むかしむかしあるところに最強の矛があった。
最強であることを矛自体が望んでいた。
そのため持ち主は次々と変わっていった。
あるものは戦いに敗れ、あるものは老いに負けた。
現在の持ち主はミスターホーコー。
ホーコーは生まれついての武人であり、鍛錬も怠らなかった。
手元に矛を永遠に置いておきたかった。
ホーコーは考えた。
どうすれば矛は俺の手元にあり続けるのか。
来る日も来る日も考えた。
ある時気づいた。
それはトイレで用を足しているとき。
電流がはしった。
古来、矛盾という言い伝えがある。
最強の矛と最強の盾。
論理の整合性はとれない。
「そうか!」
ホーコーは感じた。
そして最強の矛を城の際深部に位置する道場に飾り、戦うことをやめた。
それからすぐに戦乱の世は終わった。
ホーコーの望み通り、矛は死ぬまでホーコーの手元にあった。
ホーコーの死後、最強の矛は門下生最強の男の手元に渡った。
そこに最強の盾をもった男が現れた。
その男は武人と言うより研究者のように見えた。
手合わせを望んだ。
ホーコーの弟子は言った。
「あなた死ぬかもしれませんよ。よろしいのですか?」
「いいえ死にません。そしてあなたも死にません。ただ私の発明した盾が最強であることを証明したいのです。」
勝負が始まった。
かまえる矛。
迎える盾は畳半畳ほどの平らな板状をしていた。
盾を構える男は隙だらけだ。
どこからでも致命傷を与えられるようにホーコーの弟子は感じた。
勝負は勝負だが、手足の一本で勘弁してやる。命までは取るまい。
そう決心し、一撃をはなった。
盾は半畳が一畳、一畳が二畳と広がり、六畳となった。
六枚の盾が男を囲む立方体となった。
ガツン
重い音。
矛の刃先だけが盾を貫通した。
しかし、それ以上刃が進まない。
ぐっ
驚愕の息をもらし、矛を抜く。
穴はじんわりとふさがり、キューブがそこにただ、あった。
あとは同じ攻防の繰り返しだった。
刺そうが突こうが中の男まで刃が到達しない。
盾は傷つくが自己修復する。
ホーコーの弟子は、徒労感に襲われた。
そしてホーコーの弟子の弟子達にキューブを城外まで担ぎ出させた。
そしてホーコーの弟子もまた、戦うことをやめた。
最強であることを矛自体が望んでいた。
そのため持ち主は次々と変わっていった。
あるものは戦いに敗れ、あるものは老いに負けた。
現在の持ち主はミスターホーコー。
ホーコーは生まれついての武人であり、鍛錬も怠らなかった。
手元に矛を永遠に置いておきたかった。
ホーコーは考えた。
どうすれば矛は俺の手元にあり続けるのか。
来る日も来る日も考えた。
ある時気づいた。
それはトイレで用を足しているとき。
電流がはしった。
古来、矛盾という言い伝えがある。
最強の矛と最強の盾。
論理の整合性はとれない。
「そうか!」
ホーコーは感じた。
そして最強の矛を城の際深部に位置する道場に飾り、戦うことをやめた。
それからすぐに戦乱の世は終わった。
ホーコーの望み通り、矛は死ぬまでホーコーの手元にあった。
ホーコーの死後、最強の矛は門下生最強の男の手元に渡った。
そこに最強の盾をもった男が現れた。
その男は武人と言うより研究者のように見えた。
手合わせを望んだ。
ホーコーの弟子は言った。
「あなた死ぬかもしれませんよ。よろしいのですか?」
「いいえ死にません。そしてあなたも死にません。ただ私の発明した盾が最強であることを証明したいのです。」
勝負が始まった。
かまえる矛。
迎える盾は畳半畳ほどの平らな板状をしていた。
盾を構える男は隙だらけだ。
どこからでも致命傷を与えられるようにホーコーの弟子は感じた。
勝負は勝負だが、手足の一本で勘弁してやる。命までは取るまい。
そう決心し、一撃をはなった。
盾は半畳が一畳、一畳が二畳と広がり、六畳となった。
六枚の盾が男を囲む立方体となった。
ガツン
重い音。
矛の刃先だけが盾を貫通した。
しかし、それ以上刃が進まない。
ぐっ
驚愕の息をもらし、矛を抜く。
穴はじんわりとふさがり、キューブがそこにただ、あった。
あとは同じ攻防の繰り返しだった。
刺そうが突こうが中の男まで刃が到達しない。
盾は傷つくが自己修復する。
ホーコーの弟子は、徒労感に襲われた。
そしてホーコーの弟子の弟子達にキューブを城外まで担ぎ出させた。
そしてホーコーの弟子もまた、戦うことをやめた。