TDY、Temporary Duty。アメリカの軍隊用語で出張を意味する。世界の僻地の出張記録!TDYの次は日常の雑感

現役時代の出張記録。人との出会いと感動。TDY編を終え、写真を交えた日常の雑感を綴る。

折々の写真&雑感 342

2021年09月03日 | エッセイ
 此処何日かは涼しい日が続いて助かっている。だが、夏の盛りに「36度以上になると命にかかわることが心配されます」と天気予報のお嬢さんが云っているのを聞いた。もしそうであるなら、私はとうの昔に死んでしまっている事になる。そればかりか亜熱帯や熱帯地方には人間はいないことになる。

 「熱中症を避けるために充分な水分補給を行って下さい」とも云っていた。私が嘗て通っていたマダガスカルの森の中や、特に暑く乾燥した海岸地帯ではそれほど簡単に飲み水は得られなかった。森の中では、運がよければ熟れた果物が見つけられる。だが、それも夏の間だけである。

 私がマダガスカルに出張していたのは、雨が降らない冬の間が殆どであった。毎回無事に生還出来たのは、現地の湿度が非常に低かったことに依るのではないかと思える。40度を超し、ときには45度を超しても日本で30度そこそこの日より汗をかかない。体内から排出される水分が極端に少なかったので、心配するほど水分を補給しなくても良かったのかもしれない。だが、森の中で倒れるのではないかと心配するほどに喉が渇いたことがあった。立っているのも辛かった。私の様子を見て、親切な森の住人があちこち探してココナッツの実を手に入れて来てくれた。マダガスカルではほぼ年間を通して実がなっている。蛮刀で飲み口に穴をあけてくれた。礼を云うのも忘れて飲んだ。冷たかった。なんて旨いのだと感じた。息もつかずに半分ほど飲んでから「ミソートラ、ミソートラ・ベサカ(ありがとう、本当にありがとう)」とやっと礼を云えた。すると、彼は「ツィア、ミッシィ・ミソートラ(どうってこと、ありませんや)」と云ってくれた。今でも感謝しきれないと思っている。

 森の中でのどが渇くと、一本のペットボトルの水に5万円、いや10万円を払っても惜しくないと感じるほどに苦しくなる。私はそのようにだらしない仕儀になるが、マダガスカル人は平気である。

 気温が45度程になると、鼻ではなく、口で空気を吸い込むと喉が焼けるように感じる。湿気がないので熱風を吸い込んだようになるのかもしれない。何年か前に、40度を越したと報じられた日があった。試しに口で息を吸い込んでみたが、熱風を吸い込んだようには感じなかった。だが、その日の東京はマダガスカルの45度度よりはずっと暑く、息苦しく感じていた。

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