西暦20xx年
市民が税金を納めない原因が無駄使いにあると判断した政府は、無駄使い禁止法ともいえる法律を次々と成立させた。
アルコール禁止法、タバコ禁止法に続き、甘いもの禁止法が施行された。表向きは政府の法案を受け入れた市民だったが、アンダーグラウンドでは酒、タバコ、甘物が法外な価格で取引された。市民は嗜好品に資産をますます削られる形になり、脳税率は下がる一方となった。
そんな時代の禁止法あるある
アルコールあるある
深夜、室内で酒を飲む。さみしさに我慢できなくなる。どうしても飲みながら喧噪の雑踏を歩きたくなる。いても立ってもいれなくなり街にくり出す。手に持つ飲み物が酒である事実を隠したい。
隠蔽あるある。
(1)茶色の紙袋にいれる。
(2)アルコールをジュースのペットボトルに移し変える。
(3)タピオカミルクティーを偽装する。ミルクティーの代わりにカルーアミルクを入れる。球状に研磨したビーフジャーキーを入れる。太いストローで両方を摂取できる。
タバコ禁止法あるある
(1)炭火焼き肉の屋外ダクトから吐き出される煙の中に紛れて吐き出すタバコの煙を消す。
(2)噛みタバコを愛用する。
甘いもの禁止法あるある
(1)紙製の茶封筒にいれてどらやき、今川焼き、鯛焼きを隠して食べる。
(2)饅頭の見た目を焼き鳥に偽装する。串に刺された饅頭を食べる。街ブラ食べ歩きを偽装する。シュークリームはパイ生地でふたをしたスープ風にしつらえてスプーンですくって食べる。
(3)自販機で販売されていたおしるこ缶ジュースをペットボトルに移し変えて飲む。
チケット売場にて
話し声が聞こえる様にぷつぷつと穴が開けられたガラスの向こうに駅員が座っている。
客「すいません。十八時発の地球発アンドロメダ行き寝台特急の乗車券と特急券をください。禁煙でおねがいします。
駅員「十八時発着のどこ行きですか?」
客「アンドロメダ星雲行きです」
駅員「アンドロメダ星雲に行く路線はありません」
客「じゃあどこなら行きますか」
駅員「どこって?西なら博多駅、東は東京駅が終着駅です」
客「アンドロメダはどちらが最寄り経由駅ですか」
駅員「どちらに行っても行けませんよ。ちなみにどうしてアンドロメダに行く用事があるのですか」
客「機械の体を手に入れるためです」
駅員「病気か何かで体が不調なのですか」
客「いいえ、いたって健康です」
駅員「そう。その設定は私も知ってますよ。現在のテクノロジーでは宇宙旅行はできません」
客「じゃあ、何年冬眠すれば行けますか」
駅員「冬眠のテクノロジーも現在では無いの知ってて言ってるでしょう」
客「はい」
駅員「じゃあどこまでの切符が必要なの」
客「青春十八切符ください」
初級英会話問答集を見ながら思う。
どういう状況?シリーズ
私のバックはどこにありますか?(知らんがな)
私のカギはバックの中にあります(教えたらあかんやつ)
それは鳥肉のようですね(生なのか、から揚げなのか。それとは一体なんなのか)
それはウサギの様な犬ですね(どんな犬?)
おしゃれカフェにて
店員「本日新発売、どこにも無いタピオカシリーズいかがでしょうか」
客「どこにもないタピオカシリーズ?」
店員「そうです。たとえばこちらはどうでしょう。ホットブラックコーヒータピオカ。もちろん熱々のところをぶっといストローでいただきます」
客「ブラックコーヒーとタピオカの組み合わせがちょっと無理っぽいかな。そしてストローで熱々は絶対無理ですわ」
店員「そうですか。では熱々タピオカミルクティーはどうです」
客「熱々はちょっと無理」
店員「ではこちらはどうでしょう。タピオカおにぎり。おにぎり大のタピオカ一粒です。かぶりついてタピオカを楽しめます。付け合わせであんこをご用意しますので、おはぎ感覚でいかがでしょうか」
客「それだったらシンプルおはぎの方がいいかな」
店員「そうですか。残念ですね。では色分けシリーズはいかがですか」
客「色分け?」
店員「そうです。七色で色分けされたレインボータピオカ」
客「七色のタピオカですか」
店員「もしくはダイエット効果を期待して食欲減退を狙うあざやかな青色タピオカ」
客「普通のミルクティーのタピオカドリンクいただいていいですか」
店員「サンキュー、タピオカワン」
電気屋にて
客「すいません。パソコンが欲しいんですけど」
店員「お客様のご希望はどのようなものですか」
客「ネットとメールとちょっとした動画編集ぐらいしか使わないですけど、強いて言うなら、できるだけ速い方がいいですかね」
店員「できるだけ速いほうが良いのですね。承知いたしました。私が個人的に開発した量子コンピューターはいかがですか。スーパーコンピューターを用いて数年かかる計算を二分でやってみせます」
客「すごいですけど、販売価格はいくらですか」
店員「プライスレスです。強いて言うと、二兆円ほどいただけたらお分けすることも可能です」
客「どえらい富豪でも、まあまあ無理な金額ですよ、それ」
店員「じゃあレンタルならどうですか。月三百円」
客「安!月三百円なら考えますよ。OSはマックがいいんですけど大丈夫ですか」
店員「OSなんて入ってませんよ。純粋に計算機能に特価した機械ですから。円周率をどこまでも計算したり、どえらい桁数の素数を計算したり。しかも一秒かかりません」
客「ネットとメールと動画編集は」
店員「出来ません。お客様はとにかく速い方がいいとおっしゃったので。ちなみに搬入する部屋の大きさは機械の冷却も考慮いたしまして三十畳程度の部屋が必要です。居住住宅の前にはクレーン車は横づけ出来ますか?搬入にはクレーンが必要です。電源は三相の動力を用意していただきます。稼働させますと電気代は月四十万くらいかかります」
客「富豪のみ搬入可能」
店員「とにかく速い方がいいとおっしゃったので。ネットとメールと動画編集なら現行の商品、しかも一番おやすいものでどうでしょうか。現代のパソコンはちょっと待てば大概の仕事は処理してくれますよ」
客「一回家に帰って冷静に考えます。スマホでも十分かな」
店員「それもまたよし」
細ノズルの先端に残っているマヨネーズ。
そのままフタを閉めるとベットリとはみだす。
いらっとします。
ここは心を静めて、空気を吸うように本体をふくらませる。
あら不思議。
先端にしぶとく残っていたマヨネーズが中に戻るのです。
毎朝布団をたたむ時、布団のうす掛けをうまくたためない問題に直面する。
縦でも横でもどちらでもいいのでまず二分の一にしたい。
ぐしゃっとしているうす掛けの、はしとはしを持つと三角になる事が多く、縦にも横にも畳めない。