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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

杉浦再任用更新拒否裁判、裁量権の逸脱濫用、国賠法上違法、確定

2014年12月05日 | 暴走する都教委
  《杉浦先生の裁判を支援する会ニュースNo.15(2014/12/01)から》
 ◎ 控訴棄却・上告断念で勝訴確定
   再任用への期待権確認。不合格理由はすべて不採用


 原告全面勝訴となった3.6東京地裁判決に対し、都側が控訴し、東京高裁で審理が行われていた「杉浦再任用更新拒否裁判」は、10月30日に「控訴棄却」の判決が出され、11月13日には都側が上告を断念しました。杉浦さんの全面勝訴が確定し、都はすでに損害賠償手続きに入っています。
 ◎ ご挨拶 杉浦孝雄(裁判原告・被控訴人 井草高校非常勤教員)
 「人には生涯いただくことが許される「支え」や「励まし」の大きさがあるように思います。それをはるかに超える「支え」や「励まし」をいただいてしまったというのが私の実感であり、一つ一つが身にしみた皆様方のお言葉にどのように報いることができるのか、見当もつきません」。
 再任用の職を奪われ、杉並工を去らなければならなくなった時、「不合格撤回」「職場残留」の声を上げ続けて下さった杉並工の同僚の皆さんに、私はこうご挨拶しました。
 都側の上告断念の一週間後、現任校の職場の同僚が、私の「勝訴を祝う会」を催してくださいました。
 「いわくつき」で舞い込んできて、職場で好き勝手なことをやっているだけの私の勝訴を、直接「事件」に遭遇していない現任校の同僚が我が事のように喜んでくれることで、わたしはさらに生涯許される以上の「支え」や「励まし」をいただきました。
 気が付けば、都立高校の現場から完全退職する年となりました。
 都教委の控訴によって、最後の最後まで裁判を争う結果となりましたが、同僚や支援してくださる皆さんからかけがえの支えをいただき、理不尽と闘うことができたかと思えば、私の都立高校生活の最後にふさわしいと感謝すべきなのかもしれません。
 皆さんのご支援に改めて心から御礼を申し上げます。

 「勝訴を祝う会」の席で、私は久しぶりに「不合格」を通告された日のことをお話ししました。
 当日は新たに選出された生徒会執行部が新年度の準備のために行う合宿に引率していく日でした。その朝、校長は感情のかけらもないロ調で「先生は来年度日勤講師です。」と通告したのです。
 公私ともに無防備だった私ですが、こんな理不尽を許すことはできないという一念で、無我夢中で同僚とともに「不合格撤回」「残留」を校長に迫りました。
 タイムリミットと思われた都立高校入試の前日、勤務時間終了後に副校長が招集した職員会議に大多数の同僚が残り、二十人もの方が発言して、気が付いた時には九時半を過ぎていました。
 その三日後、日勤講師(非常勤教員)の配属先が通告されました。この先どうするのかという同僚たちの声に、「これで終わりにしたら、何をやっても泣き寝入りしなければならないという記憶しか残らない。」「残留や復帰がかなわなくとも、理不尽に一矢を報いたい。」と踏み切ったのが裁判提訴でした。
 裁量権の問題を巡る訴訟は巌しく、弁護を引き受けてくれた友人も、「勝てるかもしれない。」と言ってくれるのが精いっぱいでした。
 皆さんのおカで地裁全面勝利を勝ち取ることができ、高裁でも都側の証人申請が却下され、早期の判決日が指定された時には、「これなら大丈夫」という気持ちになりましたが、判決日の延期連絡が舞い込みました。
 都側のなりふり構わぬ圧力を思い、高裁は地裁よりも権力寄りという風評を耳にするにつけ、不安もよぎる中で判決を迎えました。
 裁判長が良く通る声で「控訴素却」を告げた時、私は小さく、しかし長く続く、こぶしでうれしさを握り占めるようなガッツポーズをとっていました。
 裁判長を凝視していた私は気づかず、のちに傍聴の方から教えられたのは、都側が座るべき控訴人席が空席だったことでした。その無責任さに憤るとともに、すごすごと退散せざるを得なかった権力者の末路に溜飲を下げる思いをしました。
 「地裁判決を一言一句失わない。」という高裁に臨む私の決意は、不安の裏返しでしたが、高裁判決はそれと真逆のものでした。
 地裁判決をなぞるだけではなく、高裁段階での都側の卑劣な主張に対するいらだちと怒りに満ちたものであり、事実と正義の上に立って、私の主張を一層明確に受け入れてくれました。
 難しいと言われてきた裁量権の範囲の逸脱、濫用をめぐる裁判で、熊本の闘いが風穴を開けてくれました。
 私の裁判勝訴はこれに続くものであり、再任用の期待権が一層明確に認定され、慰謝料も認められました。
 この正のスパイラルを、公務部門でも民間でも全国津々浦々に広げ、「期限付き任用」など一年任期の職員に広げていくことが私の夢です。
 さらに、最高裁で「減給や停職は過剰」という判断が示されているにもかかわらず、君が代不起立を理由とした嘱託員や非常勤教員の任用拒否=解雇という「著しく社会的相当性を欠く」対応がまかり通っている現実にも、正のスパイラルが届かなければなりません。
 高裁判決後の「上告するな」の対都要請で、参加者がロ々に語ったのは、限界に達している東京の学校現場の閉塞状況であり、自由闊達な学校現場を求める心からの叫びでした。
 私も杉並工の同僚も、職員会議の発言などが「不合格」の理由とされ、問答無用の理不尽がまかり通ることに対して怒り、立ち上がったのであり、支援してくださる方も思いをともにしてこの裁判を闘っていただいたのだと思います。
 地裁判決も高裁判決も「職員会議の場を活用することなどにより、所属職員の建設的な意見を開き、それを学校運営に生かすよう努める必要がある」ことを明確にしています。それが学枝現場の常識であり、社会・の常織であることを正面から打ち出しているのです。
 「正義は勝つ」と私の勝訴をよろこんでくれた卒業生に対し、学校が真に正義が勝つ場であると胸を張って言える日を迎えるために、勝訴を活かすことができれ.ば、望外の喜びです。
『杉浦先生の裁判を支援する会ニュース No.15』(2014/12/01)

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