日曜日、孫のH君から電話が掛かってきました。
「ああ、Hくん、今東京に来てる。ちょっと顔だけ見に行ってもいい?」
コロナ禍の中で、老人に感染させることを懸念して、寄るべきか寄らざるべきかのお伺いです。先月お盆休みを利用しての上京の時も、さんざん迷った挙句、「やめるね」と決めたのをひっくり返して「やっぱり行くよ、15分ほど。せっかく東京に来ているのに、顔もみないで帰りたくないよ」とちらりとやってきたのでした。言葉には出さないけれど、やはり年寄り二人、どうしているか、見ないでは心配と思ってくれるよう。
「どうぞ。待ってるよ」
「熱ないし、マスクしっかり、短時間、食べない、飲まないにするから」
「玄関にアルコール完備よ」。
祖父母と孫が会うことにこれほどの気を使わなければならないとは、やはりまともではないと思うけど、仕方がないか。
Hくんはもう社会人になって3年目、コンビニ大手の社員です。支店で実地訓練、店長修行を経て今は四国松山で事務職をやっています。もともと持って生まれた性格か、職業柄鍛えられているのか、私どもにも、まことにやさしく、気遣ってくれるのです。コロナ禍の中では泊ることはしないけれど、以前は我が家が宿になっていました。身軽に手伝いもしてくれました。私が入院騒ぎを起こした時も飛んできてくれたのでした。
「アイスクリームが食べたくなったな」と夫がいえば、半分聞くか聞かないうちに、Hくん買って来るよと飛び出していく人です。
私が、娘に「いい子に育ったね。こんなことも、あんなこともしてくれたわ」と話すと、母親の娘は全く違った評価、嘘だ~、家に帰ってきた時少しも動かんよ。「なんでHくんが~」とやりゃあしない、と。
やはり、親とばあちゃんでは違うのかな。
今回も30分ほどで引き揚げていった後、娘に
「Hくんが寄ってくれました」とラインしたら
「金と暇と元気のあるやつだよね」と。
「元気だったよ。出張ではなく遊びだって」
「遊びまくって、日本経済を回してんだってさ」と。
そう言えば30分の滞在の間にも、コロナ対策もだけれど、経済を回さなければどうしようもない、と言っていたっけ。