「いらっしゃいませ」
「白くて長くてくるくるっとしたものください」
「白くて長くてくるくるっとしたものですね。かしこまりましたー。オーダー入りまーす。W・L・R(ホワイト・ロング・ロール)ワーン」
「サンキュー」
「いらっしゃいませ」
「透明でぬめっとしていて、それでいて金属質なものホットでください」
「かしこまりましたー。C・W・M・H(クリヤー・ウエット・メタル・ホット)ワーン」
「サンキュー」
そのやりとりを眺める老夫婦がいた。
「ばあさんや。あの若者たちはいったい何を買っとるのかのう」
「じいさんや。あれはのう、ミントのガムとかフリスクとかあるじゃろう。あれじゃあ~」
「ばあさん何を言ってるのかワシにはよくわからんぞう」
「だから、客はサウナ部屋みたいな小さな箱に入るんじゃ。オーダーした感じを機械が表現するんじゃあ。箱の中がその感じに満たされて客がすっきりするんじゃと」
「へえ、そうかい。じゃあ、わしもちょっくらやってみるかいの」
「じいさま本気かい?」
「ああ、本気じゃよ」
「ごめん」
「いらっしゃいませ~本日はどのような感じにいたしましょうか」
「そうじゃな、ワシが生まれた、誕生直後の気分をおねがいしようかの」
「かしこまりましたー。B・A・Tワンー」
「出来るのか」
「はい扉を開けておすすみください」
廊下にはたくさんの扉が並んでいた。
赤いライトが点滅している扉がある。
どうやらそこに行けばいいらしい。
イスが一脚置かれた無機質な小部屋。
イスに座ると電気が消え真っ暗になった。
この匂いは香取線香、シナモン、実母散。
実家は薬問屋をやっていた。
懐かしい。
ワシは産婆さんに取り上げてもらったんじゃあ。
母の顔があった。
「じいさま。どうじゃった?」
「すごいなテクノロジーの進歩は」
「じゃあ、私もやってみようかいの」
「ばあさまもやるか」
「やる」
「何て言うんじゃあ」
「秘密じゃあ」
「いらっしゃいませー」
「あの、あの、初恋の気持ちでお願いしたいんじゃが」
「かしこまりましたー。F・Lワーン」
ばあさまもイスに座ると部屋は真っ暗になった。
ばあさまの目の前には若い頃のじいさまが見えた。
「白くて長くてくるくるっとしたものください」
「白くて長くてくるくるっとしたものですね。かしこまりましたー。オーダー入りまーす。W・L・R(ホワイト・ロング・ロール)ワーン」
「サンキュー」
「いらっしゃいませ」
「透明でぬめっとしていて、それでいて金属質なものホットでください」
「かしこまりましたー。C・W・M・H(クリヤー・ウエット・メタル・ホット)ワーン」
「サンキュー」
そのやりとりを眺める老夫婦がいた。
「ばあさんや。あの若者たちはいったい何を買っとるのかのう」
「じいさんや。あれはのう、ミントのガムとかフリスクとかあるじゃろう。あれじゃあ~」
「ばあさん何を言ってるのかワシにはよくわからんぞう」
「だから、客はサウナ部屋みたいな小さな箱に入るんじゃ。オーダーした感じを機械が表現するんじゃあ。箱の中がその感じに満たされて客がすっきりするんじゃと」
「へえ、そうかい。じゃあ、わしもちょっくらやってみるかいの」
「じいさま本気かい?」
「ああ、本気じゃよ」
「ごめん」
「いらっしゃいませ~本日はどのような感じにいたしましょうか」
「そうじゃな、ワシが生まれた、誕生直後の気分をおねがいしようかの」
「かしこまりましたー。B・A・Tワンー」
「出来るのか」
「はい扉を開けておすすみください」
廊下にはたくさんの扉が並んでいた。
赤いライトが点滅している扉がある。
どうやらそこに行けばいいらしい。
イスが一脚置かれた無機質な小部屋。
イスに座ると電気が消え真っ暗になった。
この匂いは香取線香、シナモン、実母散。
実家は薬問屋をやっていた。
懐かしい。
ワシは産婆さんに取り上げてもらったんじゃあ。
母の顔があった。
「じいさま。どうじゃった?」
「すごいなテクノロジーの進歩は」
「じゃあ、私もやってみようかいの」
「ばあさまもやるか」
「やる」
「何て言うんじゃあ」
「秘密じゃあ」
「いらっしゃいませー」
「あの、あの、初恋の気持ちでお願いしたいんじゃが」
「かしこまりましたー。F・Lワーン」
ばあさまもイスに座ると部屋は真っ暗になった。
ばあさまの目の前には若い頃のじいさまが見えた。