日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎「おにみみコーラ・青汁スペシャル」にまつわる想像小話を公開中!

2020年10月24日 | ◎これまでの「OM君」
「おにみみコーラ・青汁スペシャル」にまつわる想像小話を公開中!
チェケラ!
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◎本日の想像小話「カンヅメ」

2020年10月24日 | ◎本日の想像話
 私は体の痛みで目がさめた。
 どうやらイスに座ったまま眠ってしまったらしい。
 ここはどこだ。
 私は見覚えの無い、室内を見回した。
 調度品は、私が今、手をおいているテーブルだけだ。
 重厚な一枚ものの天板のひんやりした感覚が感じられる。
 どれくらい眠ったのだろうか、私は自身の記憶をたぐった。 
 私は誰だ。
 自身が何者で、いつどうやってここにきたのかが分からない。
 しかし、私はこの状況に対して、いたって冷静だった。
 不安や、あせりを感じないのが不思議だった。
 立ち上がって、室内を見回す。
 窓はない。
 ドアには鍵がかかっていて、たたいても、声をかけても反応はなかった。
 いささか疲れた私は、イスに座って、机の引き出しをあける。
 紙と筆記用具があった。
 暇つぶしに、なにか書いてみようか。
 私は、スイッチが入れ替わるような感覚におそわれる。
 筆がおもしろいようにすすむ。
 登場人物は、意志があるかのように自由に動き回った。
 何時間経ったのだろうか。
 最後の一文字を書き終えた。
 疲労感よりも、達成感が勝っている。
 私は、筆をおいた。
 次の瞬間、状況のすべてが理解できた。
 現在の日時は、2155年10月。
 私の職業は小説家。
 締め切り間近の編集社の申し出により、この施設に缶詰となった。
 ここは「未来カンヅメ」
 まっさらな状況に作者を追い込むテクノロジー。
 記憶を一時的に消し去り、ノルマを達成すると、帰れますよと説明を受けた。
 もう一本ここで書いてもいいのかなと思う自分がいた。

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