電子レンジもご丁寧に置いてある。どんな目にあわされるのか分からない恐怖はある)
食べるかどうか決めかねる。
冷蔵庫のドアを開けたまま考えた。
庫内はもう一つドアがある事に気づいた。
冷凍庫だ。
開けるとティーカップ大のカップに入った氷。
それだけ。
(カレー、食べようかどうしようか…決めかねる。しかし、現状このままではラチがあかないのも事実だ。)
カレーライスの皿を冷蔵庫から出した。
ラップを一部はがし、スプーンをつまみだす。
電子レンジの扉をあけ、中に入れる。
「温め」スイッチを押す。
ゴーという音と共にライトに照らされたカレーはゆっくりと回転しだす。
スプーンを握りしめたまま待つ。
チーン
こちらの気持ちとは関係なく、拍子抜けする陽気なベルの音色が響く。
電子レンジを開けるとおいしそうなカレーの匂いがこぼれでる。
テーブルが無いので皿の縁を持って慎重にラップを剥がす。
剥がしたラップを電子レンジの上の置く。
スプーンで一口分すくう。
えいっと気合いを入れて食べる。
ん…んん…
うまい。
高速のサービスエリアで食するあの味だ。
なんだか懐かしい。
一気に食べる。
おっと、思わず食べたが大丈夫だろうか…
しばらく様子をみる。
どうやら体調の変化はないらしい。
よかった。
なぜ、カレーを食べさせたのか。
電子レンジと何か関係があるのか。
残るヒントは氷。
器を冷凍庫から取り出し、電子レンジに入れ、解氷ボタンを押した。
何度もボタンを押す。
そのうちに氷が溶けだした。
器の底に光る物を見つけた。
鍵だ。
取り出して観察する。
半透明のアクリルで出来ている。
見えないはずだ。
鍵を差し込み、ひねる。
ガチャ。
開いた。
ドアを引く。
次の部屋に両足で立ったとたん、体が宙にういた。
えっ、えっ
この瞬間にすべてを思い出した。
「なんだよ、あのカレー。あれ一緒に行ったサービスエリアのお土産だろう。どうしてここにあるんだよ」
同じく浮かんでいる同僚に声をかける。
「ああ、わかったかい。あれは俺が地球から、この為だけに持ち込んだ隠し玉だ。で、今回はどうだった?」
「ああ、おもしろかったよ」
ここは有人木星探査機ホマレ5号の中。
往復7年の時間がかかる。
コールドスリープの技術はまだ確立されていない。
7年の時間をかけて往復するしか方法は無い。
退屈を緩和するため導入されたテクノロジーは3つ。
一時的に記憶を消す手錠型端末。
壁、床、天井は自由にテクスチャーをプロジェクターより投影できる。
そして重力発生装置。
この3つを駆使してお互い脱出ゲームに興じているのだ。
同じネタでもよさそうなものだが、二人は頭を絞りながら一路、地球に向かっている。
そこは黄色の壁、黄色の床、黄色の天井。
黄色い部屋だった。
(なんだここは)
家具は1ドアの冷蔵庫らしきもの。
その上に電子レンジがのっている。
白い部屋から黄色い部屋におそるおそるすすむ。
ドアは向こうの壁のど真ん中に1個。
手を出してドアノブを回す。
ガチャ
施錠された手応えが返ってくる。
(また鍵を探せってのか)
窓は無い。
周囲を見回す。
大きな、平たく丸い照明が一つ天井で光っている。
手がかりは無い。
仕方なく冷蔵庫をあける。
そこにはラップがかかったカレーライスがぽつねんとあった。
黄色いメモが張り付けてある。
メモをはがして見ると、そこには「温める、食べるしかない。」と書かれてある。
(たしかに空腹だ。しかしこれを食べるのか。電子レンジもご丁寧に置いてある。どんな目にあわされるのか分からない恐怖はある)
食べるかどうか決めかねる。
冷蔵庫のドアを開けたまま考えた。
庫内はもう一つドアがある事に気づいた。
冷凍庫だ。
開けるとティーカップ大のカップに入った氷。
それだけ。
(カレー、食べようかどうしようか…決めかねる。しかし、現状このままではラチがあかないのも事実だ。)
カレーライスの皿を冷蔵庫から出した。
ラップを一部はがし、スプーンをつまみだす。
電子レンジの扉をあけ、中に入れる。
「温め」スイッチを押す。
ゴーという音と共にライトに照らされたカレーはゆっくりと回転しだす。
スプーンを握りしめたまま待つ。
チーン
こちらの気持ちとは関係なく、拍子抜けする陽気なベルの音色が響く。
電子レンジを開けるとおいしそうなカレーの匂いがこぼれでる。
テーブルが無いので皿の縁を持って慎重にラップを剥がす。
剥がしたラップを電子レンジの上の置く。
スプーンで一口分すくう。
えいっと気合いを入れて食べる。
ん…んん…
うまい。
高速のサービスエリアで食するあの味だ。
なんだか懐かしい。
一気に食べる。
おっと、思わず食べたが大丈夫だろうか…
しばらく様子をみる。
どうやら体調の変化はないらしい。
よかった。
なぜ、カレーを食べさせたのか。
電子レンジと何か関係があるのか。
残るヒントは氷。
器を冷凍庫から取り出し、電子レンジに入れ、解氷ボタンを押した。
何度もボタンを押す。
そのうちに氷が溶けだした。
器の底に光る物を見つけた。
鍵だ。
取り出して観察する。
半透明のアクリルで出来ている。
見えないはずだ。
鍵を差し込み、ひねる。
ガチャ。
開いた。
ドアを引く。
次の部屋に両足で立ったとたん、体が宙にういた。
えっ、えっ
この瞬間にすべてを思い出した。
「なんだよ、あのカレー。あれ一緒に行ったサービスエリアのお土産だろう。どうしてここにあるんだよ」
同じく浮かんでいる同僚に声をかける。
「ああ、わかったかい。あれは俺が地球から、この為だけに持ち込んだ隠し玉だ。で、今回はどうだった?」
「ああ、おもしろかったよ」
ここは有人木星探査機ホマレ5号の中。
往復7年の時間がかかる。
コールドスリープの技術はまだ確立されていない。
7年の時間をかけて往復するしか方法は無い。
退屈を緩和するため導入されたテクノロジーは3つ。
一時的に記憶を消す手錠型端末。
壁、床、天井は自由にテクスチャーをプロジェクターより投影できる。
そして重力発生装置。
この3つを駆使してお互い脱出ゲームに興じているのだ。
同じネタでもよさそうなものだが、二人は頭を絞りながら一路、地球に向かっている。