◎タクシードライバー中島（１５）（約２００文字づつすすむストーリー）

「忙しい？」
　スキンヘッドの横田の外見は、一見強面だが、人なつこい声で中島に聞いてきた。
「今夜はさんざんな目にあってます」
　中島は車を走らせながら遠い目をした。
「どんな目にあったの？」
　横田は前のめりになる。
「興味ありますか」
「あるね」
　中島は芸能人はやっぱり変わっているなと思いながら、どこまで話そうかと考えていた。
　ふいに横田が口をはさんだ。
「ところであんた、新宿にあるバーの店主めぐみって女を知っているか」
「新宿のバーのめぐみ。知ってますよ。よく行きます」
　中島は横田の問いかけに答えることができて、うれしくなった。
「やはりな……」
「やはり？」
　中島はとたんにいやな予感がよぎる。