日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎タクシードライバー中島(9)(約200文字づつすすむストーリー)

2022年03月03日 | ◎本日の想像話
 中島は玄関で根元までタバコを吸った。
 仕事に戻ろうと自室を出る。
 先ほどの騒ぎはおさまっていて、アパート全体が静まりかえっていた。
 まだ男が潜んでいるかもしれない。 そんな疑念から中島は辺りを警戒しながらアパートを出ると、タクシーの運転席に滑り込んだ。
 無意識にドアロックをかけた後、深いため息がもれた。
(コンコン)
 窓を叩く音が後ろから聞こえて中島は飛び上がる。
 音のする方を振り返ると、女が立っていた。
「いいですか?」
 セミロングの若い女だった。
「すいません」
 中島は慌ててドアロックを解除した後、後部ドアを開けた。 
 女は静かに座席に座った。 

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◎タクシードライバー中島(8)(約200文字づつすすむストーリー)

2022年03月02日 | ◎本日の想像話
 中島はあの男が玄関で何をしていたのか確認しに自室へともどる。
 ドアを叩かれた住人のふりをしながら階段を降りた。
 自室のドアには異常がないように思えたが、廊下とドアの下の隙間に茶封筒らしきものが見えた。
 中島はドアをあけてとりあえず部屋に入る。
 茶封筒の中には紙が一枚はいっていた。
「1ヶ月前、新宿で「よしこ」を乗せたな。よしこを池袋の男の所に送ったせいで、俺は別れる事になった。すべてはお前のせいだ」
 中島はタバコを取り出そうとポケットを探ったが、手が震えてうまく探せなかった。

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◎タクシードライバー中島(7)(約200文字づつすすむストーリー)

2022年03月01日 | ◎本日の想像話
 中島は走りながら、手当たり次第にドアを叩く。
 背後から迫り来る男の息づかいに、焦りを感じた。
 階段が見えてくる。
 中島は迷うこと無く、階段を駆け上がった。
 日頃の運動不足を呪いながら一階上の廊下をドアを叩きながら走り抜ける。
 住人の何人かがドアを開けた。
 追いかけてくる男の足が止まる。
 住人に何か声をかけられて、男はきびすを返して逃げていった。
 中島は男の後ろ姿を確認して、荒い息と共にその場に座り込んだ。
「いったいなんだっていうんだ」
 無性にタバコが吸いたいと中島は思った。


 建物の外から一部始終を観察するものがいたが、このものも立ち去った。

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