日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎本日の空想劇場「ポイント」

2014年10月05日 | ◎これまでの「OM君」
今日もいいことをした。
電車で席をお年寄りに譲った。
+1ポイント。
ハンカチを落とした子供にハンカチを拾って手渡した。
+1ポイント。
落ちていたゴミをゴミ箱に入れた。
+1ポイント。
電車の車中で携帯を声高に話している上下ジャージのダミ声おやじがいた。そばに近づき電波ジャマー携帯を圏外にした。
+1ポイント。
歩きながらスマホをいじっているサラリーマンに正面からぶつかり説教をした。
+2ポイント。
夕刻、唾や痰を吐きまくっているチンピラの後をつけた。
人気の無い住宅地の裏道で背後から後頭部を特殊警棒で殴りつけた。
+10ポイント。

慈善ポイントは自己申告により国家本部で集計される。
生まれたときにはこのポイントは世の中に存在していた。
初めてのポイントは幼稚園の年少組だった。
おやつのせんべいを友達にあげた。
先生はそのことを母親に報告した。
母にすごくほめられた事を覚えている。
いいことをするとはポイントが貯まる。
ポイントはいいこと。
そう刷り込まれた。

庶民と呼ばれる人々の価値観はおおむねポイントに支配されている。
やっきになってポイントを貯めている。
問題は良いことの価値観は主観によって決められていることだ。
現に俺は正しいと信じてさっきチンピラをのした。
俺は正しいのか?
いや正しいに決まっている。

ピンポーン。
玄関の呼び鈴が鳴らされた。
誰だ。
「お荷物が届いています」
インターホンを確認すると、荷物を小脇に抱えたドライバーが立っている。
(はいはい…)
独り言を良いながらドアを開けた。
荷物をひょいと渡された。
両手を出して受け取る。
直後、ドライバーの背後からもう一人の男が出てきてゴルフクラブが光った。
脳天をかち割られる。
ドサリと崩れ落ちる。

2人の男は言った。
「こいつは40ポイントだな」
コメント
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