区民センターのコミュニティー講座・植物教室が行われました。例年、1日目に2時間の事前講義、2日目に近郊の植物園などを訪れて字際に野草を観察するバス一日旅行をする教室です。
それがコロナの影響でバス遠出は出来ず、教室で講師から身近な植物の話を伺う講義に変更しました。実行しても、ウイルス感染を恐れて参加を希望する人が集まらないかもしれないと心配しましたが、定員いっぱいで実行できました。講師をお願いしたのは、世田谷自然環境保全の会の方でした。
区民センターの一番広い教室を使い、満席の半分に定員制限をし、マスク着用、体温測定、手のアルコール消毒をお願いしての開催です。
講師は、「お散歩植物教室」と銘打って、ごく身近にみられる植物のあれこれを取り上げ、その巧みな生態を話してくださいました。
第一部 「似て非なるもの」
気を付けて見ると、ほとんど同じものと思われるほど似た花があります。私どもは、ひとくくりにしてしまって一つの名で呼んでしまっていることもあります。
ここから写真を見せながら、細かい違いなどを説明してくださったのですが、それがかないませんので、一つ二つ例のみあげてみます。
● 芙蓉・タチアオイ・ハイビスカス・むくげ
● 孟宗竹・真竹・ハチク
● 竹と笹
● アヤメとカキツバタ など。
第2部 お散歩植物学
いろいろな興味あるお話でしたが、これも映像を使ってののお話が多く、ここで書くのが難しいのです。ごめんなさい。
先生が大半の時間を使って話してくださったのは、動けない植物がいかにして自分の種を広く繁栄させていくかということでした。
1、ひっつき型
ミズヒキ・コセンダングサ・クッツキムシ・など
実や実の付いている茎に棘や針を持っていて、動物の毛にくっついて遠くまで移動する。
2、食べられ型
烏瓜や柿などは種の周りを甘いゼリー状のもので包んでいる。食べた動物ののど越しを容易にしている。食べられた種は、動物とともに遠くまで行き、糞とともに出る。糞は肥料になる。
南天・・・赤い色で小鳥を誘う。一羽にみんな食べられては困る。実に軽い毒を持つ。小鳥は少し食べたらやめる。
3、自助散布
ホウセンカ・ツリフネソウ・ゲンノショウコなどのように、自分で莢をポンと割って、種をとばす。
4、重力散布
どんぐりのように、重力で落ちる。落ちたら転がる。
5、風散布
トウカエデのようにプロペラをつけて、風を受けて飛ぶ。
6、水散布
ヤシの実。水芭蕉など。波に乗って海を越え。流れて下流へ。
こういう話をすると、感想に「植物ってうまく考えているんですねえ。賢いのですねえ」とほとんどの方がおっしゃいます。でもこれは違うと思うのです。植物は考えてはいません。
大方の植物は自家受粉はしません。他との交配で、多様な子孫が生まれます。その多様性を持ったものの中から、環境に順応し、強きものが生き残ります。生き残りの中で、また多様な種類が生まれます。順応性に優れた強いものが生き残ります。こうしたことを繰り返すうちに、より強いものが生き残るのです。との結びでした。
10月下旬には文学教室を開きます。やはり遠出はできませんので、講師の写真を使っての講義になります。