画面を見つめている。
深夜ゲームをやっている訳だが、ただのゲームではなかった。
20年前、オンラインRPGゲームの先駆けといわれたゲーム。
それをやっている。
当時、ゲーム内の通貨が、現実世界の通貨と同等の価値があり、レアアイテムなどが盛んに売買され、社会問題となった。
しかし、それも過去の話だ。
始まりの村。
まあ、案の定だれもいない。
仕方ない。
ある程度キャンペーンモードを進めて、様子をうかがうとする。
俺は、仕事でこのゲームに取り組んでいる。
記事にするのだ。
このゲームは変わっていて、3Dダンジョンなのにオンライン上の見知らぬプレイヤーとパーティを組むことが出来るのだ。
その時、ダンジョン内の移動はリーダーにまかされる。
チャットをもちいて相談しながら探索を行うことになる。
デフォルトのNPCと一緒にレベルを上げその日は朝を迎えた。
結局、他のプレイヤーには誰も会わなかった。
次の日の深夜。
操作を誤って真後ろにその場でターンした。
うっ
声が漏れた。
いた。
他のプレイヤーのシンボルキャラクターが真後ろにいた。
ゴールドの王冠を被った王子。
ひっそりと後ろを付けていたらしい。
これはインタビューしなければ。
一歩近づいた途端、相手も進んできた。
ファーストコンタクト、秒殺。
問答無用の一撃でこちらは全滅した。
4人のパーティは1人のプレイヤーキラーに負けた。
くそう。
くやしい。
発売から20年以上経過するゲームの現役プレイヤー。
さすが偏屈だ。
おもしろい。
こうなったら仕事は早々に入稿して、なんとしてもこいつを倒したくなった。
あれから1年。
キャンペーンは早々にクリアした。
さらに強い防具と武器を求めて、ダンジョンにもぐる日々だ。
あいつとはその後再会していない。
どこにいるゴールドクラウンの王子……。
絶対に探す。
真後ろを振り返った。
いた!
指先に力が入る。
先制攻撃をしのいだ。
いける。
相手との力は拮抗している。
先日手に入れたムラサメソードがうなる。
会心の一撃。
運は今夜、俺に味方している。
いける。
チャットで話しかける。
「私は1年前あなたにやられたものです。今夜あなたをたおします」
そうメッセージを送った。
「……」
無言。
30分の死闘。
倒した。
キャンペーンをクリアしたときよりも何倍もうれしかった。
その時、メッセージが送られてきた。
それは文章ではなく、住所だった。
次の日、ライターの性分でその住所にあるアパートをたずねた。
木造のアパート。
木の薄っぺらいドアをノックする。
応答はない。
ドアノブを回してみる。
ガチャリ。
ドアが開いた。
「ごめんください」
おそるおそる、首を室内につっこむ。
かび臭いにおいが鼻をつく。
板間の台所。
奥には木の格子にガラスが張られた引き戸のドアがある。
ガラスなので中の様子が何となく分かる。
モニターが付いている。
(誰かいる)
意を決して靴を脱ぎ、室内に入る。
もう一度声をかける。
「おじゃまします」
引き戸に手をかける。
そこには……
机から転げ落ちるような格好の白骨が転がっていた。
モニターにはあのゲームが走っている。
あのゴールドクラウンの王子は一体誰が操っていたのか。
答えは……
藪の中だ。
深夜ゲームをやっている訳だが、ただのゲームではなかった。
20年前、オンラインRPGゲームの先駆けといわれたゲーム。
それをやっている。
当時、ゲーム内の通貨が、現実世界の通貨と同等の価値があり、レアアイテムなどが盛んに売買され、社会問題となった。
しかし、それも過去の話だ。
始まりの村。
まあ、案の定だれもいない。
仕方ない。
ある程度キャンペーンモードを進めて、様子をうかがうとする。
俺は、仕事でこのゲームに取り組んでいる。
記事にするのだ。
このゲームは変わっていて、3Dダンジョンなのにオンライン上の見知らぬプレイヤーとパーティを組むことが出来るのだ。
その時、ダンジョン内の移動はリーダーにまかされる。
チャットをもちいて相談しながら探索を行うことになる。
デフォルトのNPCと一緒にレベルを上げその日は朝を迎えた。
結局、他のプレイヤーには誰も会わなかった。
次の日の深夜。
操作を誤って真後ろにその場でターンした。
うっ
声が漏れた。
いた。
他のプレイヤーのシンボルキャラクターが真後ろにいた。
ゴールドの王冠を被った王子。
ひっそりと後ろを付けていたらしい。
これはインタビューしなければ。
一歩近づいた途端、相手も進んできた。
ファーストコンタクト、秒殺。
問答無用の一撃でこちらは全滅した。
4人のパーティは1人のプレイヤーキラーに負けた。
くそう。
くやしい。
発売から20年以上経過するゲームの現役プレイヤー。
さすが偏屈だ。
おもしろい。
こうなったら仕事は早々に入稿して、なんとしてもこいつを倒したくなった。
あれから1年。
キャンペーンは早々にクリアした。
さらに強い防具と武器を求めて、ダンジョンにもぐる日々だ。
あいつとはその後再会していない。
どこにいるゴールドクラウンの王子……。
絶対に探す。
真後ろを振り返った。
いた!
指先に力が入る。
先制攻撃をしのいだ。
いける。
相手との力は拮抗している。
先日手に入れたムラサメソードがうなる。
会心の一撃。
運は今夜、俺に味方している。
いける。
チャットで話しかける。
「私は1年前あなたにやられたものです。今夜あなたをたおします」
そうメッセージを送った。
「……」
無言。
30分の死闘。
倒した。
キャンペーンをクリアしたときよりも何倍もうれしかった。
その時、メッセージが送られてきた。
それは文章ではなく、住所だった。
次の日、ライターの性分でその住所にあるアパートをたずねた。
木造のアパート。
木の薄っぺらいドアをノックする。
応答はない。
ドアノブを回してみる。
ガチャリ。
ドアが開いた。
「ごめんください」
おそるおそる、首を室内につっこむ。
かび臭いにおいが鼻をつく。
板間の台所。
奥には木の格子にガラスが張られた引き戸のドアがある。
ガラスなので中の様子が何となく分かる。
モニターが付いている。
(誰かいる)
意を決して靴を脱ぎ、室内に入る。
もう一度声をかける。
「おじゃまします」
引き戸に手をかける。
そこには……
机から転げ落ちるような格好の白骨が転がっていた。
モニターにはあのゲームが走っている。
あのゴールドクラウンの王子は一体誰が操っていたのか。
答えは……
藪の中だ。
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