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◆ 2023年3月都教委要請と回答(3)国際人権プロジェクトチーム

2023年04月23日 | 「日の丸・君が代」強制反対

4教総広第675号の2
令和5年4月20日

東京・教育の自由裁判を進める会 御中

東京都教育庁総務部広報統計課長
坂 井 良 充

◆ 「国際人権に関する要請」に対する回答について

 貴会から令和5年3月27日付けで提出された標記要請等について、別紙のとおり回答します。

【お問合せ先】
東京都教育庁総務部広報統計課広聴担当
電話03-5320-6733(直通)

(別紙)

1.前回要請項目「1」(都教委の条約遵守義務の有無)は、去年と同じ要請だったのですが、今年は回答の文言が変わっていました。
 <去年の回答文> 「都教育委員会は、締約国の地方公共団体として、国際人権規約について答える立場にありません。」
 <今年の回答文> 「都教育委員会は、関係法令等に基づき人権教育を推進しています。」
 (所管はいずれも、総務部教育政策課)
(1)去年までの回答文を、今年はなぜ変えたのか、理由を教えて下さい。
(2)去年と今年と、何が違うのか、説明して下さい。
(3)今年の回答文の「関係法令等」には、国際人権も含まれますか。
(4)去年までの回答は、間違っていたので撤回した、と受けとめていいですか。

1 項番1について
(回答)回答について主旨に変更はありません。
都教育委員会は、締約国の地方公共団体として、国際人権規約について答える立場にありません。
なお、都教育委員会は関係法令に基づき人権教育を推進しています。(所管 総務部教育政策課)

2.前回要請項目「4.①②③」(自由権規約第7回日本審査「総括所見」に関する要請)に対する貴庁の回答を踏まえて、以下、再要請します。

(1) 回答①②③には共通に、「当該指摘については、政府から連絡を受けていませんが」との文言がありますが、その後政府から連絡があったかどうか、教えて下さい。

(2) 回答①③には共通に、「最高裁判所の判決で繰り返し認められている」とありますが、わが国は「自由権規約」を1979年に批准しており、批准した条約は憲法に次ぎ、国内法よりも上位の効力を有すると解されています。
 前回添付資料でお示しした『第7回総括所見』(2022年11月3日)には、「当委員会は学校の儀式において国旗にむかって起立し国歌を斉唱することに対する静かで破壊的でない不服従の結果、教師が最高6ヶ月の停職を含む処分を受けたことを懸念する」(パラグラフ38)、「締約国は自国の法律とその運用を規約第18条に適合させるべきである」(パラグラフ39)とあり、これは最高裁判例が国際基準から外れているから適合させるべきだ、との国際機関からの勧告です。
 このように、国内の司法判断と国際人権条約機関の判断とが分かれた場合、優先するのはどちらなのか、東京都の見解をお示し下さい。

2 項番2について
(回答)当該指摘については、政府から連絡を受けていません。そのため、見解を述べる立場にはありません。(所管 指導部指導企画課、人事部職員課)

(3)回答②③には共通に、「学習指導要領に基づいて適正に実施されるよう、式の実施指針を定め」とありますが、以下の点についてお答えを求めます。

 a, 『学習指導要領』ないし『学習指導要領解説』の中に、(例えば、国旗に向かって起立斉唱するのように)「起立」という文言がありますか、ありませんか。あるなら記載箇所を何頁の何行目のように特定してお示し下さい。

 b, 『国旗国歌法』制定時の国会における政府答弁に、起立斉唱を「強制」することを政府が肯定している答弁がありますか、ありませんか。あるなら出典と共にお示し下さい。ちなみに、「強制」は許されないとする答弁は多数あるので、その一部を下記に参考として引用しておきます。

3 項番3について
(回答)a
 学習指導要領解説特別活動編では、「国旗及び国歌に対する正しい認識をもたせ、それらを尊重する態度を育てることが大切である。」と示されています。
 また、最高裁判所の判決で、「学校の儀式的行事である卒業式等における国歌斉唱の起立斉唱行為は、一般的、客観的に見て式典における慣例上の儀礼的所作として外部から認識されるもの」であることが認められています。

・・・都教委は、『学習指導要領』の中に「起立」の文字があることを示せなかった。「『学習指導要領』により適正に実施」は、嘘で、『学習指導要領』にないことを「10・23通達」はやらせている。『学習指導要領』の不適正な実施である。

(回答)b
 国会における政府答弁について、都教育委員会は見解を述べる立場にはありません。(所管 指導部指導企画課)

・・・都教委は、起立斉唱を「強制」することを政府が肯定している答弁を示すことが出来なかった。政府・文科省は「強制してもよい」とは、一言も言っていない都教委は、そのことに目をつぶっている。

【参考資料】
○ 1999年7月21日 衆議院内閣委員会 内閣総理大臣・小渕恵三
 このことは,児童生徒の内心にまで立ち至って強制しようとする趣旨のものでなく,あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくことを意味するものでございます。

○ 1999年8月4日 衆議院文教委員会 御手洗康初等中等教育局長
 今回御審議をいただいております国旗・国歌に関する法案は、国旗と国歌を定めているものでございまして、それに伴いまして何らかの義務づけというような条文はないわけでございます。これに対しまして、学校教育におきましては、再三繰り返しになりますけれども、文部大臣が定めております学習指導要領におきまして、我が固の学校教育におきます国旗と国歌の指導について、全国的にすべての学校で教えなければならない基準ということでお示しをしているわけでございまして、学校の教員並びに校長は、この学習指導要領に基づきまして適切に教育課程を編成し実施しなければならない、こういう法的な関係に立つわけでございまして、最終的に子供たちがその指導をどう受けとめるかということは、これは教育の指導の結果の問題でございますので、そこまで学習指導要領は義務づけておりません。子供は当然、通常の場合に、学校が定められた教育活動に主体的に参加していく、これは教育活動の本来持っております作用でありますし、教員はそういった教育活動の本来的な作用に従って児童生徒を指導していくということでございますけれども、指導の結果、最終的に児童生徒が、例えば卒業式にどういう行動をとるかあるいは国旗・国歌の意義をどのように受けとめるか、そういうところまで強制されるものではないという意味で、強制するものではないと申し上げているところでございます。

※ 2023年3月都教委要請全文(2023.3.27)国際人権プロジェクトチーム

 


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